喘息に抗ヒスタミン薬は有効か

喘息に抗ヒスタミン薬を投与すると悪化する場合もある? 抗アレルギー薬なら有効?

気管支喘息の治療は全てのステップ(重症度)において基本となるのはステロイド、そこに抗ロイコトリエン、テオフィリン、LAMA、LABAなどが追加されていくが、さらに追加治療として抗アレルギー薬の記載がある。

抗アレルギーは、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、H1ブロッカー、トロンボキサンA2阻害薬、Th2サイトカイン阻害剤を指すとの記載もある。

先日ある参考書を読んでいたら、「気管支喘息に抗ヒスタミン薬は無効、むしろ悪化する…」との記載を発見しました。

気になったのでいろいろ調べてみました。


気管支喘息に抗ヒスタミン薬が有効とする理由

喘息は気道の慢性炎症であるが、その炎症を引き起こす原因となるのがアレルギー反応(小児はアレルギー性、成人は非アレルギーが多い)。

ヒスタミンは受容体に結合すると血管浮腫、平滑筋収縮を引き起こす。※1

このため、抗ヒスタミン薬を使用すれば気管支の浮腫、平滑筋収縮を抑制できるため気管支喘息に有効であると考えられる。

さらに、ヒスタミンH1受容体はTh1の活性化にも関わっているため、抑制することで炎症サイトカインの産生抑制にもつながることが報告されている。※1

また、気管支喘息の患者がアレルギー性鼻炎を合併している場合が多く、両疾患の憎悪時期は相関性があるとの報告もある。

このため、抗ヒスタミン薬によるアレルギー性鼻炎のコントロールは喘息の悪化抑制になる。※1

※1(薬学雑誌 131(2) 185-191 (2011) )


気管支喘息に抗ヒスタミン薬が無効とする理由

気管支平滑筋の収縮に関与する各化学物質において、ヒスタミン以外の化学物質(ロイコトリエン等)のほうが強いただし、抗ヒスタミン薬で抑制作用がみられないわけではない。※2

※2(薬学雑誌 131(2) 185-191 (2011))
※2(Dokkyo Journal of Medical Sciences41(3):257〜267,2014)

このため抗ヒスタミン薬による気管支収縮抑制作用はあまり期待できないばかりか、抗ヒスタミン薬の持つ抗コリン作用により気道粘膜分泌が抑制され、喀痰の粘稠化・去痰困難を引き起こす場合があるため投与すべきでないとする報告もある。※3

※3(ペリアクチン添付文書、小児の薬の選び方・使い方 南山堂)


抗ヒスタミン薬の中でも抗コリン作用のある薬剤は症状を悪化する場合もあるので使用すべきでないと考えるのが無難でしょうか。

ロイコトリエン受容体拮抗薬のほうが気管支収縮抑制作用が強いのは確かですが、抗ヒスタミン薬でも収縮抑制が見られるのも確かです。


喘息に適応を持つ抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)

気管支喘息に適応をもつ抗アレルギー薬には以下の4つがある。

アゼプチン
ケトチフェン(ザジテン)
メキタジン(ゼスラン)
エピナスチン(アレジオン)
オキサトミド(セルテクト)

抗ヒスタミン薬といったが、全て第2世代=抗アレルギー薬であるので抗コリン作用は弱め、抗ヒスタミン作用以外に抗ロイコトリエン、抗PAF作用など様々なケミカルメディエーター抑制作用がある。

これらの薬剤は抗ヒスタミン作用ではなく、抗ロイコトリエン、抗PAF作用により喘息の症状を改善する。※4

※4アレジオンインタビューフォーム


抗ヒスタミン薬ではなく、抗アレルギー薬が有効という考え方になるのでしょう。


まとめ

抗ヒスタミン薬は無効ではないが、抗コリン作用がある場合は注意が必要。

抗アレルギー薬は抗ヒスタミン作用ではなく、抗ロイコトリエン、抗PAF作用により気管支喘息を改善する。


 2017年11月1日

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