フォサマック、ボノテオ、アクトネル、ボンビバの違い

ビスホスホネート製剤4種類の比較

よく見るビスホスホネート製剤には以下の4種類がある。

アレンドロン:フォサマック、ボナロン
リセドロン:アクトネル、ベネット
ミノドロン:ボノテオ、リカルボン
イバンドロン:ボンビバ

一番新しいボンビバはビスホスホネートの中では最も骨折リスクが高いといった報告もあるようだが、エビデンスがまだ不十分だそう。

門前の総合病院ではフォサマックとボノテオが採用薬となっているが、これら4種類に大き
な違いはあるのでしょうか。

服用間隔

アレンドロン(フォサマック、ボナロン)
5㎎錠:毎日 
35gm錠:週1

リセドロン(アクトネル、ベネット)
2.5㎎錠:毎日 
17.5㎎錠:週1 
75㎎錠:月1

ミノドロン(ボノテオ、リカルボン)
1㎎錠:毎日 
50㎎錠:4週に1回

イバンドロ(ボンビバ)
100㎎錠:月1回
1㎎注:月1回


リセドロン、イバンドロンは月1回、ミノドロンは4週に1回と微妙な違いはある。
臨床試験の際、ミノドロンは4週間に1回の投与で行われたためこうなっているが、月1回でも差は生じないと思われる。


エビデンスの比較(骨折抑制利率)

骨粗鬆症治療においてもっとも重要なことは骨折をしないようにすること。

中でも椎体・大腿骨近位部の骨折はQOLを著しく低下させるため、この2か所の骨折予防が重要である。

以下のパーセントは骨折リスクの低下率(※1ガイドライン抜粋)

アレンドロン
椎体・非椎体・大腿骨近位部すべてメタ解析で骨折抑制効果が証明されている。

椎体:45~48%
非椎体:16~49%
大腿骨近位部:40~53%


リセドロン
椎体・非椎体はメタ解析で、大腿骨近位部はRCTで骨折抑制効果が証明されている。

椎体:36%
非椎体:27%
大腿骨近位部:40%


ミノドロン
椎体のみRCTで抑制効果が証明されいてる(国内では初)

椎体:59%
非椎体:データなし
大腿骨:データなし


イバンドロン
リセドロンとの比較試験での骨折発症率

椎体:リセドロン17.6% VS イバンドロン16.1%
非椎体:リセドロン8.4% VS イバンドロン4.6%
椎体:データなし



ミノドロン、イバンドロンは非椎体、大腿骨に関してはデータがまだないだけで、抑制効果がないわけではない。
次に記載したが、骨吸収抑制作用などは強い可能性が示唆されている。


エビデンス総括

2015年版ガイドラインでは以下のようになっている。


ミノドロンはまだエビンデンスが少ないため非椎体骨折、大腿骨近位部骨折に関してはレベルCになっているが、骨吸収抑制作用は最も強力とされており、骨密度改善もアレンドロンより良い結果となっている※1

骨折抑制は骨密度及び骨代謝マーカーの上昇率が同等であれば骨折抑制作用も同程度※1と考えることもできるようで、これを考慮するとミノドロンはアレンドロン、リセドロンに劣らぬ骨折抑制作用があると考えられる。

イバンドロンもエビデンス不十分なため大腿骨はレベルC。
ただし、アレンドロンやリセドロンより有意に骨折抑制がみられたとの報告もあり、ビスホスホネート製剤の中で最も強力である可能性が示唆されている。

直接比較ではないが、骨粗鬆症治療薬のうち、新規骨折形成の抑制はデノスマブ(プラリア)>イバンドロン(ボンビバ)>アレンドロン≒リレセドロンとする報告もあるが、デノスマブとアレンドロンで差がなかったとする報告もある。※1



副作用の比較

胃腸障害による服薬率の低下(%は中止例中の頻度)1

アレンドロン:48~52%
リセドロン:15%


インタビューフォーム(使用成績調査)


アレンドロン
(フォサマック35㎎ 3162例)
腹部不快感(1.1%) 上腹部痛(1.0%) 悪心(0.8%) 消化不良(0.5%)

リセドロン(アクトネル17.5㎎ 3452例)
腹部不快感(2.0%) 消化不良(0.6%) 上腹部痛(0.6%) 悪心(0.6%)

ミノドロン(ボノテオ50㎎ 228例※)
胃・腹部不快感(2.2%) 腹痛(1.3%) 胃炎(1.3%)

イバンドロン(ボンビバ注 979例中※)
消化器系障害(4%) 上位:胃炎0.8% 胃不快感0.5%

イバンドロン(ボンビバ錠 313例中※)
消化器系障害(8%) 上位:下痢1.4%、悪心1.3%、腹痛1.3%

※使用成績調査なし


胃腸障害による中止率と使用成績調査での胃腸障害発症がアレンドロンとリセドロンで逆転しているため、どちらが胃腸障害が少ないかは何とも言えない。


構造と世代

構造上の側鎖の違いより第1世代~第3世代に分けられる。

第1世代:エチドロン:側鎖に窒素なし
第2世代:アレンドロン、イバンドロン:側鎖に窒素を含み、直鎖構造
第3世代:リセドロン、ミノドロン:側鎖に窒素を含み、環状構造

側鎖に窒素を持たせることで骨吸収抑制作用を強力にしている。※1
その反面、局所刺激作用が強くなってしまい、消化器系の副作用防止のため服用後30分横になってはいけなくなってしまっていエチドロンにこの文言はなし)


服用方法

ビスホスホネートといえばコップ1杯180mlの水で起床時服用 その後30分水以外飲食禁止、横にならない。

ですが、ボンビバ錠だけは30分でなく60分となっている。
もちろん注射剤のボンビバ注は何も縛りはない。

アレンドロンのうち、ボナロンはゼリータイプがあり、嚥下困難に・・・とガイドラインにも記載はあるが、ゼリーも180mlの水は必要で、しかも噛んだり口腔内にながく含んではいけない。

嚥下困難だと口でもぐもぐしてしまったりする人もおり、微妙。


まとめ

一貫したエビデンスではないものの、骨折抑制作用は

イバンドロン(>?)ミノドロン(>?)アレンドロン≒リセドロン

・骨折抑制効果に関するエビデンスが豊富なのはアレンドロン、リセドロン
・ミノドロンはおそらくアレンドロン、リセドロン以上の効果がありそうだが、臨床試験結果待ち
・さらに最も強いとされるイバンドロン(ボンビバ)もあるが、エビンデンス不十分

胃腸障害はどれも大きな差はないと思われる


※1骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015
 2018年1月15日

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