アナストロゾールとレトロゾールの比較

アロマターゼ阻害薬の有効性はどれも同じ?

アロマターゼ阻害薬にはアナストロゾール(アリミデックス)、レトロゾール(フェマーラ)、エキセメスタン(アロマシン)の三種類がある。

アナストロゾールとエキセメスタンについては、有効性に差はないが、有害事象がエキセメスタンでやや多い結果となっており、副作用の違いとしてはアナストロゾールで不正出血、高脂血症が多いのに対し、エキセメスタンではビリルビン高値、ざ瘡、男性化、心房細動が多いとなっている。※1

同ガイドラインにアナストロゾールとレトロゾールの比較試験(FACE試験)も進行中であるのと記載があり、その結果がでていたので見てみました。

有効性の比較

対照:閉経後ホルモン受容体陽性リンパ節陽性乳癌(ステージⅡA~ⅢC)
アナストロゾール投与群:2075人
レトロゾール投与群:2061人

推定5年無病生存率(DFS)
アナストロゾール:82.9%
レトロゾール:84.9%

推定5年生存率(OS)
アナストロゾール:89.2%
レトロゾール:89.9%

無病生存率、生存率ともに有意差なしとなっている。

副作用の比較

FACE試験中に見られた主な副作用と発現率

副作用による薬剤中止
アナストロゾール:12.9%
レトロゾール:14.0%

関節痛
アナストロゾール:3.3%
レトロゾール:3.9%

高血圧
アナストロゾール:1.0%
レトロゾール:1.2%

ほてり
アナストロゾール:0.4%
レトロゾール:0.8%

うつ症状
アナストロゾール:0.5%
レトロゾール:0.8%


この試験中にみられた死亡はレトロゾールで2%、アナストロゾールで2.2%。
どちらもガンの進行によるものが最も多く(7.2% VS 6.9%)、次いで心不全(0.3% VS 0.1%)、肺塞栓(0.1% VS 0.2%)となっている。

今まではレトロゾールのほうが強いとするいくつかの研究結果があった※2とのことですが、今回の臨床試験により2剤の有効性・安全性に差はないことが分かったようです。


まとめ

アナストロゾールとレトロゾールの有効性・安全性ともに差はなし


※1乳がん診療ガイドライン
※2 J Clin Oncol. 2017 Apr 1;35(10):1041-1048. 
※3 J Clin Oncol. 2002 Feb 1;20(3):751-7. 
 2018年3月4日

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