ビスホスホネート製剤とフォルテオを併用すると効果が減弱する?
フォサマックやボナロンなどのビスホスホネート製剤は破骨細胞抑制(骨吸収抑制)、フォルテオ(テリパラチド)は骨芽細胞活性化するため、両剤を併用すると効果が増強しそうだが、実際は意味がなかったり、作用が減弱することもある。
ガイドラインにも併用に関して触れている部分があったので抜粋。
ガイドラインにも併用に関して触れている部分があったので抜粋。
併用に関するガイドライン上の記載
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015には以下の記載がある。
CQ:骨粗鬆症治療薬の併用による効果は
テリパラチドとビスホスホネート製剤※1、テリパラチドとラロキシフェン※2も併用効果は見られていない。
テリパラチドとデノスマブの併用出は1年、2年ともに腰椎、大腿骨近位部の骨量をそれぞれ単独よりも有意に増加させた。
CQ:骨密度は単剤よりも増加するか
アレンドロネートとテリパラチド製剤の同時併用では閉経後骨粗鬆症おいても男性骨粗鬆症においても有意な骨密度の上昇はみられず、テリパラチドの骨密度上昇効果が抑制された。
テリパラチドとラロキシフェンの同時併用は短期間(6ヵ月)ではあるが併用群の骨密度上昇が単独群よりも勝っていた。
~中略~
上記からテリパラチドとアレンドロネート同時併用療法は少なくとも骨密度の面からは推奨できない。
これらの情報より、一般的にビスホスホネート製剤にフォルテオを併用しても効果が増強されず、むしろ骨形成が抑制される可能性もあるため併用されることは少ない。
一方、同ガイドラインに以下の記載もある。
注射製剤ビスホスホネート製剤でありドレゾロン(わが国では骨粗鬆症に未承認)の併用では、24ヵ月の観察でテリパラチド単独例に比べ、腰椎骨密度上昇は同じであるが、大腿骨近位部骨密度の上昇は併用例で大きかった。
効果減弱のメカニズム
テリパラチドは骨吸収も骨形成も上昇させるが、最終的に骨形成の上昇が骨吸収の上昇を上回ることで骨形成が促進される。(吸収50%、形成100~200%上昇との報告あり※3)骨代謝の回転率を上げる方向に働く。
テリパラチド
骨吸収↑、骨形成↑↑↑=骨形成促進
一方、ビスホスホネート製剤は破骨細胞を抑制し、骨吸収を抑制する。
骨代謝の回転率を下げる方向に働く。
ビスホスホネート
骨吸収↓=骨吸収抑制
テリパラチドで骨代謝率を上げようとしているにも関わらず、ビスホスホネートにより子代謝を抑制しようとすることで効果が上がらない(むしろ減弱)のではないかと考えられているようです。