スターシス、グルファスト、シュアポストの違い

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系薬剤)3種類の比較

グリニド系薬剤(速効型インスリン分泌促進薬)には以下の3種類がある。

・スターシス(ナテグリニド)
・グルファスト(ミチグリニド)
・シュアポスト(レパグリニド)

今回はこれら3剤の特徴について調べてみました。
まずはグリニド系薬剤全般の特徴、治療薬として位置づけについて。


グリニド系薬剤全般の特徴

SU剤と同様の作用機序でインスリン分泌を促進するが、作用は速効性ですぐに消失するため食後高血糖患者に適しており、低血糖リスクはSU剤より低い

作用機序がSU剤と同じためSU剤との併用によるメリットはないとする報告が多い。
ガイドラインでも第一選択で血糖コントロールがうまくいかない場合はより強い薬剤への変更又は作用機序の異なる薬剤の併用を考慮するように記載がある。


作用の強さ

HbA1c低下作用
①シュアポスト0.5㎎/回>スターシス90mg/回(-1.17%vs-0.81%)
(ただし低血糖もシュアポストでやや多め)
RCT、110人、16週間

②グルファスト5-20㎎/回≧スターシス60-120㎎(-1.11%VS-0.76%)
(有意差はなし)
RCT、225人、16週間
(Diabetes Obes Metab. 2012 Feb;14(2):187-9.)

③グルファスト10-20㎎/回≒スターシス120㎎/回(0.77%VS-0.71%)
(グルファストは12週以降症状に合わせて20㎎に増量、副作用発現率も差なし)
RCT、291人、20週間
(J Int Med Res. 2009 May-Jun;37(3):812-21.)

まとめると
シュアポスト>グルファスト≒スターシス
といったところでしょうか。

シュアポストは増量によりSU剤並みのHbA1c低下作用を示すとの記載もある。
(糖尿病診療ガイドライン2016)


各薬剤の特徴

スターシス

低血糖5.53%(臨床試験時)
代謝経路:腎排泄→透析を必要とする重篤な腎機能障害に禁忌
発現時間:15-30分でインスリン分泌促進がみられた(ラット)
持続時間:2時間後には対象と同じ血糖値まで回復

グルファスト

低血糖:5.81%(臨床試験時)
代謝経路:腎・胆汁排泄(尿中未変化体数%)→腎機能障害・透析でも投与可能
発現時間:15分でインスリン分泌促進がみられた(ラット)
持続時間:2時間血糖低下作用が持続。

シュアポスト

低血糖:15.1%(臨床試験時)
代謝経路:胆汁排泄(尿中未変化体ほぼなし)→腎機能障害・透析でも投与可能
発現時間:30-40分にインスリン濃度が最大(ヒト)※
持続時間:5時間後にはプラセボと同等まで低下
※ラットでも30分でインスリン分泌促進がみられている


まとめ

強さ:シュアポスト>グルファスト≒スターシス

代謝:シュアポストは肝代謝、グルファストも肝代謝(腎からも多少)、スターシスは腎代謝

 2017年9月4日

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