加味帰脾湯と加味逍遙散の違い

加味帰脾湯は落ち込んでいる人、加味逍遙散はイライラしている人?

不安症状が見られる患者さんの漢方薬が加味逍遥散から加味帰脾湯に変更となっていた。

名前が似ており、どちらも不安症状に使いますが、どのような違いがあるのでしょうか。

適応

加味帰脾湯
・虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症
貧血、不眠症、精神不安、神経症


加味逍遙散
・体質虚弱な婦人で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状
・ときに便秘の傾向のある次の諸症
冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症


加味逍遥散には産婦人科の疾患からくる症状が適応となっている。
心身症診断治療ガイドラインの更年期障害の項目でも取り上げられている。

特徴

加味帰脾湯
帰脾湯にサイコとサンシシを加えた漢方。
帰脾湯は消化器系の働きを改善しつつ、気と血の不足を補うことで、不安、不眠、貧血等を改善する。

加味逍遙散
逍遥散にボタンピとサンシシを加えた漢方。
産婦人科の三大漢方薬のひとつで、月経異常や更年期障害に用いられることが多い。



※以下はクラシエさんHPの説明

加味帰脾湯
人は夜になると、「気」から生じる熱を鎮めることで眠ります。ところが、このとき「血(けつ)」が足りていないと、エネルギーを十分に鎮めることができず、昼と夜のメリハリがつかない状態になってしまいます。
そのため、いわゆる浅い眠りの時間が多くなり、なんだかスッキリしないという状態になります。 

「加味帰脾湯(かみきひとう)」は、消化器のはたらきを助けながら、足りない「血(けつ)」を増やして不眠を改善します。また、気持ちを落ち着かせることで、精神を安定させます。

→イライラは少なめの疲労感、不眠、不安に。


加味逍遙散
この処方は、「血(けつ)」の不足から「気」が余り、たまった「気」が熱に変わってさまざまな症状を引き起こしている方に向いた処方です。 

「気」が熱に変わると、暖房で温められた空気が上に上がっていくように、上に上がっていきます。

「加味逍遙散(かみしょうようさん)」は、この「気」を下に降ろして全身にめぐらせるとともに、たまった熱を冷やします。さらに、不足している「血(けつ)」を補うことで、体のバランスを整えていきます。とくに、肝に異常があり、交感神経が興奮したことによるイライラ、不眠症などの中高年女性の神経症状によく用いられます。また、自律神経を調整し、イライラやのぼせを鎮めて、血行も促進します。

→イライラからくる不眠、不安に。

成分

加味帰脾湯(ツムラ)
オウギ        3.0g
サイコ        3.0g
サンソウニン  3.0g
ソウジュツ    3.0g
ニンジン      3.0g
ブクリョウ    3.0g
リュウガンニク3.0g
オンジ        2.0g
サンシシ      2.0g
タイソウ      2.0g
トウキ        2.0g
カンゾウ      1.0g
ショウキョウ  1.0g
モッコウ      1.0g

加味逍遙散(ツムラ)
サイコ    3.0g
シャクヤク  3.0g
ソウジュツ  3.0g
トウキ    3.0g
ブクリョウ  3.0g
サンシシ   2.0g
ボタンピ   2.0g
カンゾウ   1.5g
ショウキョウ 1.0g
ハッカ    1.0g

オレンジ色は共通緑色が含量違い、その他は共通なし


まとめ

加味帰脾湯:イライラはあまりない人の不安、不眠などの精神症状

加味逍遥散:イライラからくる不安、不眠などの精神症状、特に婦人科系

 2017年12月5日

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