アドソルビン、タンナルビン、フェロベリンの違い

穏やかに作用する下痢止め3種類の違いは?


下痢がひどすぎるとロペミン、リンコデなどで下痢を止めることもありますが、そこまでではない場合基本下痢は止めないことが多い。

そんなとき処方されるのがアドソルビン、タンナルビン、フェロベリン当たり。

これらも止瀉作用(下痢を止める)はありますが、ロペミンやリンコデなどと比べるとかなりマイルド。

今回は上記3薬剤についてどのような違いがあるのか調べてみました。


薬理作用の比較

アドソルビン
吸着作用を有し、胃及び腸管内における異常有害物質、過剰の水分又は粘液などを吸着し、除去せしめる。この吸着作用は腸管内では結果的に収斂作用、ひいては止瀉作用をあらわす。※1
→吸着作用


タンナルビン
水に溶解せず、口腔、胃では分解を受けず収れん作用を現さないが、腸管内で膵液により徐々に分解してタンニン酸を遊離し、全腸管に緩和な収れん作用をあらわすことにより、止瀉作用を示す。※2
→収れん作用


フェロベリン(ベルベリン+ゲンノショウコ)
殺菌作用、異常発酵抑制、蠕動運動抑制、胆汁分泌促進、収れん作用による止瀉作用。※3
→殺菌、胆汁分泌促進、収れん作用



アドソルビンは吸着、タンナルビンは収れん、フェロベリンは殺菌+収れん
といったところでしょうか。

アドソルビンの吸着で結果的に収れんが起こるということがよくわからないのですが…



※収れん作用
・たんぱく質を変性させて組織や血管を縮める。
・タンニン酸の場合、腸粘膜のタンパク質と結合して被膜を作る。これにより炎症を起こした粘膜への刺激を和らげる。


※胆汁と下痢の関係
・胆汁は脂肪を包む(ミセル化)するのに必要なため、胆汁が少ないと脂肪を包むことができず、脂肪により腸管が刺激されて下痢になる(脂肪性下痢)
・逆に胆汁が多すぎても胆汁により浸透圧が高くなり、腸管側に水が分泌されて下痢になる(胆汁酸性下痢)※4


臨床成績の比較

アドソルビン


タンナルビン
データなし


フェロベリン

タンナルビンは資料が全然見つからない。
アドソルビンはフェロベリンやロペミン等を併用しているようで、何とも言えない。


その他の特徴

アソドルビン
・散剤だが水に溶けない
・Alを含むため透析に禁忌
・吸着作用及びAl含有のため相互作用多数(キノロン、テトラサイクリン等)


タンナルビン
・散剤だが水に溶けない
・鉄とキレートして吸収が低下するため禁忌(鉄剤には禁忌の記載なし)
牛乳アレルギーに禁忌(タンニン酸に結合させているタンパク質が乳性カゼイン)


まとめ

アドソルビン:吸着作用からのなぜか最終的には収れん作用 併用薬と透析注意

タンナルビン:タンニンによる収れん作用 牛乳アレルギー注意

フェロベリン:収れん作用+殺菌作用+胆汁分泌促進


※1アドソルビンインタビューフォーム
※2タンナルビン「ホエイ」インタビューフォーム 
※3フェロベリン配合錠インタビューフォーム

 2018年1月14日

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