低張電解質輸液製剤に分類される2剤の使い分け?
胃腸炎で水分摂取が十分でない時に処方されるのがソリタ-T配合顆粒。
うちには2号と3号が置いてありますが、どういうときにどちらが処方されているのでしょうか。
まずは輸液の基礎を簡単に。
電解質輸液の種類
等張性電解質輸液製剤電解質濃度が体液とほぼ同等。
投与した輸液は細胞内へは移動せず、細胞外に分布して細胞外液量を増加する。
低張性電解質輸液製剤
体液より電解質濃度が低い輸液。
ブドウ糖を配合して浸透圧を等張にしているが、ブドウ糖はすぐ代謝されるので、結果的には浸透圧が低い輸液を投与したことになる。このため、細胞内外両方の液量を増加する。
低張電解質輸液には、1~4号液がある。
脱水の種類
高張性脱水(水分欠乏型)水分>電解質で失われている。
細胞内から外へ水分が移動し、細胞内が脱水状態になる。
原因:水分摂取不足、発熱・発汗、軽度下痢=水だけ失う疾患
低張性脱水(Na欠乏型)
電解質>水分で失われている。
細胞外から内へ水分が移動し、細胞外液が脱水状態になる。
原因:利尿剤、激しい下痢
※嘔吐、下痢に水のみを摂取すると低張性脱水となる。
等張性脱水(Na欠乏型)
水と電解質が同じ割合で失われている。
原因:出血、下痢、嘔吐
上記をまとめると、
高張性脱水では細胞内への水分補給が必要なので両方補充できる低張性電解質輸液
等張・低張性脱水では細胞外液への電解質補給が必要なため等張性電解質輸液
と一般的に考えることができる。
ただし、臨床では同時に起きていることがほとんどであり、この場合は細胞外液を補充できるもの使用することが多い。
ソリタ-T2号と3号の使い分け
低張性電解質輸液は1~4号があり1号が一番Naが多く、4号は一番少ない。
Na量:1号>2号>3号>4号
その他、1号にはカリウムが含まれていない。
つまり、ソリタ2号は3号よりNa量が多い=より細胞外への水分補充効果が大きいと考えられる。
よって
ソリタ-T2号:下痢・嘔吐がひどく、Naの喪失が激しい場合
ソリタ-T3号:下痢はそこまでひどくないが、水分摂取ができていない場合
といったところでしょうか。
下痢・嘔吐がひどすぎる場合はそもそも等張液の点滴になるのかと。
下痢・嘔吐がひどすぎる場合はそもそも等張液の点滴になるのかと。
その他各薬剤の違いは以下の通り。
適応
ソリタ-T2号:軽症又は中等症の体液異常喪失時の電解質の補給・補正
ソリタ-T3号:軽症又は中等症の脱水症及び手術後の回復期における電解質の補給・維持
味
ソリタ-T2号:オレンジ風味
ソリタ-T3号:アップルソーダ風味
味
ソリタ-T2号:オレンジ風味
ソリタ-T3号:アップルソーダ風味
まとめ
ソリタT2号:下痢・嘔吐ひどめで電解質が失われているとき
ソリタT3号:下痢・嘔吐は軽いが、水分摂取ができていない場合