薬局に必要な帳簿、譲渡・譲受記録

薬局に備えなければならない帳簿・譲渡譲受記録の保存期間と記載内容


※1医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)
※2医療機器医療機器等法 施行規則
※3薬剤師法
※4薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
※5麻薬及び向精神薬取締法
※6覚せい剤取締法
※7保険薬剤師及び保険薬剤師療養担当規則(薬担規則)
※8麻薬及び向精神薬取締法 施行規則
※9薬局における麻薬管理マニュアル
※10毒物及び劇物取締法


以下各項目の詳細

薬局の管理帳簿
根拠:医薬品医療機器等法 施行規則
(薬局の管理に関する帳簿)
第13条 薬局開設者は、薬局に当該薬局の管理に関する事項を記録するための帳簿を備えなけ ればならない。
2 薬局の管理者は、試験検査、不良品の処理その他当該薬局の管理に関する事項を、前項の帳薄に記載しなければならない。
3 薬局開設者は、第1項の帳簿を、最終の記載の日から3年間、保存しなければならない。


記載事項(東京都薬剤師会)
・営業時間及び勤務時間
・勤務者名及び勤務時間
・処方箋枚数
・冷蔵庫の温度チェック
・その他必要に応じて以下を記載(試験検査に関する事項、不良品等の処理、薬局製剤製造に関する事項、開設者に対する意見陳述、研修会の受講、構造設備の点検、安全管理に関する事項、妖精からの指導、苦情・相談内容)

→管理帳簿は薬剤師会で購入可能、それに合わせて記載しておけば問題なし。



処方箋、調剤録の記載事項
根拠:薬剤師法、薬剤師法施行規則第15~16条
(処方せんへの記入等)
第二十六条 薬剤師は、調剤したときは、その処方せんに、調剤済みの旨(その調剤によつて、当該処方せんが調剤済みとならなかつたときは、調剤量)、調剤年月日その他厚生労働省令で定める事項を記入し、かつ、記名押印し、又は署名しなければならない。
(処方せんの保存)
 第二十七条 薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなつた処方せんを、調剤済みとなつた日から三年間、保存しなければならない。
(調剤録)
 第二十八条 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
2 薬剤師は、薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。ただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなつたときは、この限りでない。
3 薬局開設者は、第一項の調剤録を、最終の記入の日から三年間、保存しなければならない。


処方箋への記載事項
ア薬剤師は、調剤したときは、その処方箋に次の事項を記載すること。
(ア)「調剤済年月日」(調剤済とならなかった場合は、調剤年月日及び調剤量)
(イ)「保険薬局の所在地及び名称」
(ウ)「保険薬剤師氏名印」(調剤した保険薬剤師の署名又は姓名を記載し、押印)
日付入りネームスタンプは記名扱いのため押印が必要

イ必要に応じて「備考」又は「処方」欄に次の事項を記載すること。
(ア)処方箋を交付した医師又は歯科医師の同意を得て処方箋に記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更内容
(イ)医師又は歯科医師に照会を行った場合は、その回答の内容


調剤録への記載事項
・患者の氏名及び年齢
・薬名及び分量
・調剤年月日
・調剤量
・調剤した薬剤師の氏名
・処方箋の発行年月日
・処方箋を交付した医師等の氏名
・処方した医師等の住所又は勤務する医療機関の名称、所在地
・処方箋に記載された医薬品を変更して調剤した場合の変更の内容及び医師等に疑わしい点を確かめた場合の回答の内容
・患者の被保険者証記号番号、保険者名、生年月日及び被保険者、被扶養者の別
・当該薬局で調剤した薬剤について処方箋に記載してある用量、既調剤量及び使用期間
・当該薬局で調剤した薬剤についての薬剤点数、調剤手数料、請求点数及び患者負担金
→調剤済み処方箋に不足分を記載する形で可。


