妊婦・授乳婦と花粉症治療薬(抗アレルギー薬)

妊娠中、授乳中に使用しても安全性が高いとされている花粉症治療薬


妊婦へのリスク区分(胎児危険度分類区分)

よく目にするものがFDAとオーストラリアの分類。

FDAは、ヒトの対照比較研究あるいは動物実験の結果に基づき、胎児への危険性をA,B,C,D,Xの5段階に分類していたが、この分類方法を2015年6月に廃止し、具体的な安全性とリスク評価を記述形式で添付文書に記載するようした。  (下図左)

オーストラリア分類は、ヒトに関するデータとして過去の妊婦への使用実績を重視し定義されている。(下図右)
A,Bはどちらも同じような内容。
A:胎児への危険性は証明されておらず、危険性は低い
B:動物実権で有害事象が証明されているが、ヒトでは証明されていない。

Cは異なっているため注意。
FDA:動物で催奇形性の報告あるが、ヒトでは明らかでない。又は情報がないもの。
オーストラリア:胎児への有害事象報告あり。催奇形性はなし。



妊婦への抗アレルギー薬

ガイドラインでは、以下の3剤を使用することが望ましいとされている。

クロルフェニラミン(ポララミン):オーストラリア基準 A,FDA 基準 B
ロラタジン(クラリチン):オーストラリア基準 B1,FDA 基準 B
セチリジン(ジルテック):オーストラリア基準 B2,FDA 基準 B

推奨度 B~C1,エビデンスレベル II~VI ※1



授乳婦への抗アレルギー薬

抗ヒスタミン薬はいずれも母乳へ移行し得るので,内服による治療が必要な場合は国立成育医療センター妊娠と薬情報センターのホームページ※2を参照する
(推奨度 C1,エビデンスレベル V) ※1

→妊婦と薬情報センターの「安全に使用できると思われる薬」に記載されている抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)は以下の通り。

フェキソフェナジン(アレグラ)
ロラタジン(クラリチン)


抗アレルギー薬は数十種類あり、有効性については個人差があり、効果がなければ変更してみるようにガイドラインに記載がある。

妊婦さん、授乳婦さんの場合、いろいろ使用せず安全性が確立しているものを使用したいところです。

花粉症の薬比較一覧はこちら

※1日本皮膚科学会ガイドライン 蕁麻疹診療ガイドライン
※2国立成育医療センター妊娠と薬情報センター 授乳中の薬の影響
 2018年9月16日

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