高齢者と成人の血糖値、HbA1cの基準値

血糖値、HbA1cの治療目標値は高齢者と成人で全然違う?


投薬を行っているとよく高齢者の方は血液検査の結果を見せくれます。

HbA1cがこんなによくなったと自慢げに見せてくれるんですが、その値がたまに5.0代の人がいるんですが、これは下げすぎなじゃないでしょうか。

診断基準とその後の治療目標値を糖尿病診療ガイドラインをもとに見てみます。

※便宜上高齢者≒65歳以上、成人=65歳未満の意味で記載しています。

糖尿病の診断基準


よくみるフローチャートですが、診断基準に使われるHbA1cは6.5が境目。

では、次に糖尿病と診断された後の治療における目標値についての記載を見てみます。

成人(65歳未満)の目標


6.0未満という目標は食事・運動療法や低血糖リスクが少ない薬物療法により達成可能な場合のみの目標。

HbA1c6.9未満であれば大体の細小血管障害(網膜症、腎症、神経症)の発症、進展をほぼ抑制できるとの報告があるため、通常は7.0が目標値になる。

大血管症(心筋梗塞・脳梗塞)についてはHbA1cだけでなく、食後高血糖、空腹時高血糖すべてが是正されていることが重要。

8.0は低血糖などを頻繁に起こしてしまったりでコントロールが難しい場合の最低限のライン。

高齢者(65歳以上)の目標値


高齢者では認知機能が正常~軽度、ADL(日常生活動作)が自立~基本自立している場合のみ成人の基準値と同じ7.0。

ただし、その場合でもインスリン製剤又はSU剤、速効型血糖降下薬(~グリニド)を服用している場合は低血糖リスクが高くなるため7.5~8.0が基準となる。

高齢者で6.0未満を目指す必要はなさそうです。

患者背景に合わせた設定

上記値をベースにしつつ、後は患者さん個々の状態に合わせて設定するように記載があります。

すでに合併症や併存疾患があったり、予後が短い場合は血糖管理を緩やかにするのが基本的な考え。


血圧やコレステロールは合併症がある場合基準値がより厳しくなりますが、血糖値の場合は逆なんですね。



 2017年6月29日

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