アムロジピンの分1と分2の違い

アムロジピンやニフェジピンなどの長時間作用するカルシウム拮抗薬は分2のほうが血圧が安定するのか?

カルシウム拮抗薬の中には血圧には分1、狭心症には分2の薬剤があるが、ニフェジピンCRやアムロジピンは基本的にどちらに対しても分1。(ニフェジピンは効果不十分の場合40㎎×2回の用法もあり)

ですが、結構分2で処方されているのを見る。
カルシウム拮抗薬に限らず、ARBやACE阻害薬なども分2で処方されているのを見る。

以前日経DIで血圧はT/P比が高いものがよいと紹介されているのを読んだことがある。
※T/P比:最大降圧度(peak値)と最小降圧度(trough値)の比。持続的な安定した降圧療法の臨床的指標の一つであり、0.5~0.75くらいが目標値。※1

分1で血中濃度に差がでてしまうのなら、分2にすれば安定しそうというのが一般的な考えかと思うのですが、実際はどの程度差が出てくるのでしょうか。


アムロジピンの分1と分2の比較

アムロジピン5㎎1錠分1(分1投与群) VS アムロジピン2.5mg2錠分2(分2投与群)※2,3

分1投与群199人、分2投与群260人で治療効果を比較したところ、早朝高血圧の低下に差がみられたとのこと。

分1投与群:平均収縮期血圧低下 10.0mmHg
分2投与群:平均収縮期血圧低下 12.5mmHg

併用薬については分1投与群が1.8剤に対し、分2投与群は1.5剤と少なかったとのこと。


文献は有料のため詳細不明。上記は日経DIにて取り上げられていたデータ。
分1群の投与タイミング、併用薬の種類、2群間のサンプル数の差等が気になるところですが、分2のほうが併用薬も少なく降圧効果(早朝)も高かったようです。


ただし、アムロジピン10㎎1錠分1群とアムロジピン5㎎2錠分2群において、差はなかったとするデータもある。※4
こちらの試験はn=19,1ランダム化クロスオーバー試験。



ニフェジピンCRの分1と分2の比較

ニフェジピンの有効血中濃度は12ng/mLと記載されている。※4
血中濃度の推移を見ると2峰性になっているが、24時間後も十分な濃度がある。
反復投与により定常状態になるので、これを分2に分けても意味がないような気がするのですが…

インタビューフォームにおいては40㎎分1と80㎎分2の比較しか記載がないのでなんとも。
後にに示すガイドラインに従って、コンプライアンスが落ちなければ分2を試してみることもありなのかと思います。



ニフェジピン20mg2錠分2とアムロジピン5㎎分1の比較※6

同じ薬剤同士の比較を文献検索していたらニフェジピン(通常錠)とアムロジピンの比較もでてきたのでついでに記録。

この試験ではニフェジピン20mg2錠分2とアムロジピン5mg1錠分1を比較している。(二重盲検クロスオーバーランダム化比較試験、人数は13人とかなり小さいため参考程度に)

結果
・全体として血圧変化に関して2剤間において差はなし
・ニフェジピン群でトラフとピークで血圧に大きな差があった。


せっかく読んだのでまとめてみましたが、CR錠じゃないのであまり参考になりませんでした…



ガイドラインの記載※7

通常の高血圧治療

"降圧薬は1日 1回投与を原則とするが,24時間にわたって降圧することがより重要であり,1日2回の投与が好ましいこともある推奨グレード C1 [エビデンス レベル Ⅲ]"

"現在市販されている降圧薬は,臨床現場で使用されたとき,必ずしも効果が24時間は持続しないことが少なくない。家庭血圧や24時間血圧測定で得られたトラフの血圧が高値の場合,朝に服用している降圧薬を晩に服用したり,朝晩の2回に分服,あるいは晩や就寝前に追加投与することを試みる"

薬の飲む直前の血圧が高い人は分2にするとよいかもという、当たり前の話ですね・・・
推奨グレードは低く、エビデンスもあまりないようです。


治療抵抗性の高血圧

"Ca拮抗薬,ARBあるいはACE阻害薬と利尿薬の3剤併用でも降圧が不十分な場合は,薬剤を増量する, 朝1回を朝夜の2回または夜1回の服薬に変更する, さらに降圧薬を追加する,などにより血圧コントロー ルを図るべきである"

2回にする場合と同列で夜分1に変えるということも記載されている。


分1でうまくコントロールできていない場合は分2にしてみることは試してみる価値がありそうです。


まとめ

分1を分2すると、
早朝高血圧改善作用がみられる可能性がある。
ガイドラインでもエビデンスレベルは低いが、分2投与の記載あり。


※1 トーアエイヨー 循環器用語ハンドブック
※2 日本内科学会誌 降圧治療におけるアムロジピン5mg錠1日1回投与及び2.5mg錠1日2回投与の臨床的有用性の比較検討
※3 日経ドラッグインフォメーション 2015 4
※4 http://therres.jp/1conferences/2011/JSH2011/20111107122224.php
※5 アダラートCRインタビューフォーム
※6 J Hum Hypertens. 1993 Aug;7(4):365-8. 
※7 高血圧治療ガイドライン2014

 2018年10月18日

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