1日の最大水分摂取量は? どのくらいの速度で何L飲水すると危険?
ミニリンメルト服用時は水中毒にならないよう服用2,3時間前から水分制限が必要です。
では、通常の人間はどの程度の量を飲んだから危険なんでしょうか。
量だけでは何時間もかけて飲んだほうが安全に決まっているので、速度も一緒に調べ見ました。
量だけでは何時間もかけて飲んだほうが安全に決まっているので、速度も一緒に調べ見ました。
まずは水分過剰摂取となってしまう病態について。
水中毒のリスクとなる疾患
以下福島県薬剤師会の質疑応答より。
”水中毒とは、多飲症の結果生じる発作性の病態で、精神疾患患者にはしばしば見られる。
(原因)
①向精神薬(特に定型抗精神病薬)による副作用の口渇により飲水が習慣化し、強迫的に飲水が増える
②精神疾患の病態(不安、焦燥、幻覚、妄想等)から飲水が習慣化して多飲傾向となる
③向精神薬の長期使用により、慢性的にドパミンD2受容体が遮断され、視床下部の口渇中枢を刺激する中枢性飲水惹起物質のアンジオテンシンⅡへの感受性が亢進し、さらに抗利尿ホルモンの分泌が促進され、水分貯留を引き起こす(抗利尿ホルモン分泌不適合症候群:SIADH)等が考えられる。
(症状) 多飲により腎の処理能力を超えると電解質バランスが崩れて希釈性低ナトリウム血症が生じ、軽症では疲労感、頭痛、嘔吐、浮腫、重症では脳浮腫による痙攣、錯乱、意識障害等、肺水腫やうっ血性心不全等の身体障害を起こし、死に至ることもある。”
水分で死亡するのは低ナトリウム血症になるから。
なので、水分の致死量を調べるというよりは、どのくらいの水分をどの速度で飲んでしまうとで低ナトリウム血症になってしまうのかを調べればよいでしょうか。
(原因)
①向精神薬(特に定型抗精神病薬)による副作用の口渇により飲水が習慣化し、強迫的に飲水が増える
②精神疾患の病態(不安、焦燥、幻覚、妄想等)から飲水が習慣化して多飲傾向となる
③向精神薬の長期使用により、慢性的にドパミンD2受容体が遮断され、視床下部の口渇中枢を刺激する中枢性飲水惹起物質のアンジオテンシンⅡへの感受性が亢進し、さらに抗利尿ホルモンの分泌が促進され、水分貯留を引き起こす(抗利尿ホルモン分泌不適合症候群:SIADH)等が考えられる。
(症状) 多飲により腎の処理能力を超えると電解質バランスが崩れて希釈性低ナトリウム血症が生じ、軽症では疲労感、頭痛、嘔吐、浮腫、重症では脳浮腫による痙攣、錯乱、意識障害等、肺水腫やうっ血性心不全等の身体障害を起こし、死に至ることもある。”
水分で死亡するのは低ナトリウム血症になるから。
なので、水分の致死量を調べるというよりは、どのくらいの水分をどの速度で飲んでしまうとで低ナトリウム血症になってしまうのかを調べればよいでしょうか。
水分摂取による死亡例、低ナトリウム血症
以下北海道薬剤師会情報室より
”米国でのコンテストで大量に水を飲んだところ、水中毒になり脂肪したという報道が有馬氏が、水中毒とはどのような病気ですか・・・・
この水中毒の症例は、~どれだけトイレに行かずにどれだけ水が飲めるかという競技に参加した女性が、約7Lの水を飲んだ後に頭痛と腹部の異常なふくらみを訴え数時間後に死亡、検視の結果水中毒とわかりました・・・”
とのこと。
全くトイレにいかず7L服用にて低ナトリウム血症となっている。
時間は書いていないので不明。
時間は書いていないので不明。
その他水分摂取による低ナトリウム血症の症例を調べてみました。
症例1※1
9歳の少女が1.8~3.6Lの水を1~2時間で飲水。
嘔吐、吐き気、頭痛→低ナトリウム血症となる(Na:118mEq/L)
術後の便秘予防のため少女は日頃から1.8L×2本の水を飲むように家族に強いられていたとのことで、1回の飲水で低ナトリウム血症となったわけではなさそうですが。
水分摂取量と摂取速度
上記論文には腎臓では通常20L/dayの水分を除去することができるため、水分過剰摂取で低ナトリウム血症となることはめったにない、1度に3-4L飲水すると低ナトリウム血症の症状がみられる、腎臓での処理能力を超えた量を摂取すると重篤な低ナトリウム血症となると記載されている。
また、この値より、低ナトリウム血症にならない1時間当たりの最大摂取許容量は800-1000mL/時であると考察されている。(腎機能正常の場合)
"Symptomatic hyponatremia can occur when one drinks 3-4 L of water. Severe hyponatremia occurs when too much water, more than what the kidney can excrete, is inhaled. The water excretion rate of a healthy adult is about 20 L/day and does not exceed 800-1,000 mL/hr9). Thus, the maximum amount of water that a person with normal renal function can drink is 800-1,000 mL/hr to avoid hyponatremia symptoms."
また、この値より、低ナトリウム血症にならない1時間当たりの最大摂取許容量は800-1000mL/時であると考察されている。(腎機能正常の場合)
"Symptomatic hyponatremia can occur when one drinks 3-4 L of water. Severe hyponatremia occurs when too much water, more than what the kidney can excrete, is inhaled. The water excretion rate of a healthy adult is about 20 L/day and does not exceed 800-1,000 mL/hr9). Thus, the maximum amount of water that a person with normal renal function can drink is 800-1,000 mL/hr to avoid hyponatremia symptoms."
このような記事もある。
中外医学社
"水分摂取量の許容範囲 人は体液の恒常性を維持したまま,どの位の水を飲むことができるのであろうか? 尿は約 50
mOsm/l まで希釈することができるが,1 日の平均的な尿中の溶質排泄量(蛋白代謝による尿素や
電解質)は 600~1000 mOsm であるから,これだけの溶質を排泄するのに必要な最大希釈尿(50
mOsm/l)の量は(600~1000)÷50=12~20 l である.よって,平均的な食事(溶質摂取)をしてい
る場合,最大で 12~20 l もの水を飲んでもそれが全て尿中に排泄されうるのである"
ということで、この辺をまとめると、1日に20Lくらいは飲んでも問題ないが、1時間で1Lを超えてくると低ナトリウム血症になるリスクがあるということになりそうです。
ということで、この辺をまとめると、1日に20Lくらいは飲んでも問題ないが、1時間で1Lを超えてくると低ナトリウム血症になるリスクがあるということになりそうです。
まとめ
許容水分摂取量:20L/日 これくらいまでなら排泄できると考えられる。
許容水分摂取速度:800~1000mL/時 未満 これ以上だと低ナトリウム血症になるとの報告あり。
※水分だけの場合であり、電解質等が含まれてくると変わってくる。
※1Ann Pediatr Endocrinol Metab. 2013 Jun;18(2):95-8.