ニフェジピンLを粉砕して頓服投与は速効性があるのか
血圧が高いときの頓服としてアダラートL(ニフェジピンL)の粉砕投与指示が出されることがある。
アダラートLのインタビューフォームには粉砕について、"本剤は徐放性のフィルムコーティング錠であり、粉砕により作用持続性および光に対する安定性が失われることが考えられるため、粉砕して使用しないこと"と記載がある。
頓服使用なので持続性は失ってよいとして、有効成分(ニフェジピン)の安定性を見ると、粉末状態は直射日光4日間で含量が32%まで低下している。
なので粉砕頓服で使用する場合は少なくとも直前に粉砕してもらう。
では、実際どの程度吸収が早くなるんでしょうか。
粉砕による溶出率の変化
アダラートLに関しては粉砕時のデータがなかったため、ニフェジピンL「サワイ」で比較してみました。
溶出率の変化=血中濃度の変化と単純に考えることはできませんが、生物学的同等性を示すために使われており、関連することは明示されていることから参考にはなりそう。
服用30分後で溶出率が2倍なので、血中濃度の2倍近くになっているかもしれない。
光による分解は14日で含量95%となっており、原薬ほどの落ち込みはない。
参考
錠剤のアダラートL
作用発現:0.5~1時間
持続時間:12時間
Tmax:2~2.5時間
Cmax:26ng/ml(10mg投与時)
(アダラートLインタビューフォーム)
作用発現時間
アダラートLの作用発現時間が0.5~1時間。
粉砕して溶出率2倍なら15分くらいから効果がみられるかもしれませんね。
そもそもアダラートは徐放性じゃないアダラートカプセルがありますが、こちらではダメなんでしょうか。
アダラートカプセルの作用発現時間は30分以内、Tmaxは1時間となっています。(アダラートカプセルインタビューフォーム)
アダラートLのちょうど2倍くらいの速さなのでアダラートL粉砕ではなくてアダラートカプセルでも良いような…
まとめ
光により分解するため粉砕する場合は服用直前に。
ニフェジピンL製剤は粉砕により溶出率が2倍なったというデータあり。
単純に比較はできないが、溶出率が血中濃度と相関関係にあるとすると発現時間も2倍早くなりそう。