妊婦へのインフルエンザワクチン

妊婦さんはインフルエンザワクチンを受けるべき?やめるべき?


妊婦さんはインフルエンザに罹患しやすく、重症化する可能性が高いとされています。

インフルエンザになった場合は、抗インフルエンザ薬(タミフル、イナビル等)を投与すべきとされていますが、インフルエンザワクチンについてはどうなのでしょうか。

妊婦と薬情報センター

妊婦と薬情報センターは厚労省に指示により、国立育成医療研究センターに設置されている組織。
様々なエビデンスを収集し、最新の情報を発信している。

こちらのホームページには以下の記載がある。

・妊娠初期(妊娠4ヶ月まで)にインフルエンザ不活化ワクチン接種を受けた母親から生まれた650人の児において、大奇形、小奇形の発生率は増加しなかった
(Birth Defects and Drugs in Pregnancy, 1977)

・第1三半期に不活化インフルエンザワクチン接種を受けた子どもにおいて、先天奇形発生率の増加は認められなかったとの小規模な研究による報告あり。
(J Infect Dis 140(2):141-146, 1979, Am J Obstet Gynecol 140:240-245, 1981)

(薬と情報センター:インフルエンザ情報)

 生ワクチンではないので重篤な副作用は起こらないと考えられ、一般的に妊娠中のすべての時期において安全であるとされています。


日本産科婦人科学会

Q&Aの項目に以下の記載。

妊婦へのインフルエンザワクチンに関しては安全性と有効性が証明されています。昨シーズンの新型インフルエンザワクチンに関しても、妊婦における重篤な副作用報告はありませんでした。チメロサール等の保存剤が含まれていても安全性に問題はないことが証明されています。(H22.12.22更新内容)

通常使われているバイアル製剤には保存料のメチロサールが含まれている。

メチロサールはエチル水銀由来の保存剤で、一時海外において発育障害が疑われたことがあったが、現在の疫学研究においてはそのような問題ないとされている。

保存剤の入っていないプレフィルドシリンジタイプのものも希望できるらしい。(厚労省:妊娠されている方へ)

各国の臨床報告


WHOにおいて、妊婦さんは優先接種者とされています。


参考:米CDCが定めているハイリスク群

○5歳未満の乳幼児(特に2歳未満の場合にはリスクが高い)
○65歳以上の高齢者 
○以下の基礎疾患をもつもの 
・慢性呼吸器疾患(喘息を含む) 
・心血管系疾患(高血圧は含まない) 
・腎疾患 ・肝疾患 
・血液疾患(鎌状赤血球症を含む) 
・神経・神経筋・代謝性疾患(糖尿病) 
・妊婦 
○免疫抑制状態にあるもの(HIV感染症を含む) 
○19歳未満で長期アスピリン治療をうけているもの 
○介護施設、慢性期療養施設に入所しているもの


まとめ

インフルエンザワクチンによる催奇形性の報告はなし。

妊婦は感染・重症化しやすいため予防接種すべきとされている。

 2017年10月4日

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