ナゾネックスとアラミストの違い

ナゾネックスとアラミスト 有効性や副作用に差はあるのか

ナゾネックスやアラミストなどの点鼻薬はアレルギー性鼻炎において、初期治療~重症例にまで用いられる。(鼻アレルギー診療ガイドライン2016)

フルナーゼやエリザスなどもありますが、今回は処方頻度が高いナゾネックスとアラミストについて比較してみました。


基本情報


ナゾネックス(モメタゾンフランカルボン酸エステル)
適応:アレルギー性鼻炎
用法:1日1回 1回2噴霧(12歳未満1回1噴霧)
吸収:バイオアベイラビリティ0.2%未満
※1噴霧=モメタゾン~50μg

アラミスト(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)
適応:アレルギー性鼻炎
用法:1日1回 1回2噴霧(15歳未満1回1噴霧)
吸収バイオアベイラビリティ1.26%
※1噴霧=フルチカゾン~27.5μg



ステロイドの強さ

アラミストに使用されているフルチカゾンフランカルボン酸はアドエアとかに使われているステロイド。

以前吸入薬の比較について記載したが、フルチカゾンフランカルボン酸(アラミスト)はフルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ)と比べ受容体への親和性が1.7倍、核移行速度が速く、長時間作用する。(アラミストインタビューフォーム)

モメタゾンフランカルボン酸(ナゾネックス)もフルチカゾンプロピオン酸エステルより親和性は強く転写活性は4倍とのこと。(ナゾネックスインタビューフォーム)

ただ、臨床試験での有効性を見るとどちらもフルナーゼと同程度。(ナゾネックス、アラミストインタビューフォーム)

ということで、いくつか論文を調べてみしました。


臨床試験

・有効性についてみると、ナゾネックス、アラミストに関して有効性、安全性に差はなかったとされている。(Clin Ophthalmol. 2016 Jun 10;10:1079-82)

・9つのRCTを解析した結果、慢性鼻炎に対してステロイド点鼻薬において突出して優れている薬剤を決めることができる十分なエビデンスはなく、ナゾネックスに関しては高用量(400μg)と低用量(200μg)においても有効性に差はなかったとされている。

ただし、高用量のステロイドのほうが鼻血の副作用が高くなる可能性が示唆されている。(Cochrane Database Syst Rev. 2016 Apr 26;4:CD011993)

・アレルギー性鼻炎においてはアラミストがナゾネックスより優れているとの結果もある。
ただし、患者数は40人で、優位となった理由はアドヒアランスによるものと推測されている。(Auris Nasus Larynx. 2016 Jun;43(3):292-7.)


有効性に関していえばどれでもよさそうです。
ただただステロイド自体の強さを比較する意味ってあるんでしょうかね。


副作用

先の論文内では副作用も差はないとされていましたがとりあえずインタビューフォームから。

ナゾネックス(モメタゾンフランカルボン酸エステル)
臨床試験1753例中
刺激等鼻症状2.3%、咽頭症状1.6%、リンパ球減少1.0%

非盲検非対象の長期試験80例中(小児)
血中コルチゾール減少18.8%

アラミスト(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)
使用成績調査1592例中
鼻出血0.3%

臨床試験80例中
血中コルチゾール減少2.5%、白血球増加1.5%

BAはアラミストのほうが高く、全身作用出てしまうのかと思ったのですが、報告を見る限りそのようなこともなさそう。


使用感

ナゾネックスは噴霧時、勢いがあり、薬液が出ている感じを受ける。液だれは多め。

アラミストはソフトな感じであまり薬液が出ている感じがしない。液だれはナゾネックスと比べて少ない。

勢いを感じるほうが使っている感があってわかりやすいのか、あまり勢いがないほうが違和感がなくていいのかは人によって好きなほうにしてあげればいいかと。



まとめ

有効性は同程度。差を示す十分なエビデンスはない。

副作用も重篤なものはなく、大差なし。
※両方ともアナフィラキシー症状の報告はあるため注意は必要。

 2017年8月5日

関連記事