医薬品の譲渡・譲受記録
根拠:医薬品医療機器等法施行規則
(医薬品の譲受け及び譲渡に関する記録)
薬局開設者は、医薬品を購入し、又は譲り受けたとき及び薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設(獣医療法 (平成四年法律第四十六号)第二条第二項 に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下同じ。)の開設者に販売し、又は授与したときは、次に掲げる事項(第二号及び第三号に掲げる事項にあつては、当該医薬品が医療用医薬品として厚生労働大臣が定める医薬品(以下「医療用医薬品」という。)(体外診断用医薬品を除く。)である場合に限る。)を書面に記載しなければならない。 (振替伝票の作成) 
1.品名 
2.一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品の一群に付される番号(以下「ロツト番号」という。)(ロツトを構成しない医薬品については製造番号) 
3.使用の期限 
4.数量 
5.購入若しくは譲受け又は販売若しくは授与の年月日 
6.購入若しくは譲り受けた者又は販売若しくは授与した者(以下「購入者等」という。)の氏名又は名称、住所又は所在地及び電話番号その他の連絡先(次項ただし書きの規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合にあつては、氏名又は名称以外の事項は、その記載を省略することができる。) 
7.前号に掲げる事項の内容を確認するために提示を受けた資料(次項ただし書きの規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合を除く。) 
8.購入者等が自然人であり、かつ、購入者等以外の物が医薬品の取引の任に当たる場合及び購入者等が法人である場合にあつては、医薬品の取引の任に当たる自然人が、購入者等と雇用関係にある事又は購入者等から医薬品の取引にかかわる指示を受けたことを示した資料 

2、薬局開設者は、前項の規定に基づき書面に記載するに際し、購入者等から、薬局開設、医薬品の製造販売業、製造業若しくは販売業又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設許可に係る許可証の写し(以下単に「許可証の写し」という。)その他の資料の提示を受ける事で、購入者等の住所又は所在地、電話番号その他の連絡先を確認しなければならない。ただし、購入者等が当該薬局開設者と常時取引関係にある場合は、この限りではない。

3 薬局開設者は、薬局医薬品、要指導医薬品又は第一類医薬品(以下この項において「薬局医薬品等」という。)を販売し、又は授与したときは、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない。
1.品名 
2.数量 
3.販売又は授与の日時 
4.販売し、又は授与した薬剤師の氏名並びに法第36条の4第1項若しくは第36条の6第1項の規定による情報の提供及び指導又は法第36条の10第1項の規定による情報の提供を行つた薬剤師の氏名 
5.薬局医薬品等を購入し、又は譲り受けようとする者が、法第36条の4第1項若しくは第36条の6第1項の規定による情報の提供及び指導の内容又は法第36条の10第1項の規定による情報の提供の内容を理解したことの確認の結果

4 薬局開設者は、第1項の書面を、記載の日から3年間前項の書面を記載の日から2年間、保存しなければならない。


記載事項

医薬品の譲渡・譲受(全ての医薬品が対象)
・品名
・数量
・譲受け又は販売若しくは授与の年月日
・譲渡人又は譲受人の氏名
・ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号)※1
・使用の期限 ※2
・購入者等の氏名又は名称、住所又は所在地、及び電話番号その他の連絡先 ※3

※1~3:H30.1.31省令改定による追加項目。(こちらの記事参照)
※3:同一グループ間に場合※3は省略可能


消費者への薬局医薬品、要指導、第一類医薬品の販売
・品名
・数量
・販売又は授与の日時
・対応した薬剤師の氏名
・指導内容を理解した旨


薬局医薬品のうち、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売
・品名
・数量
・販売日時
・患者氏名(努力義務)
・連絡先(努力義務)

※薬局医薬品=処方箋医薬品+処方箋医薬品以外の医療用医薬品
処方箋医薬品は正当な理由(医薬品医療機器等法49条)がない場合は販売不可。
処方箋医薬品以外の医療用医薬品も原則は処方箋にて。ただし、一般用医薬品での対応を考慮したにもかかわらず、やむおえず販売を行わざると得ない場合においては販売可能。この場合の記載事項は品名、数量、日時、患者氏名、連絡先を記載し、2年間保存
(薬食発第 0330016 号)


