準先発品と基礎的医薬品の違い

準先発品と基礎的医薬品の違いは? 局方品とは?

後発品等への変更において、最近では準先発、基礎的医薬品、局方品などわかりにく区分があり、迷うことがある。

今回は準先発、基礎的医薬品、局方品を中心に変更可否をまとめてみました。


準先発品

昭和42年10月1日以前に承認された品目のうち、薬価差のある後発品のある医薬品

この定義は2012年に新たに定義されたものでそれ以前は「薬価差のある後発品のある医薬品」という部分がちゃんと定義されていなかった。

昭和42年10月1日以前は先発品という概念がまだ未整備だったため、このような医薬品分類ができてしまった。

準先発品は先発品と異なる概念だが、後発品への変更は問題なし。※



【GE使用率・後発医薬品との関係】

準先発品は後発品にも先発品にも入らないので、後発品使用率の計算時には完全に除外される。(分母にも分子にも入らない)

なので、準先発品品は後発品に変えなくても損はしないが、後発品に変えたほうが分子のみ増えるため得。(定義から考えて後発医薬品は存在する)


例)現在GE使用率50%(先発品A:50個、後発品:B50個のみ調剤しているとする)

・ヒルドイドソフト軟膏10gをそのまま調剤した場合
GE使用率=後発(B50個のみ)/先発+後発(A50+B50)×100=50%

・ヒルドイドソフト軟膏をヘパリン類似物質に変えた場合
GE使用率=後発(B50個+ヘパリン10)/先発+後発(A50+B50)=60%

準先発品のヒルドイドソフト軟膏:分母の先発に含まれない
後発医薬品のヘパリン類似物質:分子の後発には含まれる



基礎的医薬品

平成28年度薬価制度改革において試行的な取組みとして導入された概念。
以下のように定義されている。

イ)医療上の位置付けが確立し、広く臨床現場で使用されていることが明らかであること

ロ)当該既収載品並びに組成及び剤形区分が同一である全ての類似薬のうち、薬価収載の日から25年を経過しているものがあること

ハ)当該既収載品と組成及び剤形区分が同一である類似薬がある場合には、当該既収載品を含む類似薬の平均乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率を超えないこと

ニ)当該既収載品の市場実勢価格の薬価に対する乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率を超えないこと

基礎的医薬品も先発品とは異なる概念だが、基礎的医薬品に該当する以前は後発医薬品に変更可能であった医薬品である場合、後発品への変更は可能。※



【GE使用率・後発医薬品との関係】
基礎的医薬品は準先発と同様GE使用率の計算から完全に除外される。(分母にも分子にも入らない)

準先発と異なる点は後発品がある場合とない場合があること。

元先発も元後発も基礎的医薬品→後発医薬品がなくなる=変更してもGE使用率上がらない。
例)リンデロンVG軟膏(元先発)とデルモゾールG軟膏(元後発)は両方とも基礎的医薬品のため変更しても意味なし

元先発は基礎的医薬品、後発は該当していない→基礎的医薬品を後発に変更すればGE使用率が上がる。
例)ベンザリン(元先発)は基礎的医薬品、ニトラゼパムは基礎的医薬品に該当せず後発のままなので変更すればGE使用率が上がる。

これらは厚労省のホームページで随時更新されるため、後発医薬品使用率を上げようと思って後発医薬品を採用しようとする場合は注意しなければならない。

どんどん複雑になっていきますね…

※準先発品、基礎的医薬品を後発医薬品に変更する場合も先発から後発に変更するルールに準ずる


局方品

局方品(日本薬局方収載医薬品)とは、日本薬局方に収載されている医薬品。

局方品については、医療現場で汎用され医療上の必要性が高いことから、最低薬価 がその他の医薬品よりも高く設定されています。

局方品の中には先発・後発に分類されている薬剤もあれば、どちらにも分類されていない薬剤がある。

【GE使用率・後発医薬品との関係】
局方品のうち、先発・後発の区分があるものはそれに従う。

どちらにも分類されていない薬剤は他の薬剤に変更することはできない。
GE使用率の計算からは除外されている。


まとめ

準先発品
・後発品は存在する。
・GE使用率の計算からは除外。
・後発に変更可能、変えたほうがGE使用率上がる。
・変えなくても下がらない。

基礎的医薬品
・後発品はある場合とない場合がある。
・GE使用率の計算からは除外。
・後発品があれば変更でGE使用率は上がる。
・変えなくても下がらない。

局方品
・後発、先発どちらにも該当しないものは変更はできない。
・後発、先発の区分があるものはその区分を優先する。





分類の検索方法

その医薬品がどこに該当するかは厚労省の薬価基準収載品目リストから判断できる。

このページの「5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報」において、

1:後発品のない先発品
2:後発品のある先発品
3:後発品
★:先発品と同額以上の後発品
☆:後発品と同額以下の先発品
空欄:準先発品or基礎的医薬品or局法品or準先発品に該当しない昭和42年以前の薬

または、「1.目次」の各薬剤のリストに、

先発品
後発品
準先発品
空欄:基礎的医薬品or局法品(先発・後発区分なし)or準先発品に該当しない昭和42年以前の薬
※局法品は薬品名の前に○局の記載がある
の記載がある。

問題はどちらを見てもわからない基礎的医薬品、GEのない昭和42年以前の薬。
基礎的医薬品ならば処方変更できるかもしれないが、後者は変更するものがない。

そこで次に見るものが基礎的医薬品対象品目リスト
こちらも厚労省より出ている。(随時更新されるためリンク注意、上記は30年度改定時)

これらを見れば最終的にどこに分類されているか分かり、変更可否が判断できると思われる。



まとめ

準先発品:後発のある古い薬
基礎的医薬品:平成28年に作られた区分(詳細は上記参照)
局方品:日本薬局方収載品(先発、後発に分類される薬剤もある)


変更可能パターン
先発品、準先発品→後発、(以前は後発品であった)基礎的医薬品
一般名→なんでもOK
局方品(先発・後発区分なし)→変更不可、処方されている薬剤で調剤
基礎的医薬品→以前の区分に従い、変更可否を考える


 2018年3月30日

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