ラコールNF配合経腸用半固形投与時の注意

ラコール半固形剤投与後すぐに水分を投与してはいけない? 半固形のほうが逆流を防げるエビデンスはある?

半固形にすることで胃の機能低下を防いだ入り、下痢や逆流の副作用を軽減した半固形剤。
最近よく処方されるのですが、いろいろ注意点があるので添付文書、大塚HPより抜粋。

投与速度

100g当たり2~3分で投与するように記載がある。
また、1回の投与は最大600gまでとされている。

通常エネーボやラコール液剤は最大でも125kcal/hの速度で投与となっているので、これにくらべると100kcalを2分で投与できるのはかなりの時間短縮。


投与後のフラッシュについて

栄養剤の経管投与後、チューブに残った薬剤を流すため水分を投与するが、半固形剤投与後は以下の注意が必要。

・胃内での半固形状を保つため、追加水の投与はラコールNF配合経腸用半固形剤の投与直前や直後は避ける。 追加水を注入する場合には、ラコールNF配合経腸用半固形剤注入30分前か注入2時間後に行う

もちろん薬剤に直接水を混合すると固形剤でなくなってしまうため不可。

温度管理

温めるときは40℃以下で湯煎。

「ラコールNF配合経腸用半固形剤は、製剤の特性上、外観からは内容成分の変質が判断しにくいため、保存はお勧めしません 。開封後は、微生物汚染及び直射日光を避け、できるだけ早めに使い切ってください。」とされている。

※内容成分の安定性は、室温散光下で12時間安定

参考:ラコールNF配合経腸用液
・室温保存(25℃、散乱光下):12時間以内は安定
・室温保存(25℃、暗所):24時間以内は安定 
※保存状態:共栓付き三角フラスコ内に保存


経口投与は可能か

ラコール半固形は経口投与の安全性不明、誤嚥の可能性もあるため避けるようにとのこと。

以前勉強会の際に食べてみたが、甘味はなく、エネーボやラコール液剤より飲みにくい。
ただし、甘ったるくて液剤が飲みにくい人にはいいのかもと思いましたが、メーカー的には安全性不明のためお勧めできないとのこと。

コーヒーフレッシュと砂糖をかけるとプリンみたいな味になりました。

ゼリー食べられる人なら大丈夫そうですが・・・


半固形製剤は逆流を防げるのか?

半固形製剤にすることで、逆流を防げるとの報告がある。
以下は静脈経腸栄養栄養ガイドライン抜粋。

"胃瘻からの半固形状流動食投与 胃瘻からの半固形状流動食投与については、本邦で独自に開発された栄養投与法で あり、近年急速に普及しつつある。塊状の栄養剤が急速に投与されることで胃壁の伸 展が起こり(適応性弛緩)、胃の伸展受容体や神経反射を介して正常な消化管ホルモ ン分泌や胃の蠕動運動が惹起され、胃食道逆流が抑制されると考えられている。しか し、現在発表されている論文のほとんどは、症例報告や症例集積研究、総説に留まっ ており、今後RCTなどによるエビデンスが集積されることが期待される。現段階では、 「半固形状流動食の使用が胃食道逆流の抑制に有効な場合がある」という程度の推奨 度に留まる。"
 2018年4月15日

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