タモキシフェンとトレミフェンの比較

タモキシフェンとトレミフェン SERM2種類 有効性は同じでも禁忌に注意


タモキシフェンとトレミフェンはSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)の中で乳がん再発予防効果の報告がある薬剤です。(その他のSERMで報告はみられない)※1

SERMは乳がん組織のエストロゲン受容体において、エストロゲンと競合的に拮抗することで抗エストロゲン作用を示す。

※1乳がん診療ガイドラン2015 (薬物療法・初期治療ID10090)

基本情報

タモキシフェン
適応:乳がん
用法:1日2回

トレミフェン
適応:閉経後乳がん
用法:1日1回


トレミフェンの適応を見ると閉経後のみの記載になっている。
アロマターゼ阻害薬と違い、作用機序から考えると閉経前も使用可能と思われる。

有効性の比較

トレミフェンの5年投与とタモキシフェンの5年投与の4つのランダム化比較試験とそのメタアナリシスによると、2剤の有効性、有害事象、QOLは同等とされている。※1-4

※1Clin Oncol. 2000 Oct 15;18(20):3487-94
※2Ann Oncol. 2004 Dec;15(12):1749-59
※3Cancer. 2010 May 15;116(10):2307-15
※4Breast Cancer Res Treat. 2011 Aug;128(3):625-31


また、進行性乳がんに関するタモキシフェンとトレミフェンのメタナナリシスにおいても有効性(進行率・死亡率)は同等とされている。

有害事象に関してはほぼ同等だが、頭痛に関してはタモキシフェンのほうが7倍多かった。※1

※1Cochrane Database Syst Rev. 2012 Jul 11;(7):CD008926


禁忌と副作用

上記試験において、有害事象の発生数に大きな差はなかったとされているが、トレミフェンではQT延長の報告がある。

このため、トレミフェンはQT延長のリスクとなる低カリウム血症、クラスⅠA及びⅢの抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド、アミオダロン、ソタロール)との併用は禁忌となっている。

まとめ

有効性は同等

トレミフェンはQT延長の報告があるため併用禁忌薬・カリウム値に注意


 2017年11月14日

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