グーフィス、アミティーザ、リンゼスの比較

グーフィスは胆汁酸で便秘を解消 リンゼスは腹痛軽減 アミティーザは下痢が多い?


リンゼス、アミティーザに新規作用機序のグーフィスが発売された。
今回の薬は胆汁酸により便秘を改善する薬。


先日ちょうどフェロベリンについて調べているとき、胆汁と下痢の関係について以下のように学んだ。(過去の記事)


脂肪性下痢
胆汁は脂肪を包む(ミセル化)するのに必要なため、胆汁が少ないと脂肪を包むことができず、脂肪により腸管が刺激されて下痢になる。

胆汁酸性下痢
胆汁が多すぎても胆汁により浸透圧が高くなり、腸管側に水が分泌されて下痢になる。


フェロベリンは胆汁分泌を促進することで下痢を改善する作用があるが、グーフィスは同じく腸管の胆汁酸を増加させるが、それにより便秘を改善する薬剤であり、フェロベリンとは真逆となっている。


では、3剤について、作用機序、副作用、薬物動態、有効性について見てみます。

基本情報

グーフィス

適応:慢性便秘症
用法:1日1回 食前 1回10㎎(MAX15㎎)
禁忌:腸閉塞
製剤:一包化可
慎重:重篤な肝機能障害

リンゼス

適応:便秘型過敏性腸症候群、慢性便秘症
用法1日1回 食前 1回0.5㎎ 症状により0.25㎎(H30.8月改定)
禁忌:消化管閉塞、過敏症
製剤:一包化不可 粉砕不可
慎重:なし

アミティーザ

適応:慢性便秘症
用法:1日2回 朝夕食後 1回2カプセル 適宜増減
禁忌:腸閉塞、過敏症、妊婦
製剤:一包化可能(30日変化なし) 粉砕不可
慎重:中等度以上肝機能障害


グーフィスの慎重投与は胆道閉塞、胆汁分泌が低下していると効果が落ちる。
アミティーザは血中濃度上昇が見られたため。

リンゼスも慢性便秘の適応が追加されたため、適応の差はほとんどなし。


作用機序の違い

グーフィス(エロビキシバット)の作用機序

エロビキシバットは回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させる。(通常胆汁酸は小腸で95%近く再吸収されてしまう)

胆汁酸は、大腸管腔内に水分を分泌させ、さらに消化管運動を促進させる為、本剤の便秘治療効果が発現すると考えられる。

胆汁酸増加→浸透圧上昇→腸管へ水分移行

更に詳しく見ると、大腸に移行した胆汁酸がTGR5という受容体に結合することで、cAMP産生、Na分泌、水分分泌が促進する。また、TGR5に胆汁酸が結合すると5-HTが腸壁に放出され、5-HTによりIPANという内在神経活性化、運動ニューロン活性化が起こり、最終的にAch分泌、NO分泌により蠕動運動が亢進する。


リンゼス(リナグルチド)の作用機序

腸管腔にあるグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体に作用し、cGMPを増加させ、cGMPによりCFTRがリン酸化されることで腸管内への水分分泌を促進する。

また、cGMPは求心性神経を抑制し、腹痛、腹部不快感を緩和する。


アミティーザ(ルビプロスト)の作用機序

腸管腔にあるクロライドチャネルに作用し、腸管内への水分分泌を促進する。





副作用の比較

アミティーザやリンゼスは水分分泌促進だったのに対し、グーフィスは水分に加えて蠕動運動を亢進させてしまうため腹痛が出やすい
臨床試験結果をみても腹痛19%とかなりの高頻度となっている。

ちなみにアミティーザは腹痛6%、リンゼスは1~5%未満。(リンゼスはむしろ腹痛を改善する作用がある)

一方アミティーザは下痢の頻度も高いし、初期に吐き気も出やすい。食後に服用しないとさらに出やすくなる。


リンゼス:下痢13%、腹痛1-5%未満 (855例中)
グーフィス:腹痛19%、下痢15.7%、19% (631例中)
アミティーザ:下痢30% 悪心23%、腹痛6% (315例中)

アミティーザは外来で見ていても下痢が高頻度で見られ、中止になる人が多い印象。

グーフィスの腹痛は初期に出やすいそうですが、服用継続し、便秘が改善していけば痛みは見られなくなっていくそうです。(メーカー説明)


薬物動態の比較

吸収率について


リンゼス、アミティーザ:ほぼ吸収されない。
グーフィス:2剤と比べるとやや吸収される。

グーフィスも消化管に直接作用する薬剤だが、リンゼス、アミティーザと比較するとやや吸収されやすい。
ただし、微量であり腎機能は気にせず使えそう。


グーフィス
10㎎反復投与時のCmaxは400(ピコグラム/ml)となっており、アミティーザやリンゼスのように定量限界(10ピコグラム/ml)以下にはなっていない。

