添付文書の全面改訂 原則禁禁忌と慎重投与が削除

20年ぶりの添付文書の記載要領改訂 適用は2019年4月から


H29.6.8厚労省が添付文書の記載要領改定に関する通知を出しました。

以前から言われていましたが、原則禁忌と慎重投与が廃止され、特定の背景をもった患者(8項目)ごとに注意事項が書かれるようになります。

本改訂適応は平成31年4月から平成31年4月1日時点で既に承認されている医薬品の添付文書等及び承認申請中の医薬品の添付文書(案)については、平成36年3月31日までにできるだけ速やかに本記載要領に基づいた改訂を行うこととされている。

医療用医薬品の添付文書等の記載要領について(薬生発0608第 1号)


本通知抜粋

1 本記載要領の要点

(1)旧局長通知に含まれる「原則禁忌」及び「慎重投与」の廃止、並びに
「特定の背景を有する患者に関する注意」の新設等、添付文書等の項目・
構造を見直したこと。
(2)項目の通し番号を設定し、「警告」以降の全ての項目に番号を付与し、
該当がない場合は欠番とすることにしたこと。
(3)添付文書等に記載されるべき内容について全体的な整理を行ったこと。


2 記載項目及び記載順序

. 作成又は改訂年月
. 日本標準商品分類番号
. 承認番号、販売開始年月
. 貯法、有効期間
. 薬効分類名
. 規制区分
. 名称
1. 警告
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
3. 組成・性状
3.1 組成
3.2 製剤の性状
4. 効能又は効果
5. 効能又は効果に関連する注意
6. 用法及び用量
7. 用法及び用量に関連する注意
8. 重要な基本的注意
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者  ←ここからが新たな8項目
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.4 生殖能を有する者
9.5 妊婦
9.6 授乳婦
9.7 小児等
9.8 高齢者
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
10.2 併用注意(併用に注意すること)
11. 副作用
11.1 重大な副作用
11.2 その他の副作用
12. 臨床検査結果に及ぼす影響
13. 過量投与
14. 適用上の注意
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.2 非臨床試験に基づく情報
16. 薬物動態
16.1 血中濃度
16.2 吸収
16.3 分布
16.4 代謝
16.5 排泄
16.6 特定の背景を有する患者
16.7 薬物相互作用
16.8 その他
17. 臨床成績
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.2 製造販売後調査等
17.3 その他
18. 薬効薬理
18.1 作用機序
19. 有効成分に関する理化学的知見
20. 取扱い上の注意
21. 承認条件
22. 包装
23. 主要文献
24. 文献請求先及び問い合わせ先
25. 保険給付上の注意
26. 製造販売業者等

新たな8項目について記載内容に関する留意を一部抜粋

(4)9.1 合併症・既往歴等のある患者」
合併症、既往歴、家族歴、遺伝的素因等からみて、他の患者と比べて特に注意が必要な患者であって、「9.2 腎機能障害患者」から「9.8 高齢者」までに該当しない場合に記載すること。
(5)9.2 腎機能障害患者
①薬物動態、副作用発現状況から用法及び用量の調節が必要である場合や、特に注意が必要な場合にその旨を、腎機能障害の程度を考慮して記載すること。
透析患者及び透析除去に関する情報がある場合には、その内容を簡潔に記載すること。
(6)9.3 肝機能障害患者」
薬物動態、副作用発現状況から用法及び用量の調節が必要である場合や、特に注意が必要な場合にその旨を、肝機能障害の程度を考慮して記載すること。
(7)9.4 生殖能を有する者」
①患者及びそのパートナーにおいて避妊が必要な場合に、その旨を避妊が必要な期間とともに記載すること。
②投与前又は投与中定期的に妊娠検査が必要な場合に、その旨を記載すること。
③性腺、受精能、受胎能等への影響について注意が必要な場合に、その旨を記載すること。
(8)9.5 妊婦」
胎盤通過性及び催奇形性のみならず、胎児曝露量、妊娠中の曝露期間、臨床使用経験、代替薬の有無等を考慮し、必要な事項を記載すること。
②注意事項は、「投与しないこと」、「投与しないことが望ましい」又は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」を基本として記載すること。
(9)9.6 授乳婦」
乳汁移行性のみならず、薬物動態及び薬理作用から推察される哺乳中の児への影響、臨床使用経験等を考慮し、必要な事項を記載すること。
②母乳分泌への影響に関する事項は、哺乳中の児への影響と分けて記載すること。
③注意事項は、「授乳を避けさせること」、「授乳しないことが望ましい」又は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」を基本として記載すること。
(10)9.7 小児等」
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児(以下「小児等」という。)に用いられる可能性のある医薬品であって、小児等に特殊な有害性を有すると考えられる場合や薬物動態から特に注意が必要と考えられる場合にその旨を、年齢区分を考慮して記載すること。
(11)9.8 高齢者」
薬物動態、副作用発現状況から用法及び用量の調節が必要である場合や特に注意が必要な場合に、その内容を簡潔に記載すること。


各項目ごとにこれだけのことが決められています。
薬剤師的には情報が多くて助かります。



医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項(薬生安発 0608 第1号)


こちらには具体的な添付文書の形式が載っています。





今後この形式に変更が進められていきます。

薬局の添付文章集全て入れ替えなければならないですね…


 2017年6月9日

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