体外診断用医薬品 医療用医薬品と一般用医薬品(一般用検査薬)の区別

体外診断用医薬品のほとんどは医療用医薬品? 一般用診断薬(一般用検査薬)とは?

薬局で販売することのある妊娠検査薬(今は全部?一般用診断薬)や血糖測定に用いるセンサー(チップ)などは体外診断用医薬品に分類される。

この体外診断用医薬品は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品である場合と、OTC扱いとなる一般用診断薬である場合がある。(正確には、体外診断用医薬品の一部が一般用診断薬(一般用検査薬)として扱われるようになったよう;後述の「一般用検査薬の定義」にまとめてあります)


体外診断用医薬品の定義

医薬品・医療機器等法 第2条14

「体外診断用医薬品」とは、専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、人又は動物の身体に直接使用されることのないものをいう。


一般用検査薬の定義

以前は一般用検査薬というものはなかったが、OTC協会等の要望により体外診断用医薬品の一部が一般用検査薬として転用されるようになった。


体外診断用医薬品の一般用検査薬(一般用医薬品である体外診断用医薬品をいう。以下同じ。)への転用については、これまで3種類の一般用検査薬(「尿糖」、「尿蛋白」及び「妊娠検査薬」)が承認されていたところですが、今般、薬事・食品衛生審議会における議論を踏まえ、「一般用検査薬の導入に関する一般原則」(以下「一般原則」という。)を見直すとともに転用の仕組みを策定しましたので、~以下略”


承認について

”機構において、医療用の体外診断用医薬品と同様の手続きにより、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35年法律第 145 号)に基づく承認審査を行うこと。”

とされている。


体外診断用医薬品の分類と販売の記録

上記の通り、体外診断用医薬品は医療用医薬品(処方箋以外)と一般用医薬品(一般用検査薬)に分かれるわけですが、これにより販売方法(陳列、記録等)がことなってくる。

医療用医薬品に該当する場合、販売時に必要な項目を記録として残さなければならない。(陳列もできない 処方箋以外の医療用医薬品と同等の使い そもそも一般向け販売はあまり想定されていないもの)
一般用医薬品であれば記録の義務はない。

※処方箋医薬品以外の医療用医薬品を処方箋なしで販売した場合の記録内容(薬食発 0318 第4号)

2.販売記録の作成薬局医薬品を販売した場合は、新施行規則第1 条第2項の規定により、品名、数量、販売の日時等を書面に記載し、2年間保存しなければならない。 また、同条第5項の規定により、当該薬局医薬品を購入し、又は譲り受けた者の連絡先を書面に記載し、これを保存するよう努めなければならない。また、情報提供に関して理解した旨の記録が必要。

一般用検査薬についてはOTCと同じになるのでその区分に応じた対応でよい。  


医療用医薬品と一般用診断薬の区別

体外診断用医薬品のうち、尿糖、尿蛋白、妊娠検査薬の3種類に関しては一般用診断薬として承認されている。

これ以外のもので一般用診断薬は探してみたがなさそう。(2022年、コロナ抗原検査キットが追加)

PMDAの添付文書検索すると、医療用医薬品でも一般用診断薬でもすべて検索できる。
体外診断用医薬品と一般用医薬品は別々になっており、一般用検査薬は一般用医薬品のほうで検索にかかる。 一般用医薬品である体外診断用医薬品が一般用検査薬なので、本来体外診断用医薬品で全て検索に係らないと定義がおかしいと思うのですが・・・

添付文書に医療用医薬品なのか、一般用診断薬なのか記載があるのかと思えば何もない。
むしろ一般用診断薬も「体外診断用医薬品」と書かれてしまっているため混乱する
→「体外診断用医薬品」、「一般用医薬品」とそれぞれ記載されているので、一般用検査薬は一般用医薬品のほうで検索できるて、体外診断用医薬品のほうでは検索にかからない。

ただ先ほど述べたように、体外診断用医薬品に一部が一般用検査薬なので、体外診断用医薬品の記載だけでは判断できないのでは?と思うのですが、おそらく「医療用医薬品である体外診断用医薬品」=「体外診断用医薬品」と記載しているよう。

添付文書の記載要領をみても判断できない・・・

”2.「薬効分類名」について
 添付文書の左上隅に、「体外診断用医薬品」と記載すること。なお、放射性医薬品の
場合は「体外診断用医薬品(放射性)」又は「体外診断用放射性医薬品」と記載するこ
と。なお、「日本標準商品分類番号」を併記しても差し支えない。”




医療用医薬品の場合、調剤室での貯蔵、販売記録が必要なので注意。
参考:薬食発 1225 第1号


保管場所

医療用医薬品の保管については以下の決まりがある。

店舗販売業者は、薬局医薬品(第四条第五項第二号に規定する薬局医薬品をいう。以下同じ。)を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。(薬機法第二十七条)

医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師等の処方箋に基づく調剤に用いられるものであり、通常、処方箋に基づく調剤に用いられるものとして、調剤室又は備蓄倉庫において保管しなければならない(薬食発 0318 第4号)

一般用医薬品のように調剤室の外に陳列できない。(空箱を並べることも不可 ただし、コロナ抗原検査キットについては特例的に医療用医薬品に該当するものでも陳列可能とされている。

参考:日本薬剤師会 新たな医薬品販売制度の概要と法令順守のポイント



ですので、医療用医薬品に該当する体外診断用医薬品の場合は調剤室で保管、一般用医薬品に該当する場合は陳列可能となる。



血糖測定器の場合、本体は高度管理医療機器なので、それに準じた記録が必要。
センサー(チップ)は体外診断用医薬品(医療用医薬品)なので調剤室で保管、販売時は記録が必要。
針は管理医療機器なので特に規制なし
といった感じになる。


コロナ抗原検査キットの医療用検査薬と一般用検査薬について

今まであまり体外診断用医薬品について深く考える薬剤師は少なかったのではないかと思うが、コロナ抗原検査キットのおかげ(せい?)で色々調べる方が増えているよう。

厚労省のぺージを見ると、コロナ抗原検査キットに関しては、医療用検査薬=体外診断用医薬品、一般用医薬品(OTC)=一般用検査薬として表現されている。

体外診断用医薬品が医療用医薬品とそうではない一般用検査薬に分かれるはずなのですが、分かりやすく便宜上こうなっているんでしょうか。

厚労省リーフレット

これを見ると体外診断用医薬品と第一類医薬品は完全に別物みたいな表現になっている。
体外診断用医薬品の一部が一般用検査薬なのでは・・・?

まぁこっちのほうが分かりやすくでいいですかね。


販売時の記録や添付が必要な書類に関してはこちら↓

まとめ

歴史的流れとして・・・
体外診断用医薬品の一部が一般用検査薬(OTC)に転用されてきた経緯がある。

最近では、体外診断用医薬品=医療用医薬品、一般用検査薬=一般用医薬品(OTC)として表現されていることが多い

「体外診断用医薬品」と書かれていれば医療用医薬品、第1類/第2類など一般用医薬品の区分が記載されていれば一般用医薬品。
PMDAのホームページからそれぞれ別に検索可能。(体外診断用医薬品=医療用医薬品、一般用医薬品=一般用検査薬 がそれぞれ検索にかかる)

それぞれ陳列可否、販売時の記録が異なるため注意。




 2018年7月10日

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