バイアスピリンとイグザレルトの併用で狭心症リスクを低下?

狭心症に抗凝固薬が有効?

(血栓型の)狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患には抗血栓薬(アスピリン、クロピトグレル)を用いるが、バイアスピリンに抗凝固薬のリバーロキサン(イグザレルト)を併用することでさらにリスクが低下したとの報告がある。

COMPASS試験の内容

対象患者

安定した冠動脈疾患(CAD)または末梢動脈疾患(PAD)の既往がある患者27,395人。


患者背景
90%にCADの既往、27%にPADの既往歴
38%が糖尿病合併
90%が脂質異常症治療薬、71%がACE阻害薬服用


方法


以下の3群に分け、23か月間追跡し、主要心血管イベント発生率を比較。

リバーロキサン(2.5mg×1日2回)+アスピリン(100mg/日)併用群
リバーロキサン(5mg×1日2回)群
アスピリン(100mg/日)群

結果

主要評価項目となる主要心血管イベント発生率

併用群:4.1%(9152例中379例)
リバーロキサン群:5.4%(9126例中496例)
アスピリン群:4.9%(9117例中448例)

アスピリン群に比べて併用群の発生リスクは24%減少
(HR:0.76、95%信頼区間95%CI:0.66-0.86、P<0.001)

リバーロキサンとアスピリン群との間に有意な差なし
(HR:0.90、95%CI:0.79-1.03、P=0.12)

併用群のアスピリンに対するリスク低下詳細
心血管死亡(HR:0.78、95%CI:0.64-0.96、P=0.02)
脳卒中(HR:0.58、95%CI:0.44-0.76、P<0.0001)
心筋梗塞(HR:0.86、95%CI:0.70-1.05、P=0.14)

※HR:ハザート比


大出血のリスク

併用群群とリバーロキサン群はアスピリン群より出血リスクが高かった。

併用群:3.1%(288例)
リバーロキサン群:2.8%(255例)
アスピリン群:1.9%(170例)

併用群の出血リスクはアスピリン群の1.7倍。(95%CI:1.40-2.05、P<0.0001)
リバーロキサン群の出血リスクはアスピリン群の1.5倍。(95%CI:1.25-1.84、P<0.0001)

ただし、致死的な出血では、どちらもA群との間に有意差を認めなかった


凝固系と血小板血栓の関係性

血栓形成にかかわる主要な因子として、フィブリン産生にかかわる凝固系血小板がある。

生体内には血小板のみでできた血栓、フィブリンのみでできた血栓は存在せず、凝固カスケードと血小板は連動して血栓を形成していると考えられている。※1

イグザレルトなどのDOACでトロンビン合成を抑制すれば、血小板による血栓もより予防できる事がこの試験でわかりましたので、今後はアスピリンやプラビックス等に併用されることが多くなるのかもしれません。

ただし、出血リスクの増加も見られいるため注意。

※1循環器疾患における抗凝固・抗血療法に関するガイドライン


 2017年11月23日

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