MS冷シップとアスピリン喘息

MS冷シップでアスピリン喘息は起こらない?


NSAIDsは外用剤でもアスピリン喘息の報告があり、モーラステープやロキソニンテープはアスピリン喘息の既往歴がある場合は禁忌となっている。

そんなときはMS冷シップが処方されたりしますが、MS冷シップにはサリチル酸メチルが含まれている。

サリチル酸メチルもアセチルサリチル酸(アスピリン)と同様にNSAIDsに分類され、COX阻害作用があると思っていたのですが、どうなのでしょうか。


アセチルサリチル酸


サリチル酸メチル



MS冷シップの作用機序 

サリチル酸メチル:局所刺激により適用部位及びその深部の血流を改善する。したがって、栄養状態の悪い皮膚や筋肉の血行促進により、これらの部位の疾患の治癒を促進させる。また内蔵、筋肉、関節その他の深部組織に疼痛を訴える場合に、その組織から脊髄神経節に至る神経と連合した知覚神経の支配を受ける末梢部位に反対刺激薬として適用され、鎮痛効果を上げる作用がある。※1

また、大鵬HPではサリチル酸メチルのCOX-1阻害作用はかなり弱く、喘息リスクは極めて低いとの記載がある。

→鎮痛作用は反対刺激によるもので、COX-1阻害作用は極めて弱い


代謝物

サリチル酸メチルは代謝されてサリチル酸になる可能性があるが、インタビューフォームには以下の記載がある。

サリチル酸メチル:本薬は体内でサリチル酸に分解されるが、特に経口投与したときはイヌでは投与量のわずか0.2~0.5%がエステルの形で尿中に排泄されるに過ぎない

筋肉注射では投与量の14%がエステルの形で排泄される。ウサギの場合、加水分解を受けたサリチル酸はグリシン抱合体、硫酸抱合体、グルクロン酸抱合体の形成などサリチル酸の代謝物と同じものが尿中に検出されるが、サリチル酸メチルの硫酸抱合体及びグルクロン酸抱合体も尿中に検出されるので、一部はエステルの加水分解の前に抱合が行われるものと思われる。※1

→経口でもサリチル酸はごく少量しか産生されない。


副作用報告

2016年の時点で、MS冷シップ使用による喘息発作の報告はなし。※2
特有の臭いで喘息症状を発症してしまった人はいるとのこと。




サリチル酸メチルのCOX阻害作用はとても弱いんですね。

絶対に起こらないとは言い切れないものの、今までに1件も報告がないのでまず問題なくつかえそうです。


まとめ

MS湿布(サリチル酸メチル)は弱いながらCOX阻害作用がある。

ただし、現在までにアスピリン喘息の報告はないため、安全に使える。
(絶対起きないとは言い切れないが)

 2018年3月18日

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