エペリゾンとチザニジンの違い

中枢性筋弛緩薬2剤の違いは?

筋弛緩薬は骨格筋の緊張をやわらげることで肩こり、腰痛、痙性麻痺の症状を改善する。

骨格筋は延髄から延びるα運動ニューロンとγ運動ニューロンの協調により維持されており、過剰に興奮したり、2つのバランスが崩れると筋緊張が起こる。

α運動ニューロン:実際の筋収縮に関わる神経
γ運動ニューロン:筋紡錘の張力の調整(興奮=収縮)
(参考:筋紡錘のメカニズムから脳卒中の痙縮について考えよう)

筋弛緩薬には以下の種類がある。

・中枢性筋弛緩薬
エペリゾン(ミオナール)
チザニジン(テルネリン)
クロルフェネシン(リンラキサー)
バクロフェン(ギャバロン)
※その他トルペリゾン、アフロクアロン

・末梢性筋弛緩薬
ダントロレン(ダントリウム)

末梢性筋弛緩薬は骨格筋に直接作用し、強力な筋弛緩作用を示す。
このため症状がひどい時や悪性症候群に使用される。※1


外来でよく処方されているのは中枢性筋弛緩薬のエペリゾンとチザニジンとリンラキサー。
今日の治療薬を見ると、チザニジンとバクロフェンは作用が強力エペリゾン、クロルフェネシンは比較的穏やかと記載されている。

普段エペリゾン、チザニジンどちらも割と処方されているが、有効性にあまり差を感じたことがなかったので調べてみました。


作用機序

エペリゾン
脊髄反射及びγ-運動ニューロン自発発射を抑制し、筋緊張緩和作用。
主に脊髄で作用するが、脊髄より上位にもやや作用する。※2

血管平滑筋においてCa拮抗作用示し、血流改善作用・疼痛反射抑制作用がみられる。※1,2


チザニジン
中枢においてα2刺激作用を示し、脊髄反射電位を抑制し、筋緊張緩和作用を示す。
→α2刺激=交感神経抑制=筋弛緩、血圧低下
脊髄及び脊髄上位で作用を示す。

チザニジンは多シナプス反射を選択的に抑制し、単シナプス反射の抑制は弱い。※3


クロルフェネシン
脊髄の多シナプス反射経路における介在ニューロンの抑制が主作用であるが、α-及びγ-運動ニューロンも抑制し、これらが協力的に働き筋弛緩作用を示す。※4



多シナプス、単シナプス、α、γニューロン等々出てきていますが、これらが違ってどうことなるのかよくわかりませ・・・

αニューロンが直接筋肉の収縮にかかわっているのならそちらも抑制したほうが強いような・・・ですがクロルフェネシンは穏やかな薬剤とされている・・・

エペリゾンだけでなくチザニジン、クロルフェネシンも疼痛抑制効果があると記載されている参考書もあり。

α2を刺激してしまうチザニジンは交感神経抑制作用がでるため、低血圧の注意書きがある。

有効性・副作用の比較

エペリゾン VS チザニジン※1

方法
腰痛患者60名(トラマドール100㎎投与中)をランダムにエペリゾン投与群(30名)、チザニジン投与群(30名)に振り分け、30日間投与。
5,10,15,30日時点の痛み(VAS)、鎮痛作用(Total Pain Relief )を測定。

結果
VASの改善、鎮痛作用ともに両群で同程度の改善がみられた。

眠気に関してはエペリゾン16.6%、チザニジン43.3%と大きな差が出た。
副作用によりエペリゾンは5名、チザニジンは9名脱落。


トラマドール併用しているのでその影響でしょうか眠気の頻度が高すぎる気がしますが…



インタビューフォーム

エペリゾン、チザニジンはそれぞれトルペリゾンと比較試験がされている。

・緊張状態の改善(頸肩腕症候群、腰痛)
エペリゾン150㎎/day≒トルペリゾン300mg/day、チザニジン3mg/day≒トルペリゾン300mg/day

・痙性麻痺
エペリゾン150㎎/day≒トルペリゾン300mg/day、チザニジン≧トルペリゾン(用量変動)


薬物動態の比較

エペリゾン
CYP代謝(分子種不明):相互作用は特になし


チザニジン
CYP1A2で代謝→CYP1A2阻害作用のある薬剤により血中濃度上昇
フルボキサミン:AUCが33倍、シプロフロキサシン:AUCが10倍になるため禁忌(重篤な肝機能障害でも禁忌)

Ccr25mL/min以下に投与した試験で、腎機能正常者に比べAUCが約6.5倍、半減期が約7倍延長。


まとめ

筋弛緩作用
チザニジン≧エペリゾン 有効性に差はないとする報告も。

副作用
チザニジンはα2刺激=低血圧、ふらつき、眠気も多い。 エペリゾンは低血圧なし

相互作用
チザニジンはCYP1A2の基質で禁忌あり


※1Minerva Med. 2012 Jun;103(3):143-9.
※2:エペリゾンインタビューフォーム
※3チザニジンインタビューフォーム

 2018/05/14

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