ルナベル(LEP製剤)とディナゲストの違い

黄体ホルモン製剤(ディナゲスト)のほうがLEP製剤(ルナベル、ヤーズ)より痛みを改善する?

そもそも適応が違うんですが、どのホルモン製剤も月経困難に伴う疼痛緩和に処方されるのを見ます。

当薬局では、卵胞・黄体ホルモンの合剤ではルナベル、ヤーズ、プラノバール、ソフィアA、黄体ホルモン製剤としてはディナゲストが良く処方されています。

ディナゲストは月経困難症に適応はありませんが、他の黄体ホルモン製剤の処方を見たことがありません。(月経困難症に適応のある黄体ホルモン製剤は多数ありますが)


各ホルモンの基本作用

様々な作用はありますが、目的としている作用だけ。

卵胞ホルモン

黄体ホルモンの作用増強及び卵胞ホルモン分泌の抑制。

黄体ホルモン

子宮内膜増殖抑制、それに伴うプロスタグランジン類抑制による疼痛緩和



大まかですが、月経困難症、子宮内膜の疼痛緩和に関わっているのは黄体ホルモン、作用増強や副作用防止に関わっているのが卵胞ホルモン。

黄体ホルモンを抑えられれば疼痛緩和できるんですね。


成分

EP製剤(卵胞ホルモン+黄体ホルモン)

ルナベル(エチニルエストラジオール0.035㎎+ノルエチステロン1㎎)
ヤーズ(エチニルエストラジオール0.02㎎+ドロスピレノン3㎎)
プラノバール(エチニルエストラジオール0.05㎎+ノルゲストレル0.5㎎)
ソフィアA(メストラノール0.05㎎+ノルエチステロン1㎎)

黄体ホルモン製剤

ディナゲスト(ジエノゲスト)

EP製剤のうち、ソフィアA以外は全て卵胞ホルモンはエチニルエストラジオールです。

エチニルエストラジオールはメストラノールの2倍強いがあると言われている。

よって、卵胞ホルモン作用プラノバール>ルナベル>ソフィアA>ヤーズ となっており、プラノバールは中用量、ルナベル、ヤーズ、ソフィアAは低用量ホルモン製剤と呼ばれている。

卵胞ホルモンは黄体ホルモン受容体を誘導する作用があり、黄体ホルモン作用増強に関与する。

また、卵胞ホルモン分泌抑制作用にも関わっている。

ただし多すぎると血栓、子宮内膜癌のリスクとなる。


黄体ホルモン作用

黄体ホルモン(プロゲスチン)作用=エストロゲン抑制=子宮内膜増殖抑制=疼痛緩和 なので、各成分のプロゲステロン活性が疼痛抑制に重要。(以下ディナゲスト勉強会資料より)

プロゲステロン活性

ジエノゲスト2㎎(ディナゲスト):10
ドロスピレノン3㎎(ヤーズ):2
ノルエチステロン1㎎(ルナベル、ソフィアA):1

卵胞ホルモンが黄体ホルモン作用を増強したりするので単純比較できませんが、後述するようにディナゲストが強力なようです。


アンドロゲン活性

ジエノゲスト2㎎(ディナゲスト):0

ドロスピレノン3㎎(ヤーズ):0
ノルエチステロン1㎎(ルナベル、ソフィアA):1


ジエノゲスト、ドロスピレノンはアンドロゲン活性がないため、にきびや脂質代謝異常のリスクが少ない。


適応症

月経困難症の適応あり

ルナベル、ヤーズ、プラノバール、ソフィア

子宮内膜症の適応あり

ディナゲスト、プラノバール

ちなみに、エストロゲン単剤(プレマリン等)は更年期障害に対する適応が多い。

プラノバールはどっちにも適応あり。
ということで、結局どれも使おうと思えば月経困難症に使えそう。(というか使われている)

各薬剤の使い分け

本題のどのように使い分けられるのか。

産婦人科学会ガイドラインの子宮内膜症の項目より。

子宮内膜症の疼痛緩和に対してまずはNSAIDs、効果不十分な場合は、LEP製剤、ディナゲストを第1選択、ダナゾール、Gn-RHを第2選択としている。

ダナゾール、Gn-RHが第2選択の理由

ダナゾールは体重増加、浮腫、肝機能障害、血栓が、Gn-RHでは低エストロゲンによるのぼせ、ほてり、骨量減少、うつ症状が問題となるため、添付文書でも投与期間制限があり、長期管理には向いていない。

LEP製剤とディナゲストの比較

ディナゲストの疼痛緩和作用はLEPより強い

LEP製剤で疼痛コントロール不良の場合ディナゲストで効果が期待できるとされている。参考文献:(Fertil Steril. 2009 Mar;91(3):675-81. doi: 10.1016/j.fertnstert.2007.12.080. Epub 2008 Jul 23.)

なのでLEP製剤なんかわざわざ使わなくてもいいのになぜかLEP製剤が先に出る人が多い。(そもそも適応が…という話は抜きで)

その理由はコスト及びリスクの観点からLEP製剤のほうが使用しやすいためのようです。参考文献:(Hum Reprod. 2005 Oct;20(10):2698-704. Epub 2005 Jun 24.)

また、月経困難症に関するLEP製剤の有用性もはっきりしているそうです。

年齢による使い分け

若い人にはLEP製剤、40代以降にはディナゲストが多い理由の一つはまず血栓のリスク。

卵胞ホルモンが入っているLEP製剤は血栓リスクを考えると40歳以降には使いにくい。

ディナゲストは連日投与で完全に月経が来ないので、若い人には向いていないのかと思ったのですが、やめれば1か月程度で通常の月経周期に戻るので関係ないようです。

ディナゲストはアンドロゲン作用(男性ホルモン)が弱いので、肌荒れ・ニキビの問題も少ないため、若年層がディナゲストを使っても問題はない。

長期管理になるためやはりコスト面が大きいようです。
(ディナゲスト1錠475.5円×1日2錠、ルナベル1錠270円×1日1錠)

ディナゲストはGE(ジエノゲスト1錠198.1円)が出たので負担軽減が期待できます。

ルナベル、ヤーズ、ソフィアA、プラノバールの使い分け

プラノバールは中用量のため長期管理ではあまり使われない。適応が多く、月経周期をずらすために使われたりする。

ソフィアAに入っているノルエチステロンはエストロゲン作用もあり、子宮内膜増殖は抑えられすぎて不正出血が目立つ人に使いやすい。

ルナベル、ヤーズは以前の記事参照
効果はそんなに変わらないかと。

まとめ

適応を無視して月経困難症(主に疼痛に関して)を見た場合、

LEP製剤:安全性のエビデンス豊富、低コスト。

ディナゲスト:適応ないけど疼痛コントロールはLEPより優れている、血栓リスク低、値段は高い。

プラノバールは中用量、卵胞ホルモン多め。

ソフィアAは不正出血リスクが低いと考えられる。


 2017/06/17

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