コデインリン酸とジヒドロコデインリン酸の違い

鎮咳薬として用いるリンコデとジヒドロコデインの違いは?

コデインリン酸塩とジヒドロコデインリン酸はどちらも鎮咳薬として用いられる。

カフコデやフスコデに含有されているのはジヒドロコデインですが、コデインリン酸も単品で咳止めとして処方される。

鎮痛作用はコデイン≒ジヒドロコデイン※1ですが、鎮咳作用はどうでしょうか。


基礎知識

コデイン

肝初回通過効果を受けず、0.8時間で最高血中濃度に達する。
コデイン自体はオピオイド受容体への親和性が低いが、10%がCYP2D6により代謝されてモルヒネとなり鎮痛作用を示す。

鎮咳作用自体はコデインによるもの。(延髄の咳中枢に作用)


ジヒドロコデイン

コデインの誘導体。(7,8位を水素化=鎮痛作用増強)
代謝されるとジヒドロコデインモルヒネとなる。(活性あり)

鎮咳作用はコデインの2倍程度あるとされている。※2,3



鎮咳作用の強さ

上記に記載したが、ジヒドロコデインはコデインの2倍程度力価があるとされている。

それぞれの用法は
コデイン:1回20㎎ 1日3回 (1日60㎎)
ジヒドロ:1回10㎎ 1日3回 (1日30㎎)

なので、結局臨床用量では強さは同じになる。
※十分量投与されたモルヒネのほうが鎮咳作用は強い。※2

ジヒドロコデインのほうが服用量が少なくなるのでいいような気がしますが、便秘等の副作用はどうなんでしょうか。



副作用の頻度

コデイン、ジヒドロコデインで問題になる副作用は便秘や眠気などの中枢神経系副作用。
コデイン、ジヒドロコデインともに副作用頻度の記載はなし。



コデイン、ジヒドロコデイン含有製剤

ジヒドロコデイン含有製剤にはカフコデ、フスコデ、セキコデなどがある。(その他多数)
散剤は原末、1%散、10%散。

カフコデN配合錠:1錠中2.5㎎ 1回2錠1日3回なので15㎎/日
フスコデ配合錠:1錠中3.0㎎ 1回3錠1日3回なので27㎎/日
フスコデ配合シロップ:1mL中3.0㎎ 10ml分3なので30㎎/日
セキコデ配合シロップ:1mL中2.0㎎ 1回5mL1日3回で30㎎/日


コイデンはコデインリン酸だけで、剤形は1%散、10%散、5㎎錠、20㎎錠。



ガイドライン上の位置づけ

がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン

咳嗽を有するがん患者に対する、モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデインの投与は2D(弱い推奨、とても弱いエビンデンス)とされている。

※メジコン(デキストロメトルファン)は2C

実薬対象試験において、オピオイドが優れているとする試験はないとのこと。

ただし、既存の研究の中で、コデイン、ジヒドロコデイン、モルヒネによる咳嗽回数の減少、強度の減少は認められており、重篤な副作用の増加は認められていない。


咳嗽に関するガイドライン

COPD患者19例を対象とするリン酸コデイン60 mgと偽薬の単回投与の二重盲検クロスオーバー試験 では,客観的咳モニタリング,クエン酸咳受容体感受 性,咳スコアで評価した有効性に両群間で差はなかった.


まとめ

鎮咳作用の強さ:ジヒドロコデイン10㎎≒コデイン20㎎
ただし、臨床用量はジヒドロコデイン30㎎/日、コデイン60㎎/日のため同等。

コデイン、ジヒドロコデインともにそれ自体が席中枢に作用すると考えられている。

配合剤に含有されているのはジヒドロコデイン。



※1 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014
※2 がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン 2016
※3 ジヒドロコデインリン酸塩散1%「第一三共」インタビューフォーム
 2019年4月29日

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