フルタイドとオルベスコの違い

吸入ステロイドの比較 有効性に違いはある?



吸入ステロイド(単剤)には以下のものがある。

・キュバール(ベクロメタゾン)
・フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸)
・パルミコート(ブデソニド)
・オルベスコ(シクレソニド)
・アニュイティ(フルチカゾンフランカルボン酸)

喘息において吸入ステロイドはステップ1~ステップ4全てにおいて長期管理の第一選択になる薬です。
以下は日本アレルギー学会が示している吸入ステロイドの用量目安。(成人量)

商品名 成分 低用量
(μg/day)
中用量
(μg/day)
高用量
(μg/day)
キュバール ベクロメタゾン 100-200 400 800
フルタイド フルチカゾン 100-200 400 800
パルミコート ブデソニド 200-400 800 1600
オルベスコ シクレソニド 100-200 400 800
(喘息予防・管理ガイドライン2012)※小児は半量(パルミコート吸入液は別扱い)

ステロイド自体の抗炎症作用やグルココルチコイド受容体への親和性の強さはいろいろあるとして、結局用量を調整できるのでここではどうでもいいとします。(全ての強さを比較するのはできなかったので…)

今回は自分の薬局でそれなりに処方を見るフルタイドとオルベスコについて調べてみた。

用法の比較

フルタイド
成人:1回100μg 1日2回
小児:1回50μg  1日2回

オルベスコ
成人:1回100~400μg 1日1回 (MAX800μg)
小児:1回100~200μg 1日1回
※成人800μg/日では1日2回

オルベスコは吸入ステロイドの中で唯一の1日1回だったんですが、アニュイティが発売したため2つ。


バイオアベイラビリティ

経口時
フルタイド、オルベスコ共に経口のバイオアベイラビリティーは1%未満※1
なのでうまく吸入できてなくて胃に入ってもほとんど吸収されないので問題なし。

吸入時
フルタイド:16.6%(ディスカス)
オルベスコ:50%(活性体)

有効性

インタビューフォーム上の臨床成績を見ると、

オルベスコ400μg/day=キュバール800μg/day
オルベスコ800μg/day>キュバール800μg/day
フルタイド200μg/day>キュバール400μg/day
フルタイド400μg/day>キュバール800μg/day

ガイドライン上ではオルベスコ、フルタイド、キュバールは全て800μgで高用量に分類されているが、臨床成績はフルタイド、オルベスコがキュバールに勝っていそう。

メタ解析においてはフルタイドに対してキュバール、オルベスコ、パルミコートはどれも治療成績に大きな差はなかったと報告している。

その中でも多少の差がある部分として、フルタイドは安全性、有効性でキュバール、パルミコートより有効~同等

フルタイドとオルベスコは同等だが、オルベスコのほうが血中コルチゾール値への影響が少なかった※2
このためオルベスコのほうが副腎機能に対する影響(副腎機能抑制)は少ない可能性が考えられる。


オルベスコの代替品

コロナウイルスに関する感染症学会の症例報告により、予想より早く既に卸からは入荷困難(2020.3.4)

喘息患者さんでオルベスコにて治療していた患者さんは代替薬への変更が必要になりそう。

以下はアレルギー学会の資料。
この辺を参考にして代替案を提案できそうです。


フルタイドはエアゾールもあるので、使用方法もオルベスコとほぼ変わらないため手技は問題なさそう。

インタビューフォーム及びガイドライン上の力価も上表と大きな相違はない。


まとめ

用法:フルタイドは1日2回 オルベスコは1日1回(800μg時は1日2回) 
有効性:同等
副作用:副腎機能抑制はオルベスコのほうが小さい(と考えられる)

※1 オルベスコインタビューフォーム
※2 (Expert Rev Respir Med. 2017 Aug 4:1-16.)
 2017年9月8日

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