レボドパ製剤継続で見られるwearing offやon-offは休薬で改善する?
レボドパに限らずパーキンソン病治療薬(L-ドパ、ドパミンアゴニスト)を継続しているとwearing-offやon-offが現れる場合がある。
継続服用により効果が出なくなると聞くと、休薬すれば元も戻るんじゃないかと思ってしまうのですが、wearin-offはどうなんでしょうか。
継続服用により効果が出なくなると聞くと、休薬すれば元も戻るんじゃないかと思ってしまうのですが、wearin-offはどうなんでしょうか。
wearing-offの原因
抗パーキンソン病薬の効果持続時間が短縮し、薬物濃度の変動とともに症状の変動がみられる現象。(薬剤の効果が次の服用まで続かない)
パーキンソン病の進行によりドパミン神経終末が減少し、ドパミンを保持できなくなることが第1の原因と考えられているが、ドパミンアゴニストで見られることがある。※2
その他、作用部位におけるレボドパ保持時間の短縮、 レボドパの血中濃度低下、レボドパの消化管吸収・代謝速度の変化が発症機序として挙げられている。※1
その他、作用部位におけるレボドパ保持時間の短縮、 レボドパの血中濃度低下、レボドパの消化管吸収・代謝速度の変化が発症機序として挙げられている。※1
L-ドパは半減期が短いため顕著に出てしまう。(ドパミンアゴニストでは現れにくいとされている)
wearing-offはon-offと違い、発現すると次の薬剤投与まで改善することはない。※1
wearing-offはon-offと違い、発現すると次の薬剤投与まで改善することはない。※1
on-offの原因
スイッチを入れたり切ったりするように急激に症状が変動する現象。
服用のタイミングに関係なく見られる。
原因ははっきりしていないが、神経機能の生体内リズム、シナプス後ドパミンレセプターの感受性の増大、又は急激な低下あるいは遮断、レボドパの体内動態変化などが発症機序として挙げられている。※1
服用のタイミングに関係なく見られる。
原因ははっきりしていないが、神経機能の生体内リズム、シナプス後ドパミンレセプターの感受性の増大、又は急激な低下あるいは遮断、レボドパの体内動態変化などが発症機序として挙げられている。※1
wearing-offの対応※1
下記方法にて、off時間の短縮またはoff時の症状緩和をはかる。
①ドパミンを3~4回にするorドパミンアゴニストを追加
②上記でも改善しない場合エンタカポン、セレギリン、ゾニサミド、イストラデフィリン
③それでもダメな場合はL-ドパ頻回投与、ドパミンアゴニスト増量・変更
③それでもダメな場合はL-ドパ頻回投与、ドパミンアゴニスト増量・変更
※2018ガイドラインでノウリアストも「ジスキネジアがあるか?→はい」の後に追加。
ドパミンアゴニスト:off時間の短縮、L-ドパ減量効果。(推奨2A)
エンタカポン:off時間の短縮、L-ドパ減量効果(推奨2B)
エンタカポン:off時間の短縮、L-ドパ減量効果(推奨2B)
セレギリン:off時間の短縮、L-ドパ減量効果。一貫性がないため、推奨2C
ゾニサミド:50㎎~100㎎でoff時間の短縮はみられるが、25㎎では改善が見られない。バイアスあり、一貫性ないため推奨2C
イストラデフェリン(ノウリアスト):off時間短縮。一貫性がないため推奨2C
イストラデフェリン(ノウリアスト):off時間短縮。一貫性がないため推奨2C
ドパミンの頻回投与に関しては、
・少量頻回投与の効果は十分なエビデンスなし。(1回量が十分でないと効果がみられない)
・投与回数を増やすと確実に効果がみられるが、後にさらに高度のwearring-offがみられる場合がある。
④のドパミン頻回投与について、2時間毎などの極端な頻回投与はジスキネジアのリスクを高めるため、できるだけドパミンアゴニスト増量やL-ドパ1回量の増量を試みる、L-ドパは食後投与を基本としつつ、その上で不足分を頻回投与で補う。
④のドパミン頻回投与について、2時間毎などの極端な頻回投与はジスキネジアのリスクを高めるため、できるだけドパミンアゴニスト増量やL-ドパ1回量の増量を試みる、L-ドパは食後投与を基本としつつ、その上で不足分を頻回投与で補う。
on-offの対応※1
on-offに対する治療法は確立していない。
セレギリンが優位に改善したとのランダム比較試験あり。
急激なwearing-off(血中濃度低下)がon-offに間違われることがあるため、wearing-offの治療に準じた対応をすることも効果がある場合がある。
上記はガイドライン中の記載だが、添付文書にはon-off時は減量ないし中止するように記載がある。
wearing-offはパーキンソン病の悪化によるドパミン保持能の低下が最大の原因と考えられているということは、薬物中止による改善はあまり期待できなさそう。
対応としてもガイドライン、添付文書ともに頻回投与やドパミンアゴニストに追加となっている。
対応としてもガイドライン、添付文書ともに頻回投与やドパミンアゴニストに追加となっている。
一方のon-offは受容体の感受性増大や体内動態変化が関与しており、中止により多少の改善がみられるのかもしれない。エビデンスは不十分となっているが。
まとめ
wearing-off時は頻回投与(少量は効果なし、増量は効果ありだが悪化注意)、エンタカポン、ドパミンアゴニストでoff短縮、セレギリンでoff症状緩和
on-off時は確立した治療法なし、セレギリンやレボドパ製剤の減量・中止を検討
※1パーキンソン病治療ガイドライン2011
on-off時は確立した治療法なし、セレギリンやレボドパ製剤の減量・中止を検討
※1パーキンソン病治療ガイドライン2011