突発性難聴に対するステロイドパルス療法 プレドニン、メドロール、デカドロンで差はある?
突発性難聴とは、その名の通り急に起きる原因不明の難聴です。はっきりした原因はわかっていないが、ストレスや振動、血流障害などが関わっているとされている。
血流改善を目的にメリスロン(ベタヒスチン)、セファドール(ジフェニドール)、トリノシン(ATP)などが処方されるが、初期治療が重要であり最も有効性があるとされているのはプレドニンなどのステロイドのパルス療法。
ステロイドパルス療法
プレドニン5㎎ 8錠(4-4) 朝夕食後 2日プレドニン5㎎ 6錠(4-2) 朝夕食後 2日
プレドニン5㎎ 4錠(2-2) 朝夕食後 2日
プレドニン5㎎ 2錠 朝食後 2日
うちでよく見るのはこのような処方。
スタンダードなのは初回40~60㎎くらいのよう。
実際どのくらい効果があるんでしょうか。
そしてどのステロイドが最も効果的なんでしょうか。
まずは突発性難聴に対するステロイド全般の有効性について。
ステロイドの有効性
突発性難聴は初期治療が大切で、2週間までに治療を開始できると治癒率が高くなるそうです。
しかし、米国の診療ガイドラインでは初回からのステロイドパルス療法はエビデンスが乏しいとされている。
ただし、その他有効な治療法があるわけではないので、発症2週間以内であればステロイド投与はオプションとして推奨している。(突発性難聴のEBM)
プレドニン、メドロール、デカロドンの比較
ステロイドパルスのエビデンスが乏しいのに、プレドニンとメドロール(メチルプレドニゾロン)やデカドロン(デキサメタゾン)の有効性を比較している試験もありました。
これによると、どの薬剤も有効性に差はなかったとのこと。
経口と鼓室内投与の違い
ステロイドを耳の中(鼓室内)に直接投与する治療法もあるが、有効性について差はあまりないようです。
むしろ経口投与のほうが高音域の改善がよかったとする報告もある。
Otolaryngol Head Neck Surg. 2009 Nov;141(5):579-83. doi: 10.1016/j.otohns.2009.08.009.
ステロイドの種類は有効性にあまり関係ない。
まとめ
突発性難聴に対するステロイドパルス療法のエビデンスは低いが、他に有効なものがないため第一選択となることが多い。ステロイドの種類は有効性にあまり関係ない。