咽頭痛にNSAIDsやカロナールは有効か

のどの痛みにカロナールやロキソニン、プレドニンは効く?

風邪を引いたときののどの痛みは何とも言えない。

ウイルスや細菌により、咽頭が炎症を起こすことで痛みが起こるわけですが、頭痛などと違って、薬ではなかなか痛みが取れにくい気がする。

NSAIDsやアセトアミノフェンが処方されることもありますが、個人的にはSPトローチ当たりをひたすら舐めているほうが軽減する気がするのですが、エビデンス的にはどうなんでしょうか。


咽頭炎関係に適応のある主な薬剤

カルボシステイン(ムコダイン)
トラネキサム酸(トランサミン)
PL顆粒
トローチ類
うがい液類(アズノール、ポビドンヨード)
NSAIDs(上気道炎の鎮痛)
アセトアミノフェン(上気道炎の鎮痛)
ステロイド(プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン)
アドレナリン(粘膜の充血、腫脹に適応あり)


喉が痛いと言えばトラネキサム酸。
カルボシステインも咽頭炎の適応があり、たまに喉の痛みでカルボシステインだけ処方されている人も見る。

痛み止めというよりは、充血や粘膜を正常化させる薬剤も含まれていますが、痛みに対する有効性はどの程度でしょうか。


イブプロフェン、アセトアミノフェン内服の有効性※1

試験デザイン:2重盲検比較試験
対象群:イブプロフェン400㎎(n = 39)、アセトアミノフェン1000㎎(n = 40)、プラセボ(n = 41)

結果は有意差をもって痛みが軽減(イブプロフェン>アセトアミノフェン)

フルテキストが見れないので詳細不明。


フルルビプロフェンのスプレー※2

フルルビプロフェン8.75㎎(249名)のスプレー剤をプラセボ(256名)の二重盲検ランダム化比較によると、噴霧後20分~6時間の間、フルルビプロフェン群で有意に痛みを改善。

評価項目はsore throat scaleというものだが、詳細不明。
平均2.2以上の改善がみられたとのこと。

※日本では販売なし


イブプロフェンのロゼンジ製剤の有効性※3

こちらも日本では販売のないイブプロフェンのロゼンジ(のど飴)の有効性について。
プラセボと比較し、イブプロフェンロゼンジ製剤は疼痛を有意に改善。

評価項目は服用~120分までの咽喉痛軽減スケール(STRS):0(「軽減なし」)、1(「わずかな軽減」)、2(「軽度の軽減」)、3(「中程度の軽減」) 4(「かなりの軽減」)、5(「ほぼ完全な軽減」)、6(「完全な軽減」)に測定時間を考慮したの総合的評価(TOTPAR)及び嚥下時の痛み(VASで評価)

TOTPAR0-120min=(0.25×STRS15min)+(0.25×STRS30min)+(0.25×STRS45min)+(0.25×STRS60min)+(0.5×STRS90min)+(0.5×STRS120min)

イブプロフェン群のほうが0.44ほどスコアが改善している。
これがどの程度なのかいまいちイメージが付きませんが、プラセボだと平均3(中等度の軽減)程度の軽減だったのが、3と4(かなりの軽減)半々ずつくらいになったといったところでしょうか。


アセトアミノフェン、ケトプロフェン内服の有効性※4

小児におけるアセトアミノフェン(12mg/kg)シロップ単回投与と、ケトプロフェン40㎎散剤単回投与のプラセボ比較試験。(アセトアミノフェンは2重盲検比較試験、ケトプロフェンは非盲検)

対象は6-12歳で主要評価項目は小児による痛み強度の差。
(小児によるというところが微妙ですが、アセトアミノフェンは二重盲検なのでバイアスは問題なさそう)

結果は、小児、親が痛みを評価した場合、~4時間後までの痛みはアセトアミノフェンにおいて有意差をもって改善がみられたが、1時間までを研究者が痛みの評価をした場合有意差がなかった。問題となる副作用はなし。

ケトプロフェンも同様の改善はみられたとのこと。
患者さんが楽になっているのであれば、いい気がします。
他文献においても一貫した結果が得られていないとのことの記載も。


アスピリン、アセトアミノフェンの有効性※5

上気道炎の諸症状を主要評価項目とする試験において、咽頭痛のみについて評価すると有意差はなかったされている。
(アスピリン群500mg78人,1000mg78人、アセトアミノフェン群500mg79人,1000mg79人、プラセボ群78人)


そのほか、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンは咽頭痛に有効とする文献が多数。


アンブロキソール含有トローチの有効性※6

7つのプラセボ比較試験を解析。
アンブロキソール群857件、プラセボ847件。
ベースラインからの疼痛改善率はアンブロキソール群がプラセボ群より11%低かった。

アンブロキソールでも有効性がみられているんですね。


デキサメタゾンの有効性

①デキサメタゾンの費用対効果※7

デキサメタゾン10㎎(288件)とプラセボ(288件)の費用対効果を主要評価項目に増分費用効果比(ICER)を用いて検討しているが、7日間の治療終了時デキサメタゾンによる費用対効果は認められなかった。(幅がありICERがマイナスになってしまっている)

しかし、7日目及び24時間以内のQOL(HRQOL)を見るとデキサメタゾン群で有意に改善がみられていた。(2.9%及び2.5%)


②デキサメタの有効性に関するメタ解析※8

咽頭痛に対してデキサメタゾンを使用した試験(RCT,プラセボ比較)のメタ解析によると、低用量デキサメタゾン(10㎎)は、痛みの軽減と改善時間短縮効果がみられており、24、48時間以内の完全緩解率も改善している。

ただし、試験によるばらつきが大きく、どのアウトカムも異質性が大きくなってしまっている。



NSAIDs、アセトアミノフェンは有効とする報告が多いですが、どの程度改善するのかいまいちピンときませんでした。
ステロイドも有効とする報告はあるものの、アセトアミノフェン、NSAIDsと比べると微妙な感じでしょうか。

それぞれの直接比較についてはあまり見つからない。
探しきれていないので随時更新。


まとめ

NSAIDs、アセトアミノフェン:有効とする報告多数。
ステロイド:メタ解析で有効とはされているが、ばらつきが大きいように思える。


※1 Clin Pharmacol Ther. 1994;55:464-470 
※2 Pain Manag. 2018 Mar;8(2):79-83
※3 Int J Clin Pract. 2017 Sep;71(9)
※4 Italian Journal of Pediatricsvolume 37, Article number: 48 (2011)  
※5 Clin Ther. 2005 Jul;27(7):993-1003.
※6 Drug Res (Stuttg). 2016 Jul;66(7):384-92.
※7 BMJ Open. 2018 Apr 28;8(4):e019184.
※8 BMJ. 2017 Sep 20;358:j3887.
 2019年7月23日

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