葛根湯と芍薬甘草湯の併用について

葛根湯と芍薬甘草湯を併用すると甘草が多すぎる? 甘草の副作用と上限について

葛根湯は風邪症状のみでなく肩こりなどにも処方される。

芍薬甘草湯は主にこむら返りに対する処方をよく見るが、筋肉をほぐす作用があるため肩こりにも処方される場合がある。

葛根湯と芍薬甘草湯は共に甘草(カンゾウ)を含有しているので2剤同時に処方された場合、カンゾウが多くなり、偽アルドステロン症(低カリウム)のリスクが高くなるのでは?という疑問があったので調べてみました。

葛根湯と芍薬甘草湯の成分

葛根湯(1日量7.5g中)
カッコン  :4.0g
タイソウ  :3.0g
マオウ   :3.0g
カンゾウ  :2.0g
ケイヒ   :2.0g
シャクヤク :2.0g
ショウキョウ:2.0g

芍薬甘草湯(1日量7.5g中)
カンゾウ  :6.0g
シャクヤク :6.0g


葛根湯+芍薬甘草湯=カンゾウ8.0g

甘草湯というカンゾウのみで構成されている漢方は1日量(甘草湯6g)中にカンゾウ8.0gを含しているため葛根湯と芍薬甘草湯の併用は基本問題ないと思われる。

そもそも甘草に上限というものはあるのでしょうか。

甘草(カンゾウ)の1日最大量

漢方は添付文書上適宜増減ばかり。

この生薬は1日最大これまでといった記載はみないが特にないのでしょうか。

そもそもメーカーによって配合比率が若干異なりますし、漢方詳しくないのですが使用経験的な感じで作られてきたので最大とかじゃなくてその量が適量なんでしょうか。


添付文書を参考に考えると、

カンゾウを最も多く含有する甘草湯は適宜増減できるので、2倍にするとカンゾウ16g/day。
これくらいまでは普通にありえるということでしょうか。


偽アルドステロン症の発症頻度と甘草の含量

以前は、偽アルドステロン症の報告は甘草の成分であるグリチルリチンが500㎎/day(カンゾウ12.5g~25g)※以上の大量投与例ばかりでの報告であった。※1

※局法においてカンゾウはグリチルリチン酸を2%以上含むこととされているため少なくともカンゾウ1g=グリチルリチン20㎎、通常は40㎎程度含有している。

しかし、その後の報告ではグリチルリチン150㎎以下でも報告があるとのこと。※1

甘草が多ければ多いほど発生頻度が高いのかと思えば現状発症例が少ないためそうでもないようですが、大量投与での報告が当初は多かったことを考えるとカンゾウ12.5g以上は注意が必要そうです。

使用開始後10日以内の早期に発症したものから、数年以上の使用の後に発症したものまであり、使用期間と発症との間に一定の傾向は認められないとのこと。(3ヶ月以内に発症したものが約40%)※1

利尿剤やステロイドなど低カリウムのリスクを増加させる薬剤を併用している場合は注意。


まとめ

葛根湯7.5g+芍薬甘草湯7.5gでもカンゾウは8.0g

単品で甘草湯6gはカンゾウ8.0g含有しているため上記併用は問題ないと思われる

だが、低用量でも偽アルドステロン症は見られるので単剤だろうが併用だろうが注意

※1厚労省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症

 2018年1月5日

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