アマージの予防投与

トリプタン系で唯一アマージは予防に使える?

片頭痛の発作時に用いられるトリプタン系薬剤は通常予防には用いることができない。

と思っていたんですが、米国の片頭痛ガイドラインではFrovatriptanというトリプタン系薬剤が片頭痛の予防(月経関連の片頭痛)に対してエビデンスレベルAとされている。

私の経験でもアマージが予防として処方されているのをみたことがあったので少々調べてみました。

片頭痛の原因

片頭痛の原因はいまだにはっきりしていないが、いくつかの説がある。

1.血管説
頭部の血管が拡張することにより痛みが起こる。

2.神経説

3.三叉神経血管説
三叉神経が刺激されることにより、セロトニン、NO、ヒスタミンなどの様々なが化学物質が放出されけ、血管を拡張するために起こる。

発生機序ははっきりしていないが、セロトニン(5-HT1B/1D)と三叉神経終末から放出される化学物質(CGRP=NO,ヒスタミン,グルタミン酸,ドパミン,セロトニン,オレキシン)などが大きく関わっている可能性が高いとされている。

そして最近は、頭痛発作は脳血管拡張によるものではないと考えられているそうです。

参考:慢性頭痛の診療ガイドライン2013

セロトニンは関わっているけど、血管の拡張は関与していないと…よくわかりませんね。

とりあえず、セロトニン受容体が関わっている可能性は大きいので、そこを遮断しておけば予防もできるんじゃないかと。

アマージの予防投与

アマージは他のトリプタン系と比べると作用持続時間が長い

半減期の比較
アマージ:T1/2≒5時間
イミグラン:T1/2≒2.5時間
ゾーミッグ:T1/2≒2.5時間
マクサルト:T1/2≒2.5時間
レルパックス:T1/2≒3.2時間


アマージのみ投与後4時間は空けなければならない薬剤(他は2時間でOK)であることからも分かるように作用時間が長い。

なので、予防投与に使うすればアマージが一番優れていると思われる。

以下はアマージの予防投与について検討している論文。
Headache. 2005 Nov-Dec;45(10):1400-6.

これによると、アマージの2.5㎎/dayの連日投与において、3か月間は副作用も問題なく、予防効果がみられたとのこと。


インタビューフォームを見ると、予防投与は効果が期待できないため避けるようにと記載があるのですが、これはどこから来ているんでしょうか。


月経による片頭痛の場合、その期間だけ投与すればよいので短期間の投与となりますが、通常の予防に使うとなると、長期投与となるためお金はとんでもなくなるので現実的ではなさそうですね。



 2017年7月3日

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