リンゼスに関しては0.2ピコグラムといった値なので、2剤に比べるとやや高め。


リンゼス
ポリペプチドのためほとんど吸収されない。

最終的にはアミノ酸や低分子ペプチドに分解され体内に吸収されるか、分解されないものはそのまま排泄される。

このため腎機能障害や肝機能障害があっても問題ない。


アミティーザ
ほとんど吸収されず、腸管局所で作用する。(吸収されたものはCYPで代謝)
経口投与における血中濃度は常に定量下限以下だったとされている。

添付文書にはこのため中等度以上の肝機能障害がある場合、血中濃度が上昇するおそれがあるため慎重投与となっている。

これは試験時に、中等度以上の肝機能障害者において、定量下限を上回り、代謝物の濃度が3-6倍となってしまった例がみられたため。※1


相互作用

リンゼス、アミティーザは併用注意もないが、グーフィスのみ併用注意がある。

グーフィス:P糖タンパク阻害作用あり。胆汁分泌に影響あり。
上記2点により、以下の併用注意がある。


食事の影響

グーフィス
グーフィスは食事により吸収量が3~5倍になってしまう。
このため用法は1日1回食前。

さっきはあまり吸収されないって言っていたのに食事と一緒だと吸収されやすくなってしまうんですね。
腸管で作用してくれればいいのでわざわざ吸収されないほうが良いのですかね。

食前の理由はこれだけではなく、グーフィスは胆汁酸分泌抑制により効果を発揮するため、食事により胆汁酸が分泌されてしまう前に服用したほうがより効果を発揮できる。



リンゼス
リンゼスは食後だと下痢になるやすいので食前の投与となってる。
このため用法は1日1回食前。

以下インタビューフォームの記載
"リナクロチドを食後に投与すると、食前投与した時に比べて、反復投与による薬力学的な変化(便形状スコ ア、排便頻度及びいきみの重症度スコアの変化)が大きく、下痢(軟便を含む)の発現率が高いことが示されているため、食前に投与する。"

血中濃度は食前、食後で変化なしとされている。



アミティーザ
アミティーザは空腹時だと吐き気が出やすい。
このため1日2回食後。

以下インタビューフォームの記載
"海外で実施した臨床試験において、主な副作用として認められた悪心は、本剤の食前投与に比べて食 後投与においてその発現頻度が低下したことから、国内で実施した臨床試験は全て食後投与で実施した。 "

空腹時のほうが吸収速度が早くなることが報告されているが、AUCは変化なし。
そもそもほとんど吸収されないのでこれは関係ないような気がしますが・・・吐き気との関係はあるんでしょうか。






有効性の比較


各薬剤を直接比較した試験はないようなので、各IFよりプラセボ比較試験の結果を比較してみると以下の通り。



変化量はグーフィスが最も高い。
アミティーザ、リンゼスは同程度。

※ただし、直接比較ではないので参考程度に。


初回投与から24時間までに排便があった患者数は

グーフィス:85.5%(プラセボ41.3%)
リンゼス0.5㎎:65.8%(プラセボ55.0%)
アミティーザ:58.1%(プラセボ30.6%)

直接比較ではないものの、若干グーフィスのほうがよさそうでしょうか。




余談(リンゼスと大腸菌のエンテロトキシン)

リンゼスぱアミノ酸が並んでいるポリペプチド。
リンゼスの作用機序のcGMPを増加させ、水分分泌…どこかで聞いたことあると思ったら、コレラ菌とか大腸菌が産生するエンテロトキシンによる作用です。 エンテロトキシンはペプチドであり、GC-Cを刺激する部分が解明されたため、その部分をうまく利用したのがリンゼスだそうです。 構造を比較するとほとんど同じ配列です。

まとめ

作用
グーフィス:蠕動運動+水分分泌
リンゼス:水分分泌+鎮痛
アミティーザ:水分分泌

副作用
下痢:アミティーザ>グーフィス、リンゼス
吐気:アミティーザ>グーフィス、リンゼス
腹痛:グーフィス>アミティーザ>リンデス

吸収率
グーフィス>アミティーザ>リンゼス

有効性
グーフィス≧(?)アミティーザ、リンゼス

相互作用
グーフィス:P糖タンパク阻害、胆汁酸関係
リンゼス:なし
アミティーザ:なし

食事の影響
グーフィス:食事で吸収↑、効果↓(胆汁酸が分泌される前に服用のほうがいいため)
リンゼス:食後だと下痢↑
アミティーザ:空腹だと吐気↑


参考
各インタビューフォーム
各添付文書
各審議結果報告書

 2018/01/24

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