腎機能の評価と投与量の簡易計算式

腎機能障害時の投与量が設定されていない薬剤の投与量計算

厚労省より「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)について 」というものが出されている。

これは高齢者によりよい薬物医療を提供できるようにと作られたもので、ポリファーマシー、高齢者に注意が必要な副作用等について記載されている。

その中で腎機能障害についてわかりやすくまとまっていたので抜粋。


腎機能障害の評価と投与量計算

薬剤投与量の計算式(Giusti-Hayton 法)

以下の式で求められる補正係数(G)を常用量にかけることで、腎機能障害時の投与量を算出することができる。

※ 静脈内投与時の値を使用する、または経口投与時の値を使用する際は生物学的利用率(F)で除することにより補正したものを用いる 
※ 代謝物が活性を有する場合は、代謝物の尿中排泄率も考慮する 



一般に腎機能正常者のCcrは100mL/minとして考える。

CcrをeGFRに置き換えても計算可能。

また、通常の投与間隔をGで割ることで、投与量は変えずに腎機能障害時の投与間隔が計算できる。


計算例
ファモチジン(常用量40mg/日、分1投与、尿中未変化体排泄率80%)をCcr50mL/minの患者に投与する場合

G=1-0.8×(1-50/100)=0.6

よって、この患者では 40mg/日×0.6=24mg/日の投与となる。

投与量を変えない場合は24(h)÷0.6=40(h)おきに投与すればよいことになる。

※補正係数、Ccr、未変化体対応表



メトホルミンの投与

以前eGFR30前後の患者さんでもメトホルミンはいけるといわれたことがあるので、投与する場合どうなるのか計算してみた。

添付文書上では中等度以上の腎機能障害に禁忌だが、糖尿病学会ではeGFR30未満は禁忌だが、30~45では慎重に投与することしている。※1



eGFR30の患者に投与する場合の計算をしてみると、

メトホルミンの静注時尿中未変化体排泄率は85%(IFより)
健常人eGFR=90として

G=1-0.85×(1-30/90)
 =0.44

通常1日750㎎とすると、750×0.44=330㎎ 

計算上はこれくらいの投与で健常人並みの血中濃度になると思われる。



腎機能評価指標と基準値

腎機能評価指標


eGFRの基準


参考
高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)について
※1メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(推奨)

 2018年6月3日

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