イグザレルトの粉砕可否

イグザレルトは粉砕しても問題ない? 他のDOACは粉砕できる?


DOACの粉砕指示を最近たまにみる。
プラザキサは論外として、それ以外の3剤は粉砕可能で粉砕したことがある。

ところがイグザレルトの市販後直後調査を見ると、粉砕は避けるようにと記載がある。

しかし、インタビューフォームを見るとしっかり粉砕時のデータが記載されており、同等性も認められている。

イグザレルトは粉砕して大丈夫なのでしょうか。
ついでに他のDOACについても簡単に調べてみました。


以下に各DOACの粉砕概要について記載

DOACの粉砕可否


リクシアナ
粉砕は推奨されない。OD錠の使用を推奨。ただし、海外の臨床試験にてリクシアナ粉砕投与にてTmaxは若干の短縮(1.5h→1.0h)がみられたが、AUC、Cmaxは差がなかった。粉砕後の安定性は問題無し。 (メーカー回答)

プラアキサ
一包化すら無理、分解生成物増加にて規格外
(インタビューフォーム)

エリキュース
錠剤と粉砕物は生物学的に同等(の範囲)であり粉砕は可能。
(インタビューフォームに詳細データあり)


イグザレルト
AUC,Cmaxは錠剤投与時と同程度
(インタビューフォームに詳細あり)



イグザレルトの詳細


平成24年の中市販後直後調査の一部抜粋

"本剤を粉砕し経管投与された症例が報告されています。本剤の粉砕経管投与は安全性および有効性が確立されていないため、このような投与は避けていただきますようお願い致します。"イグザレルト® 錠 「市販直後調査」のご報告[第 2 回中間報告]


一方インタビューフォームの記載はこちら。

健康成人55例を登録し、錠剤20mgを粉砕後、すりおろしたリンゴに懸濁し経口投与(粉砕投与)、水に懸濁し経鼻胃管チューブにて投与(経管投与)、又は錠剤のまま経口投与(錠剤投与)し、それぞれ流動食ととも に単回投与した際の薬物動態を、3群3期クロスオーバー法にて比較した。 3群3 期の投与を完遂した44例における粉砕投与時及び経管投与時の錠剤投与時に対する AUC∞の比はそれぞれ 95%及び 89%、Cmaxの比はそれぞれ 90%及び 82%と、錠剤投与時と同程度であった。

" 本試験成績を踏まえた議論の結果、2013年 3月より米国の添付文書では粉砕又は経管投与に関して以下の主旨の記載が追加された。 

・錠剤を粉砕し、水又はすりおろしたリンゴ等の柔らかい食物と混ぜて服用させる場合には、投与後直ちに食事を摂取させる*1。 
・錠剤を粉砕し胃管により投与する場合は、投与前に胃管の位置を確認した上で*2、少量の水とともに胃管を通じて投与後、水で胃管を洗浄し、直ちに経腸栄養を行う*1。 

なお、錠剤粉砕後の各種懸濁液中での安定性については、「Ⅳ.4. 製剤の各種条 件下における安定性」の項参照。(→粉砕後25℃ 湿度75%でも3ヵ月安定)

*1: 本剤は水に溶けにくいことから、空腹時に投与した際は吸収が低下するが、 食後投与した際には吸収が増加しバイオアベイラビリティの改善が認められていることから、食事とともに投与することとされている。 

*2: リバーロキサバンが小腸近位部で局所放出された際の AUC 及び Cmax は、錠 剤を経口投与した場合と比較しそれぞれ 29%及び 56%低下することが示されている。 "


イグザレルトの用法は食後投与。
食後でないとBAが低下する。
よって粉砕経管投与の場合はすぐに経管栄養をおこなうようにとなっている。

結局粉砕は問題なさそう。
安定性についても問題無し。
市販後調査の1件は粉砕に関係なく発生したものでしょうか。

メーカーの回答は、粉砕による同等性は確認できており、むしろロスのほうが心配だから細粒を推奨するが、粉砕は可能とのこと。

問題ないなら粉砕していいよと言われたときに、これを問題と考えるか、考えないかは人それぞれでしょうか…


まとめ

エリキュース、イグザレルト、リクシアナ
推奨されないが粉砕可能。
どれも錠剤服用と同程度とする試験データあり。

プラザキサ
不可

 2018年9月13日

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