エパデールのエビデンス

各種ガイドラインにおけるエパデールの有効性 どんな患者に投与すると効果的?

エパデールはEPA(イコサペント酸エチル)

適応は高脂血症と閉塞性動脈硬化症。

高脂血症(高LDL)の第一選択は通常スタチン系。
スタチン系と比べるとエパデールのコレステロール低下作用弱いし、フィブラート系と比較してそこまで中性脂肪を下げるわけでもない。

では、どんなときに使うんでしょうか。
ガイドライン等にでてきたエビデンスをメモ。

末梢閉塞性動脈疾患ガイドライン


ASO(下肢閉塞性動脈硬化症)患者を対象にしたRCTや脂質異常症に対する薬剤を用いた前向き研究はないのが実情である.

18,645例の高コレステロール血症患者(総コレステロー ル値> 250 mg/dL)に対しスタチンに EPA 製剤を上乗せ して心血管イベントが抑制されるかどうかを検討した JELIS 研究(Japan EPA Lipid Intervention Study)のなかで, 223例のASO 患者を対象にしたサブ解析において,スタチンに EPA 製剤を併用した群では有意に主要冠イベントの発症が抑制された。

→ASOへの有効性は不明。スタチンに上乗せで心血管イベント減少。(ただしサブ解析)


動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2017年版)

CQ23 高TG血症あるいは低HDL-C血症を合併する脂質異常症において、スタチンへのフィブラート系薬剤・ニコチン酸誘導体、n-3多価不飽和脂肪酸の併用療法の動脈硬化性疾患の発症抑制に有効か?

A:イコサペント酸エチル製剤およびフィブラート系薬剤のスタチンへの併用療法は、動脈硬化性疾患の発症抑制に有効である。(エビデンスレベル2、推奨B)



心筋梗塞2次予防ガイドライン

スタチン治療を受けている高コレステロール血症患者を対象としたJELIS試験では,高純度EPA製剤の冠動脈イベント抑制効果が検討された.
EPA投与群における冠動脈イベントの発症率は対照群に比べて19%有意に減少し,さらに冠動脈疾患二次予防サブ解析では,EPA投与群では対照群と比較して累積冠動脈イベントが23%低く,特に心筋梗塞とPCIの既往がある患者ではEPA投与群で41%も低かった.

脂質低下療法に関するランダム化大規模臨床試験のメタ解析では,心臓死と総死亡の両イベントを低下させるのはn-3多価不飽和脂肪酸とスタチンのみであることが示された.

AHA(アメリカ心臓協会)/ACC(アメリカ心臓学会)心筋梗塞2次予防ガイドライン改訂版では,n-3脂肪酸に富む食品を摂るよう勧告されている.

→他ガイドラインと同様の文献から(JELIS)? 高TG,低HDLなどの高リスク群にはスタチンとの併用で有効性◎。




循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法 に関するガイドライン

心血管疾患高リスク症例の一次予防
クラスⅠ
高リスクの脂質異

イコサペント酸エチルの併用が心血管イベントの総発症率,心血管死亡率,総死亡率,および安全性に与える影 響をイコサペント酸エチル投与群(スタチンとイコサペ ント酸エチル併用)と対照群(スタチンのみ)との間で 比較検討している.本研究では一次予防に相当する群も 含まれており,サブ解析449) の結果も報告されている.

→同じくJELISの結果より。




引用されている文献はどれもEPAについての世界となった大規模臨床試験のJELIS試験。

イコサペント酸エチルは単剤での使用というよりは、スタチン系をベースにしている高リスク群(高TG、低HDL、高血圧、糖尿病、心血管疾患の既往歴)に追加投与する感じといったところ。


まとめ

イコサペント酸エチルは第一選択ではないものの、高リスク群に追加することで心血管イベント発症を抑制する。

 2019年3月29日

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