風邪に対するビタミンCの有効性

風邪の症状改善にビタミンC摂取は有効か

風邪の原因はウイルス。
細菌でないので抗生剤は効きません。

といった話はだいぶ浸透してきているようですが、風邪を引いた際にビタミンCを取ると治癒が早くなるといわれたという患者さんにたまに出会う。

ビタミンCはコラーゲン合成に関わり、血管を強くする。
また、抗酸化作用もあると言われていますが、風邪に有効とする根拠があるのでしょうか。


コクランに以下のレビューが記載されている。

ビタミンCによる風邪の予防および治療

"1日0.2g以上のビタミンCを用いたプラセボ比較試験に限定して、ビタミンCの効果を対象とした。29試験の参加者11,306人を比較した結果、普通の人がビタミンCを常時摂取しても、風邪の罹患率への効果はみられないことが明らかにされた。

しかし、風邪9,745件を対象とした31の試験の結果から、ビタミンCのサプリメントを毎日摂取すると、わずかではあるが一貫して、風邪の症状の持続期間を短縮させる効果があることがわかった。

極度の肉体的ストレスを短期間受けた人(マラソン走者、スキーヤーを含む)598人が参加した5つの試験では、ビタミンCによって風邪のリスクが半分に低下した。

これまでに発表されている試験では、ビタミンCの有害事象は報告されていない。

風邪の症状があらわれてからビタミンCを治療薬として大量に投与した試験では、風邪の症状の持続期間や重症度に対する一貫した効果はみられなかった

しかし、治療薬としての効果を調べた試験は、わずかしか実施されておらず、さらに、どの試験にも子供は参加していない。だが、子供では、ビタミンCが風邪を予防する効果は大きかった。

成人を対象とした1つの大規模な試験では、風邪の症状があらわれてから8 gのビタミンCを治療薬として投与した結果、効果がみられたことが報告されている。

さらに、治療薬としてビタミンCを5日間補充した2つの試験でも、効果が報告された。

ビタミンCを治療薬として用いた場合、つまり風邪の症状があらわれたらすぐに投与した場合に、ビタミンCが果たすと思われる役割を確実に理解するには、今後さらに多くの試験を実施する必要がある"

"主な結果: 

29試験の参加者11,306人を対象として、試験期間中にビタミンCを常時摂取していた間に風邪を発症するリスク比(RR)に関するメタアナリシスを実施した。

一般地域住民を対象とした試験の参加者10,708人における統合RRは0.97(95%信頼区間(CI)0.94~1.00)であった。

5試験に参加した計598人のマラソン走者、スキーヤー、亜寒帯で軍事教練を受けた兵士では、統合RRは0.48(95%CI 0.35~0.64)であった。

ビタミンCの常時摂取が風邪の罹病期間に及ぼす影響については、31の比較により検討されていた(9,745件)。成人では、風邪の罹病期間が8%(3%~12%)短縮し、小児では14%(7%~21%)短縮した。

小児では、1~2 g/日のビタミンCで風邪の罹病期間が18%短縮した。風邪の重症度もビタミンCの常時摂取により低下した。 

ビタミンCを治療薬として投与した場合の影響については、7つの比較により検討されていた(3,249件)。治療薬として投与した試験では、風邪の罹病期間または重症度に対するビタミンCの効果は一貫していなかった。 対象とした試験の大半がランダム化二重盲検試験であった。非ランダム化試験または非二重盲検試験を除外したことによる結論への影響はなかった

→予防効果はないが、常時摂取により風邪の罹患期間は短くなる可能性
→風邪を引いた際に摂取すると、治癒がわずかに早くなる可能性


結果は一貫していにようですが、予防効果はあまり報告がないものの、罹患期間の短縮は期待できるかもといった感じでしょうか。

副作用もまずないでしょうし、投与してみる価値はありますかね。


まとめ

ビタミンCは風邪の予防効果は期待できない。
罹患期間の短縮は報告あり。

参考:cochrane ビタミンCによる風邪の予防および治療
 2019年3月10日

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