向精神薬の譲渡・譲受
根拠:麻薬・向精神薬取締法
第四節業務に関する記録及び届出 (記録)

第五十条の二十三 
2 向精神薬小売業者又は病院等の開設者は、次に掲げる事項を記録しなければならない。
譲り渡し、譲り受け、又は廃棄した向精神薬(第三種向精神薬及び向精神薬処方せんを所持する者に譲り渡した向精神薬その他厚生労働省令で定める向精神薬を除く。次号において同じ。)の品名及び数量並びにその年月日
二 向精神薬の譲渡し若しくは譲受けの相手方の氏名又は名称及び住所

4 向精神薬取扱者は、前三項の規定による記録を、記録の日から二年間、向精神薬営業所、病院等又は向精神薬試験研究施設において保存しなければならない。


記載事項

・向精神薬の品名、数量
・年月日
・取引相手の住所・所在地
→上記内容が記載された納品伝票を他と区別して綴ることで問題なし。

譲渡、譲受、廃棄のいずれかを行った場合に記載。
第3種は記載不要。
処方箋による交付、患者からの返却に関しては記載不要。



麻薬の譲渡・譲受
根拠:麻薬及び向精神薬取締法24条~39条

記載事項

管理帳簿への記載事項(処方箋による交付、卸からの取引、破棄等すべてで記載必須)
・譲り受けた麻薬の品名、数量、年月日
・譲り渡した麻薬の品名、数量、年月日
・第三十五条第一項の規定(廃棄、事故)により届け出た麻薬の品名及び数量
・廃棄した麻薬の品名及び数量並びにその年月日


卸からの譲渡・譲受
・譲渡証(卸→薬局)、譲受証(薬局→卸)の交換が必須。


麻薬小売業者間譲渡
・事前に麻薬小売業者業者間譲渡許可の申請が必須。
・譲渡確認証、譲受確認証、麻薬処方箋に写しの交付必須。


廃棄

調剤済み:破棄後30日以内に届出
調剤前(期限切れ、調剤ミス等):事前に届出、立ち合いのもと破棄



高度管理医療機器の譲渡・譲受
根拠:医薬品医療機器等法施行規則
第 173条 高度管理医療機器等の販売業者等は、高度管理医療等を譲り受けたとき及び高度管 理医療機器等の製造販売業者、製造業者、販売業者、貸与業者若しくは修理業者又は病院、診療 所若しくは飼育動物診療施設の開設者に対し販売し、授与し、若しくは貸与し、又は電気通信回 線を通じて提供したときは、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない。
 一 品名 二 数量 三 製造番号又は製造記号 四 譲受け又は販売、授与若しくは貸与若しくは電気通信回線を通じた提供の年月日 五 譲渡人又は譲受人の氏名及び住所 

2 高度管理医療機器等の販売業者等は、高度管理医療機器等を前項に掲げる者以外の者に販売し、授与し、若しくは貸与し、又は電気通信回線を通じて提供したときは、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない。
 一 品名 二 数量 三 販売、授与若しくは貸与又は電気通信回線を通じた提供の年月日 四 譲受人の氏名及び住所 

3 高度管理医療機器等の販売業者等は、前2項の書面を、記載の日から3年間(特定保守管理医療機器に係る書面にあつては、記載の日から15年間)、保存しなければならない。ただし、貸 与した特定保守管理医療機器について、譲受人から返却されてから3年を経過した場合にあつて は、この限りではない。


記載事項

卸から仕入れた際
・品名、数量
・製造番号
・年月日
・仕入れ先の名称・住所

消費者への販売
・品名、数量
・年月日
・相手の氏名、住所
※医療機関への販売の場合は製造番号も必要


 2018年7月16日

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