メチルプレドニゾロンの静注から内服へ変更する場合、投与量が増える?
抗がん剤の吐き気予防などでステロイド(デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン)のが行われることがよくある。
がん診療ガイドラインでは、吐き気のリスク(高度、中度、軽度)により制吐剤を使い分けるようにとの記載があり、高度リスク薬剤(AC療法:ドキソルビシン+シクロホスファミド、EC療法:エピルビシンシスプラチン等)においてはアプレピタント(NK遮断)、5-HT3遮断、ステロイド(デキサメタゾン)の3剤併用、中度リスク薬剤では5-HT3遮断、デキサメタゾン(場合により+アプレピタント)、軽度の場合は3剤のうちの1剤とされている。
院内では静注できるが、外来なら錠剤に変更となるが、投与量はどうすればいいんでしょうか。
普通経口より注射のほうが生体内利用率(BA)が高いはずなので経口の投与量が増えるように思える。
このため、デキサメタゾンは静注:経口≒1:1.2となっている。(静注3.3㎎=傾向4㎎)※1
しかし、メチルプレドニゾロンは若干増量となる場合がある。
なぜこのようなことになるのか調べてみました。
※1 がん診療ガイドライン 制吐療法
がん診療ガイドラインでは、吐き気のリスク(高度、中度、軽度)により制吐剤を使い分けるようにとの記載があり、高度リスク薬剤(AC療法:ドキソルビシン+シクロホスファミド、EC療法:エピルビシンシスプラチン等)においてはアプレピタント(NK遮断)、5-HT3遮断、ステロイド(デキサメタゾン)の3剤併用、中度リスク薬剤では5-HT3遮断、デキサメタゾン(場合により+アプレピタント)、軽度の場合は3剤のうちの1剤とされている。
院内では静注できるが、外来なら錠剤に変更となるが、投与量はどうすればいいんでしょうか。
普通経口より注射のほうが生体内利用率(BA)が高いはずなので経口の投与量が増えるように思える。
このため、デキサメタゾンは静注:経口≒1:1.2となっている。(静注3.3㎎=傾向4㎎)※1
しかし、メチルプレドニゾロンは若干増量となる場合がある。
なぜこのようなことになるのか調べてみました。
ソル・メドロールとメドロール錠の違い
両方ともメチルプレドニゾロン製剤ですが、ソル・メドロールは水溶性にするためコハク酸が付加され、コハク酸エステルナトリウムとなっている。
ソル・メドロール:メチルプレドニゾロンコハク酸エステル
メドロール:メチルプレドニゾロン
活性を示すのはメチルプレドニゾロン。
メチルプレドニゾロンのBA
メドロール錠のBAはほぼ100%とのこと。(メーカ-回答)
そのため、理論的には静注から経口に切り替える際も同用量での変更と考えられ、実際の現場でもそのような対応は多くみられるとのこと。
今回目にした患者さんも同用量で錠剤になっていた。
こんな記事もみつけました。(全身経口ステロイド薬の薬剤間の対応量について 鹿児島市医報)
こちらの記事でもメチルプレドニゾロンのBAは100%とされ、同用量での変更となっている。
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルの分解
上記の回答がある一方で静注から経口に変更する場合は10%程度減量する場合もあるとのこと。
これは最初に述べたようにソル・メドロールはコハク酸エステルの形であり、効果を示すにはメチルプレドニゾロンにならなければならない。
しかし、ソル・メドロールの10%程度がそのままの形で腎排泄されるとの報告があるため、経口より10%上乗せするのがちょうどよいという考えがあるとのこと。(メーカー回答)
ちなみにデカドロン錠はBAが78%となっており、ガイドラインでは注射の1.2倍、上記記事だと1.3倍にほぼ一致する。
※1 がん診療ガイドライン 制吐療法