ガスター、プロテカジン、ザンタックの違い

H2ブロッカー3剤の比較 強さや代謝経路について

H2ブロッカーには以下の種類がある。

ガスター(ファモチジン)
・プロテカジン(ラフチジン)
・ザンタック(ラニチジン)
・アルタット(ロキサチジン)
・タガメット(シメチジン)
・アシノン(ニザチジン)


普段はファモチジンばかり処方されており、透析患者にはラフチジン、その他たまにラニチジンを見る程度。
(日経メディカルのアンケート結果でも1位のファモチジンが79.8%で断トツ、ついでラフチジン6.4%、ラニチジン5.4%)

今回はこれらの薬剤に違いについて調べてみました。

基本情報


胃酸抑制作用

ガスター>プロテカジン

~各インタビューフォーム上の記載~
プロテカジンはガスターの0.1倍
ガスターはタガメットの40倍
プロテカジンはタガメットの2.3倍
※単純に力価を比較しただけのデータ。


有効性の比較

上記のように胃酸分泌抑制作用は差があるかもしれませんが、胃潰瘍に対する治療効果は薬物間で差はないとされている。※1


胃粘膜保護剤だとスクラルファートはエビデンスいいんですね。
胃潰瘍の治癒率がH2ブロッカーと差なしとなっている・・・


代謝経路

ガスター(ファモチジン)
経口後24時間までの尿中未変化体排泄量:21~49%
(静注時は57.8~96.4%)
→腎機能障害に応じて投与量調整が必要 

Ccr≧60:1回20mg 1日2回
60>Ccr>30:1回20mg1日1回 又は 1回10㎎1日2回
30≧Ccr:1回20mg 2-3日に1回 又は 1回10㎎1日1回

(ガスターインタビューフォーム)


プロテカジン(ラフチジン)
経口後24時間までの尿中未変化体排泄量:10%
(代謝物含めても20%前後)
→腎障害があっても用量調整不要
 
ただし、透析患者では血中濃度が健常人の2倍以上になる場合もあるため低用量から投与(透析除去率は7-18%)

(プロテカジンインタビューフォーム、添付文書)

ザンタック(ラニチジン)
経口後24時間までの尿中未変化体排泄量:46~48%
→腎機能障害に応じて投与量調整が必要

Ccr>70:1回150mg 1日2回
70≧Ccr≧30:1回75mg 1日2回
30>Ccr:1回75mg 1日1回
(透析に関する投与量記載無し 除去率8%)

(ザンタックインタビューフォーム)


胃粘膜保護作用

ガスター(ファモチジン)
胃粘膜血流量増加作用により防御因子を増強する。
胃粘膜増加作用はなし。

プロテカジン(ラフチジン)
カプサイシン感受性知覚神経を介した胃粘液増加作用を有する。
胃粘膜血流増加作用もあり。

ザンタック(ラニチジン)
胃粘膜保護作用が推測されるとの記載はある。
胃粘膜血流増加作用はなし。

相互作用

ガスター(ファモチジン)
CYP阻害作用はほとんど見られていない。
(併用注意:イトラコナゾールのみ)

プロテカジン(ラフチジン)
CYP阻害作用に関する記載なし。
(併用注意なし)

ザンタック(ラニチジン)
シメチジンよりは弱いがCYP1A2,2D6,3A4/5抑制作用あり。
(併用注意:ワーファリン)

認知機能に対する影響

脳内のH2受容体が阻害されると認知機能低下や中枢神経系の副作用がみられるため、高齢者においては避けるべき薬剤とされている。(認知症疾患診療ガイドライン2010)

シメチジンによる報告が多いようだが、薬剤間で差がなかったとする報告もある。(第105回日本精神神経学会 薬剤による認知機能障害)


透析患者さんにラフチジンばかり処方されている意味が理解できました。
外来ではしっかり効くガスターって感じなんでしょうかね。

まとめ

胃酸分泌抑制作用が強い:ガスター(ファモチジン)

腎障害でも調整不要で使えるの:プロテカジン(ラフチジン)

相互作用・認知機能低下作用は大差はなし

※1 消化性潰瘍ガイドライン
 2017年10月2日

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