抗甲状腺薬メルカゾールに甲状腺ホルモンであるチラーヂンを併用する意味
甲状腺機能亢進症の代表的疾患としてバセドウ病がある。
甲状腺ホルモンは体の代謝を高める。
甲状腺機能が亢進してしまうと、代謝があがりすぎて疲労感、動悸、頻脈、振戦、多汗などの症状がでる。
このような場合、甲状腺ホルモンの産生を抑えるためにメルカゾールが処方されるが、そこにわざわざ甲状腺ホルモンであるチラーヂン(レボチロキシン)を併用する場合がある。
どこかでこれは意味がないというのを目にしたことがあるのですが、処方はたまに見ます。
ということで、調べてみました。
メルカゾールの作用機序
メルカゾールはペルオキシダーゼを阻害することで甲状腺ホルモン(サイロキシン、トリヨードサイロニン)の産生を抑制する。
効果が出るまでには最低でも1~2週間程度かかる。
効果が出るまでには最低でも1~2週間程度かかる。
チラーヂンの併用
併用する理由
メルカゾール投与後、亢進症状が改善してきたら減量し、最小量でコントロールするが、中には甲状腺機能の変動が大きく、コントロールが難しい症例がある。
このような場合に甲状腺機能を安定させる目的でチラーヂンを併用するBlock & ReplacementTherapyという療法がある。
ちらみにバセドウ病(=甲状腺機能亢進)において、甲状腺ホルモンの不足は甲状腺受容体抗体を増やしてしまい、甲状腺機能亢進をさらに進めてしまうといった考えもあったため、チラーヂンを投与することで改善するのでは?といった考えもあるようだが、チラーヂンを併用しても効果は変わらないといった報告が主流のようです。
(J Clin Endocrinol Metab. 1996 Sep;81(9):3283-8.)
併用のエビデンス
チラージン併用により寛解率が高まるというエビデンスはなく、副作用が優位に増加するため推奨されない。
(小児期発症バセドウ病診療のガイドライン 2016)
ただし、チラーヂンの併用は寛解を目的とするものではなく、安定しない甲状腺ホルモンを安定させることが目的なので、維持量になった後も再燃するような症例には有効な手段であるとされている。
(バセドウ病治療ガイドライン2011)
ちらみにバセドウ病(=甲状腺機能亢進)において、甲状腺ホルモンの不足は甲状腺受容体抗体を増やしてしまい、甲状腺機能亢進をさらに進めてしまうといった考えもあったため、チラーヂンを投与することで改善するのでは?といった考えもあるようだが、チラーヂンを併用しても効果は変わらないといった報告が主流のようです。
(J Clin Endocrinol Metab. 1996 Sep;81(9):3283-8.)
併用のエビデンス
チラージン併用により寛解率が高まるというエビデンスはなく、副作用が優位に増加するため推奨されない。
(小児期発症バセドウ病診療のガイドライン 2016)
ただし、チラーヂンの併用は寛解を目的とするものではなく、安定しない甲状腺ホルモンを安定させることが目的なので、維持量になった後も再燃するような症例には有効な手段であるとされている。
(バセドウ病治療ガイドライン2011)
メルカゾールの投与量
・甲状腺機能亢進の第一選択薬はメルカゾール(5-15mg/day)
・メルカゾールはチウラジールより有効性・安全性ともに優位。
・メルカゾールは30㎎/dayを超えると副作用発現率が高くなる
・初期投与量~15mgでは少ない症例に対しては、速効性があり副作用が少ないヨウ化カリウム製剤を併用する場合がある
・初期投与量~15mgでは少ない症例に対しては、速効性があり副作用が少ないヨウ化カリウム製剤を併用する場合がある
・減量→隔日投与→6ヵ月安定で症状なければ中止も考慮
まとめ
メルカゾールにチラーヂンを併用するのは、
寛解が目的ではなく、甲状腺ホルモンが安定しない場合に安定させることで症状を緩和することを目的としている。