ライゾデグに切り替える際の投与単位

他のインスリン製剤からライゾデグに切り替える際の単位調整は?


ライゾデクは超速効型のノボラピッド(超速効型)と持続型のトレシーバが3:7で混合されている。

つまり、ライゾデグを10単位打つと、ノボラピッド(超速効型)3単位、トレシーバ7単位打ったことになる。

普段ノボラピッド(超速効型)とトレシーバをちょうど3:7で使用している患者さんなら切り替えは簡単そうですが、そうでない場合はどのようにすればいいのでしょうか。


ライゾデグの用法

ライゾデグの用法は1日1回または2回

1日1回の場合は主たる食事の直前(毎日同じくらいの時間)
1日2回の場合は朝・夕食直前

この「主たる食事の直前」とは、1日の食事の中で最も血糖値が上昇するであろう食事のときとされている。

夕食をたくさん食べる方は夕食直前、朝食のほうががっつり食べる方は朝食直前ということ。

1日1回or2回ということはノボラピットを毎食直前使っている人の場合は昼分はそのままノボラピッドを使ってもらわなければいけなくなる。

取り違い等のリスク回避の面から1日3回で処方する症例もあるとのこと。



ライゾデグ分1と分2の同等性

トレシーバは1日1回だが、ライゾデグに変更すると1日2回になる場合がある。
影響はないのか質問してみたところ、定常状態になっていれば問題ないといわれたのですが、ピンときませんでした。使用直後はピークになってしまうのではないかと。

血中濃度を見ると明らかなピークはみられないので大丈夫ということなんでしょうか。

分1と分2で定常状態に変化がないかも調べてみました。
以下の考え方があっているか自信はなのですが、定常状態の平均血中濃度(Css)を求めてみた。


Css = F×S×Dose/τ ÷ CL

※F:バイオアベイラビリティ S:塩係数 Dose:投与量 τ:等間隔 CL:薬物クリアランス

CL = Vd × Ke

※Vd:分布容積 Ke:消失速度定数

よって、同じトレシーバ(インスリン デグルデク)であればF、S、CLは同じなので変わってくるのはDoseとτ

トレシーバ1日1回10単位の場合
Dose=10 τ=24 より Dose/τ=10/24=5/12

トレシーバ1日2回1回5単位の場合
Dose=5 τ=12 より Dose/τ=5/12


ということで定常状態における血中濃度は同じになる。

トレシーバの血糖低下作用・暴露量は投与後~12時間までと12時間以降で差がなかった※1ともされているので、投与直後が最大効果となるわけでもないので、メーカーさんのおっしゃるとおり分2でも変わりなさそう。

前提として定常状態になる薬物であることは必要(投与間隔/半減期≦3)だが、上記計算式だとこれを満たしていればどんな薬物でも同じことが言えることになってしまう。

定常状態のCmaxとCminは分2のほうがふり幅多少狭くなりますが・・・



他インスリン製剤からライゾデグへの切り替え

持続型と(超)速攻型の2種類使用からの切り替え

前述したとおり、ノボラピッド(超速効型)とトレシーバを3:7で使っている患者さんが変更する場合は素直に計算してライゾデグにすればよい。

そうでない場合は、添付文書通りとりあえず総インスリン投与量を同じすればよいでしょうか。(後述の通り、2型糖尿病を対象とした承認時臨床試験ではこのように切り替えている※2)
ライゾデグに振り分けられた人たちの前治療薬ですが、持続型が29.3%、混合型が70.7%となっている。(詳しい製剤の内訳は記載なし)

持続型+超即効型の組み合わせはいない感じでしょうか・・・

とりあえず何でもかんでも同単位でライゾデグに切り替えたよう。
最終的な投与量はライゾデグで0.79U/kg、ノボラピッド30ミックスで0.99U/kgとなっており、ライゾデグが10%程度少なくて済んでいる。




