メトリジン(ミドドリン)、ドプス(ドロキシドパ)の比較
以前αとβどちらの刺激にも繋がるリズミック(アメジニウム)とエホチール(エチレフリン)について比較(こちらの記事)してみましたが、今回はメトリジン(ミドドリン)とドプス(ドロキシドパ)についても一緒に見てみました。
適応
・ドプス
起立性低血圧を伴う血液透析患者のめまい、ふらつき等
パーキンソンによるすくみ足、たちくらみ
シャイドレーガー症候群、家族性アミロイドポリニューロパチーによる起立性低血圧、たちくらみ等
・メトリジン
本能性低血圧、起立性低血圧
本能性低血圧、起立性低血圧
用法
・ドプス
透析時:1回200~400㎎ 透析の30分~1時間前(MAX400㎎/day)
パーキンソン:1日100㎎(分1)~MAX900㎎(分3)
・メトリジン
成人:1日4㎎分2 MAX8mg/day
小児:1日4㎎分2 MAX6mg/day
メトリジンは唯一小児用量が記載されている。
末梢のα1のみを刺激するため心臓への負荷はなく、小児にも使いやすいようです。
作用機序
・ドプス
体内にて芳香族L-アミノ酸脱水素酵素により代謝されノルアドレナリンとなり、中枢及び末梢において作用する。
ただし、血圧低下抑制について臨床試験では明確に示されていない。(動物実験では抑制効果あり)
・メトリジン
ミドドリンはプロドラッグであり、体内で活性代謝物となったあとα1受容体を選択的に刺激する。(α2やβ受容体には作用を示さない)
薬物動態
・ドプス
発現時間:資料なし(Tmax≒2.5h T1/2≒2.0h)
透析除去:除去されるが、透析1時間前内服により透析中も血中濃度は上昇する。(透析2時間後:0.85→4時間後:1.31μg/mL)
・メトリジン
発現時間:資料なし(Tmax≒1.5h T1/2≒1.3-2.4) ※活性代謝物
透析除去:除去される(T1/2が4hから1hに短縮された例あり)
副作用
・ドプス使用成績(透析時低血圧)調査856例中、頭痛6例(0.7%)、動悸4件(0.5%)、悪心3件(0.4%)、血圧上昇4件(0.3%)
・メトリジン
全症例9156例中、頭痛14件(0.15%)、悪心13件(0.14%)、腹痛12件(0.13%)
低血圧への使用方法
・ドプスはノルアドレナリンの前駆体であり、作用発現まで時間がかかるため透析開始の30分~1時間前に内服する必要がある。・メトリジンは効果が穏やかであり、定時内服での処方が多い。
β刺激がないメトリジンは動悸などの心臓系の副作用が圧倒的に少ない。
β刺激がないメトリジンは動悸などの心臓系の副作用が圧倒的に少ない。
まとめ
メトリジンはα1刺激のみ、小児適応あり、副作用少ない
透析に適応あるのはドプス、リズミック。