ガスモチンとプリンペランの比較

ガスモチンで吐き気はおさまらない? プリンペランとの違い

ガスモチン(モサプリド)とガナトン(イトプリド)、ナウゼリン(ドンペリドン)とプリンペラン(メトクロプラミド)の比較はよくされていますが、ガスモチンとプリンペランは全然異なるものなのでしょうか。

まずはこれらの薬物が関わる受容体についておさらい。


嘔吐・消化管運動に関わる受容体

末梢からの嘔吐刺激

迷走神経や舌咽神経に繋がっている末梢の受容体が刺激されることで嘔吐中枢に刺激が伝わり引き起こされる。

消化器系の運動機能が低下すると内容物が停滞し、胃の伸展が起こりこれが刺激となり嘔吐中枢に伝わる。

このため、胃の運動を改善することで吐き気を抑制できる。
胃の運動促進は消化管のD2遮断、5-HT4刺激によるアセチルコリン遊離にて起こる。

また、消化管の5-HT3は迷走神経に繋がっているため、5-HT3遮断でも制吐作用を示す。

末梢ではD2遮断、5-HT4刺激D2遮断、5-HT3遮断で制吐作用

中枢からの嘔吐刺激

CTZにあるD2、5-HT3が刺激されることで吐き気が引き起こされる。
よって、中枢においてはD2、5-HT3を遮断することで吐き気を抑制できる。

中枢ではD2遮断、5-HT3遮断で制吐作用


※NK受容体やH1受容体刺激による嘔吐もある。


作用機序の比較

ガスモチンの作用機序

消化管内在神経叢に存在する5-HT4受容体を刺激し、アセチルコリン遊離の増大を介して上部・下部消化管運動促進作用及び胃排出促進作用を示すと考えられている。
(ガスモチンインタビューフォーム)

プリンペランの作用機序

脳幹の消化管中枢に作用して、消化器の機能的反応ないしは運動異常を改善する。
また、中枢性嘔吐(D2,5-HT3)、末梢性嘔吐(5-HT3)のいずれに対しても制吐作用を示す。

胃の運動促進作用もあることから、消化管のD2遮断作用もあると考えられる。
(プリンペランインタビューフォーム)


ガスモチン(モサプリド)とプリンペラン(メトクロプラミド)の受容体の阻害についてガスモチンのインタビューフォームに以下のような表がある。


上記は中枢での作用を調べたもの。
ガスモチンはD2受容体遮断作用はなく、5-HT3はやや阻害作用を示す。

一方のプリンペランはD2、5-HT3受容体遮断作用が強い。

まとめると…

ガスモチンは胃運動改善により、末梢から引き起こされる吐き気は多少抑制する。
=基本は消化管運動改善作用

プリンペランは末梢、中枢の受容体を遮断することで制吐作用を示す。
=基本が制吐作用

処方されているイメージ通りといった感じでしょうか。

 2017年8月7日

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