では、それ以外の場合はどうすればいいんでしょうか。
その前に、ノボラピッド注には30ミックス、50ミックスがあるため変更時注意が必要。

ノボラピッド注フレックス=100%超速効型
ノボラピッド注30ミックス=30%超速効型、70%中間型
ノボラピッド注50ミックス=50%超速効型、50%中間型

ノボラピッド注フレックス単剤からの切り替え

ノボラピッド注フレックスを10単位つかっているからといって、ライゾデグ10単位に切り替えてしまうと、超速効型部分が不足、持続型が過剰になってしまう。

【例】
ノボラピッド注フレックス 朝10単位=超速効型10単位、中間型0単位
→ライゾデグ注10単位=超速効型3単位+持続型7単位なので、超速効型を減量したことになってしまう。
 

この場合、ノボラピッド単剤からノボラピッド+トレシーバになるので、超速効型分を減量(10~20%)するようにお願いしているとのこと。

ただし、ノボラピッドでコントロール不良だったりする場合ノボラピッドが同量になるようにライゾデグに変更するDrも多いとのこと。


ノボラピッド注30ミックスからの切り替え

この場合ライゾデグと同じく超速効型は3:7なので通常の変更で問題ない。

ノボラピッド注30ミックス 朝10単位=超速効型3単位、中間型7単位
→ライゾデグ10単位打てば超速効型3単位、持続型7単位

先にも述べたが、ノボラピット30ミックスとライゾデグの非劣性試験で、ライゾデグ群で投与量が10%程度少なくて済む結果となった。※2

その他ノボラピッド30ミックスよりライゾデグのほうが総インスリン投与量が平均16%少なくて済んだとの報告もあり。※3

→ノボラピッド30ミックスから変更する場合、10~20%減量が主流。



臨床試験での変更方法

1型糖尿病患者に対する臨床試験では、basal(持続型)とbolus(超/速効型)で治療していた患者の場合、ライゾデグ変更前のbasalインスリン総量とライゾデグのbasal=デグルデクが同単位となるように変更している。

2型糖尿病患者に対する臨床試験では、インスリン総量が同じになるようにライゾデクに切り替えて行われている。



なお、添付文書では、"1日1回又は1日2回投与の中間型又は持効型インスリン製剤あるいは混合製剤によるインスリン治療から本剤に変更する場合、患者の状態に応じて用量を決定するなど慎重に本剤の投与を開始すること。目安として1日投与量は前治療におけるインスリン製剤の1日投与量と同単位で投与を開始し、その後の患者の状態に応じて用量を増減するなど、本剤の作用特性を考慮の上行うこと。"となっている。

中間型から変更する場合は患者の様子見て変えるように記載がある。
メーカー情報だと同単位で切り替えを行う場合が多い(推奨)しているとのこと。

自分がいる薬局では25ミックス、30ミックスから同単位での変更しか見ていない。

まとめ

持続型(トレシーバ、ランタスなど)+(超)速効型(ノボラピッド、ヒューマログなど)→ライゾデグへの変更時
①持続型の投与量とライゾデグの持続型が同単位になるように(ノボ+トレシーバで丁度よく3:7ならそのままで)
②総インスリン投与量をそろえる(2型糖尿病対象の臨床試験のやり方。ただし、臨床試験でこの組み合わせがいたか不明)

ノボラピッド30ミックス→ライゾデグへの変更時
10~20%減量(中間型より持続型は少なくて済むとの報告あり)

(超)速効型単剤でコントロール不良→ライゾデグへの変更時
1日インスリン総量の10~20%減量する(メーカー回答)

中間型、30ミックス以外の混合製剤、持続型単剤→ライゾデグ
患者の状態を見つつ調整(総インスリン投与量を揃えるのが主流・メーカー回答)


※1トレシーバインタビューフォーム
※2 J Diabetes 2016 Sep;8(5):720-8.  
※3 Diabetes Res Clin Pract . 2015 Jan;107(1):139-47.
 2018/02/15

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