クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の第一選択薬

CDIにはメトロニダゾール、バンコマイシンどちらが第一選択薬?

クロストリジウム・ディフィシルは入院患者の3割程度がしているとされている。

抗生剤の投与により、腸内細菌が乱れてCDが増殖するとCDIを引き起こすことがある。
通常抗生剤投与から14日以内が多いが、3カ月以内であればリスクとなりえる。※2
抗生剤以外のリスク薬剤としてはPPI。

偽膜性大腸炎=CDIではなく、CDIで起こることがある病変が偽膜性大腸炎。

CDIに用いられる抗生剤はメトロニダゾール、経口バンコマイシンがありますが、どちらのほうが有効性・安全性が高いのでしょうか。


CIDの治療方針

化学療法学会誌※1より


※2ガイドラインより

・抗菌薬治療の原則は,投与中の抗菌薬を可能な限り中止することと(A)
軽症から中等症までの初発例では,MNZ 内服が推奨される(AⅠ)
・再発例では,1 回目の軽症から中等症までは初回と同じ治療が推奨され,重症例や 2 回目以降の再発例では VCM 内服が推奨される(AⅠ)
・発症者に対しては接触感染対策を行う必要がある(A)


メトロニダゾール VS バンコマイシン

ガイドライン※2の記載

ガイドライン上軽度~中度でメトロニダゾール、重症、再発でバンコマイシンですが、どのような臨床成績からこうなっているんでしょうか。

ガイドライン上の記載
"軽症―中等症で MNZ と VCM の治療効果に明らかな差はない.また,いずれも共にCDI の治療薬として承認を受けている.このため,より安価であり,かつバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などの耐性菌を考慮して,MNZ を第一選択として推奨する."

→軽度~中度は臨床成績は同等、費用・耐性菌を考慮しメトロニダゾールが第一選択



ガイドラインはエビデンスをもとに作成されているので、以下でまた文献を引用するのもおかしいのかもしれませんが、一応、このような選択薬になっている理由も知りたいのでいくつが文献を。

コクランのシステマティックレビュー※3

バンコマイシンとメトロニダゾールの有効性において、統計的に優位な差はなし。
→重症度の層別化はされていない。


その他の文献

.・バンコマイシンのほうが細菌学的治癒、下痢の改善が早かった≒重症例に向いている。※4
(ただし10日後にはメトロニダゾールと同等)

・重症例に限るとバンコマイシンのほうが優位。※5




副作用の比較

バンコマイシンはほとんど吸収されないので、問題となる副作用は少ない。(腎機能障害が高度かつ台帳病変は重症の場合には吸収されることもある)
バンコマイシン「サワイ」の使用成績調査では85例中副作用は1.18%,いずれも非重篤となっている。

メトロニダゾールは上部消化管より容易に吸収され、また中枢移行性もあるため神経障害に注意が必要。そのほか血液障害、肝機能障害、嘔気、金属味などの副作用が生じる場合がある。(あとアルコール代謝阻害)



メトロニダゾール、バンコマイシンの投与量、投与期間

軽度~中度

第一選択
MNZ経口1回250mg・1日4 回  
または経口1回 500mg・1日3回・10~14日間(AⅠ)  
経口投与が困難な場合には、点滴静注1回500mg・1日3回・10~14日間

第二選択
VCM 経口1回125mg・1日4回・10~14日


重症例または再発

VCM 経口1回125mg~500mg・1日4回 10~14日
※VCMが適応となる重症例:高齢者,白血球数高値(>15,000/μL),ICU入室,低アルブミンなど


フィダキソマイシン(ダフクリア)について

2017年に承認された薬剤。
CDIに対してバンコマイシン、メトロニダゾールより再発抑制効果が高い。
CDIの再発率は25%とされているため、再発リスクの高い人に対する有効性が期待されている。


CQ:‌フィダキソマイシンを初発 CDI 患者の初期治療薬として使用すべきか?

推奨:フィダキソマイシンの国内 CDI 患者に対し実施された国内第Ⅲ相試験において,有効性主要評価項目(FAS)である治癒維持率でバンコマイシンに対する非劣性は検証されていないため, 使用しないことを弱く推奨する。

ただし,フィダキソマイシンは,海外CDI患者において,CDI の再発抑制および治癒維持に対して優れていることが示されており,国内 CDI 患者においても再発率はバンコマイシンよりも低く,治癒維持率はバンコマイシンよりも高かった

そのため,再発リスクの高い患者では初期治療薬として推奨できる。

推奨の強さ:使用しないことを弱く推奨するが,再発リスクの高い患者では初期治療薬としての使用も検討される。

コメント:フィダキソマイシンの海外第Ⅲ相2試験およびシステマティックレビューより,海外CDI患者において,メトロニダゾールおよびバンコマイシンと比較してフィダキソマイシンが有意にCDIの再発を抑制し,治癒維持を達成することが認められている。


治療判定と感染対策※2

発症者(下痢症状あり)には接触感染対策が必要。(医療関係者経由での接触感染が主)
芽胞形成=アルコールで死滅しないので石鹸・流水で。
便中 C. difficile トキシン検査は診断目的のみに行われ,治療効果判定や隔離解除判定目的に使用してはならない(治療開始後も50%は6週間以上陽性となるため)

→症状(下痢)が改善後48時間以降に接触感染対策を解除、無症候性キャリアを隔離することによる予防効果はエビデンス不明。※6



まとめ

有効性
中度~軽度は同等→より安価、耐性菌の問題からメトロニダゾールが第一選択薬
重症例:バンコマイシンのほうが有効とする報告があり、バンコマイシンが第一選択薬

ダフクリアは再発抑制効果が上記2剤より優れており、再発リスクの高い場合に選択肢の1つとなる。

安全性
バンコマイシンは吸収されず、重篤な副作用はほぼない。
メトロニダゾールはまれではあるが神経障害、血液障害、その他味覚異常、吐き気等に注意。


※1 CDI診療ガイドライン
※2 JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―腸管感染症―
※3 Cochrane Database Syst Rev. 2011 Sep 7; 
※4 Clin Infect Dis. 2008 Jul 1;47(1):56-62. 
※5 Clin Infect Dis. 2007 Aug 1;45(3):302-7. Epub 2007 Jun 19.
※6 亀田総合病院 感染科
 2019/05/29

関連記事