スタチン系による糖尿病リスク

スタチン系による糖尿病発症リスク VS 心血管イベント抑制効果

スタチン系は糖尿病リスクを上昇させるといった報告がある。

特にストロングスタチンでその傾向が強いようで、添付文書を見るとリピトールでは慎重投与に糖尿病、副作用に高血糖、糖尿病の記載、クレストールにはその他の注意に糖尿病リクスについて触れている。(リバロは記載なし)

今回はスタチンによる糖尿病リスク、リスクとベネフィットの比較について調べてみました。


スタチン系による新規糖尿病発症リスク

20個の研究(1000人以上かつ1年以上追跡している18のコホート研究と2の症例対照研究)を解析したところ、スタチン使用者の相対リスク(RR)は1.44(95%CI:1.31-1.58)。
一番リスク高かったロスバスタチン(クレストール)は1.66(95%CI:1.30-1.98)、一番低かったシンバスタチン(リポバス)は1.38(95%CI:1.19-1.61)。

ストロングスタチンではないリポバスでもリスクは上昇しています。

Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2017 May;27(5):396-406.


スタチン系のリスクVSベネフィット

心血管イベント抑制効果と糖尿病発症リスクを比較検証したJUPITER studyというものがある。

糖尿病のリスク因子が元々もある患者群

ロスバスタチン投与により、
一次エンドポイント:39%低下
静脈血栓塞栓:36%低下
全死亡:17%低下
糖尿病発症:28%増加

糖尿病発症リスク因子はない患者群

ロスバスタチン投与により、
一次エンドポイント:52低下
静脈血栓塞栓:53%低下
全死亡:22%低下
糖尿病発症:増減なし

(一次エンドポイント:心筋梗塞、狭心症、脳卒中等による入院)

糖尿病発症リスク因子を持っていない患者に関してはスタチン系による発症リスクは問題なく、またリスク因子を持っている群でも、心血管系のベネフィットを考えるとスタチン系は投与すべきとされている。

Lancet. 2012 Aug 11;380(9841):565-71


これらの結果を見ると、スタチン系による新規糖尿病発症リスクを恐れて投与をやめる必要はなさそうです。

ただし、スタチン投与中に糖尿病を発症した場合、ストロングスタチンからリポバス等のマイルドなもの+ゼチーアにしたりと変更したほうがよいといった意見もあるよう。


その他

スタチン系で糖尿病を新規発症しやすい人

肥満
女性
高齢
アジア系

スタチン系による糖尿病発症メカニズム

明確なメカニズムは不明だが、スタチン系服用により、リポ蛋白の形状変化、GULT4の減少、アディポネクチンの減少等が起こり、インスリン抵抗性が増大しているのではないかとの意見がある。

Postgrad Med. 2017 May;129(4):430-435.


まとめ

スタチン系により糖尿病発症リスクは上昇すると考えられる。

ただし、心血管イベント抑制効果を考えるとやめるべきではない。

 2017/08/27

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