PPIと胃粘膜保護剤の併用の有効性について

PPIやH2ブロッカーにレバミピド、テプレノンなどの胃粘膜保護剤を併用は意味があるのか


PPI(オメプラゾール、ランソプラゾール、ランソプラゾール、ネキシウム等)やH2ブロッカー(ガスター等)などの胃酸分泌抑制薬(防御因子増強薬)に、レバミピドやテプレノンなどの胃粘膜保護剤が併用されている処方を見ることがある。

症状を聞くと胃潰瘍ではないが、バイアスピリンやNSAIDsの副作用防止でベースでPPIを服用していても胃部不快感があったり、PPIを服用していても症状を訴えている患者さんに併用で処方されている気がする。

作用機序は異なるので意味ないことはないのかもしれませんが、有効とするエビデンスはあるのでしょうか。

PPI+胃粘膜保護の有効性

消化性潰瘍ガイドライン※1上の記載

胃潰瘍、十二指腸潰瘍

CQ3-2:胃潰瘍に対する初期治療において、胃酸分泌抑制薬に防御因子増強薬の併用は有効か。
上図の通り、
PPI:胃粘膜保護剤を併用する意味はなし。

H2ブロッカー:一部は有効とするエビデンスあり。

・上乗せ効果あり
H2ブロッカー全般+テプレノン
ラニチジン+テプレノン
シメチジン+エグアレン、エカベト、ソファルコン

・上乗せ効果なし
H2ブロッカー全般+レバミピド
シメチジン+ソファルコン、テプレノン
ラニチジン+スクラルファート

エビデンスレベルC(質が低い)、推奨度2(推奨でなく提案)とはなっているが、わざわざPPIに併用する必要はなさそうですね。

H2ブロッカーは薬剤によってエビデンスに差があり、ガイドラインには上記薬剤に関して記載がある。
ただし、テプレノンはH2ブロッカー全般で効果ありとする報告とシメチジンでは効果なしの報告があり矛盾している。

胃粘膜保護剤は安全性はかなり高いのでH2ブロッカーだけで症状があるようなら併用してみるのは悪くない感じですね。(レバミピドはエビデンス微妙だからとりあえずテプレノンですかね)


「保険適応上の制限は特にない」との記載もある。
PPIとH2ブロッカーの併用は重症例以外の場合は基本切られる。


維持療法や十二指腸潰瘍においてもPPIと胃粘膜保護剤の併用は上乗せ効果なしとなっている。



NSAIDs、バイアスピリン投与時
NSIADsや低用量アスピリンにより消化管出血リスクが増加することは明確とされている。

通常これらの予防にはPPIかミソプロストールの投与がよいとされている。※1


ここに胃粘膜保護剤を追加するとどうかという記載がガイドライン上にはない。

胃潰瘍の既往歴がある場合にでも、NSAIDsやアスピリンを投与する場合、予防としてはPPIを投与することとの記載はあるが、併用に関する記載はなし。


胃潰瘍の治療においてPPIと防御因子の併用が意味ないことを考えるとこちらもおそらく不要といったところでしょうか。


これらはあくまで胃潰瘍の再発や治療にアウトカムを置いているので、症状改善とかになるとまた変わってくるのかもしれません。

この辺のデータも随時集めてみようかと思います。

まとめ

胃潰瘍の発現予防・治療においては、

PPI+胃粘膜保護剤は不要

H2ブロッカー+胃粘膜保護剤は薬剤により有効とのエビデンスあり。
(テプレノンは有効とするエビデンスが多い。)

※1日本消化器学会 消化性潰瘍診療ガイドライン2015
 2019年2月27日

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