CKD患者の降圧療法

CKD診療ガイドライン2018より

CKDの分類



薬物治療関係

4章-CQ 4 高血圧を伴うCKD患者に推奨される降圧薬は何か? 

推奨
DM合併CKDのすべてのA区分およびDM非合併CKDのA2,3区分でACE阻害薬とARBを,DM非合併CKDのA1区分でACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬,サイアザイド系利尿薬を推奨する B 1 .

ただし,CKDステージG4,5ではACE阻害薬,ARBによる腎機能悪化や高K血症に十分注意し, これらの副作用出現時には速やかに減量・中止し B 1 ,Ca拮抗薬へ変更することを推奨する C 1 .また,75歳以上の高齢者のCKDステージG4,5では,脱水や虚血に対する脆弱性を考慮し,Ca拮抗薬を推奨する C 1.

A1~3の糖尿病患者:ACEI、ARB
A1の非糖尿病患者:ACEI、ARB、Ca拮抗薬、サイアザイド系
A2の非糖尿病患者:ACEI、ARB
A3の非糖尿病患者:ACEI、ARB
G4,5でACEI、ARBによる腎機能悪化、高K出現:減量、中止、Ca拮抗薬に変更
75歳以上のG4,5:Ca拮抗薬

RA系阻害薬と利尿薬,NSAIDsの組合せは 腎機能悪化のリスクがさらに上昇する恐れがあ り12,20,CKDステージG3b以降では,お薬手帳など を参照して,できる限り避けるべきである


CQ 5 CVDを伴うCKD患者に推奨される降圧薬は何か?

推奨
合併するCVDの種類やCKDステージにより,推奨される降圧薬やエビデンスの強さが異なる.

〈CKDステージG1~3a〉  
冠動脈疾患合併:ACE阻害薬,β遮断薬,ARBを推奨する A 1 .  
心不全(収縮不全:HFrEF)合併: ACE阻害薬,β遮断薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRB),ARBを推奨する A 1 .  
心不全(拡張不全:HFpEF)合併: ACE阻害薬,β遮断薬,MRB,ARBを提案する C 2 . 体液過剰による症状を認めた場合:利尿薬使用を提案する D なし .  
脳卒中(慢性期),末梢動脈疾患:具体的な推奨は困難である D なし .

〈CKDステージG3b~5〉
冠動脈疾患合併:ACE阻害薬,ARBを提案する C 2 .  
心不全(HFrEF)合併:ACE阻害薬,ARBを提案する C 2 .
心不全(HFpEF)合併:ACE阻害薬,ARBを提案する D 2 .
体液過剰による症状を認めた場合:利尿薬使用を提案する D なし .
脳卒中(慢性期),末梢動脈疾患:具体的な推奨は困難である D なし .RA系阻害薬による腎機能悪化や高K血症に十分注意し,少量からの開始を推奨する Dなし.



腎硬化症・腎動脈狭窄がある場合

CQ 1 高血圧を伴う腎硬化症によるCKDに厳格な降圧は推奨されるか? 
推奨  高血圧を伴う腎硬化症によるCKDにおいて,特に蛋白尿A1区分では収縮期血圧120 mmHg未満への厳格な降圧は,AKIのリスクがあるため行わないよう提案する.降圧目標として は,140/90 mmHg未満への降圧を提案するC2

CQ 2 腎動脈狭窄を伴うCKDに推奨される降圧薬は何か? 
推奨  片側性腎動脈狭窄を伴うCKDに対しRA系阻害薬はそのほかの降圧薬に比して降圧効果 に優れ,死亡,CVD発症,腎機能低下を抑制する可能性があり,使用することを提案する.ただ しAKI発症のリスクがあるため,少量より開始し血清CrとK値を投与開始から2週間を目安に確認しつつ注意深く用量を調節する必要がある.両側性腎動脈狭窄が疑われる際は原則として使用しない C 2 .

腎動脈狭窄:ACEI,ARBは投与開始前値から有意な血清 Cr上昇または 5.5 mEq/L以上の高K血症がみられたら使用を中止し, ほかの降圧薬へ変更すべきである
両側or片側でも高度腎動脈狭窄:ACEI,ARBは使用すべきではない


12章ーCQ 7 日常臨床において75歳以上の高齢CKD患者に対する薬剤使用で特に注意すべき薬剤はあるか?

薬剤について RA系阻害薬はDM合併CKD患者や中等度以上の尿蛋白を認めるDM非合併CKD患者では,血圧およ び糸球体内圧を下げることによる尿蛋白減少・腎障 害の進行抑制を目的にしばしば使用されるが,高K血症や低血圧,腎機能の低下などがみられることが あるb.特に高齢者に多い腎硬化症由来のCKD患者 では,糸球体内圧が上昇していないこともあり,RA系阻害薬の使用は糸球体内圧の過降圧・正常血圧 AKIのリスクcもあり注意を要する.  

浮腫のコントロール・降圧を目的に利尿薬が高齢 CKD患者においても使用されることがあるが,食事量の低下・食思不振,下痢・嘔吐・脱水などが合併 すると,低血圧による転倒やAKI,低K血症,低Na 血症をきたすリスクd があるため注意を要する.  

骨粗鬆症の予防やCKD‒MBDのコントロールにビタミンD製剤が高齢CKD患者に使用されることがある.ビタミンD製剤単独またはCa剤との併用はいず れも高Ca血症の危険因子であり,高Ca血症により 脱水状態になると,AKIをきたすeため注意を要する.

サイアザイド系利尿薬が高齢者の骨粗鬆症患者に有用であったとの報告fがなされているが,遠位尿細管でのCaの再吸収が亢進するため,ビタミンD製剤や Ca剤と併用しているときは,高Ca血症のリスクを 増大させる可能性があり,特に注意を要する.

また 骨粗鬆症治療薬として使用されるデノスマブは,進 行した高齢CKD患者において,低Ca血症を生じる 割合が多かったとの報告gがある.

 NSAIDsも腎機能低下の危険因子であり,高齢CKD患者で脱水などを合併した状態で使用すると 腎機能低下のリスクが上昇する(第15章CQ1参照).

SU薬やビグアナイド薬は以前よりCKD患者において,重症低血糖や乳酸アシドーシスのリスクがあることが知られており,GFR≦30では禁忌とされている.

さらに近年使用頻度が増えているSGLT2阻害薬は,重症低血糖,ケトアシドーシス,脱水,脳伷塞,尿路性器感染症などの副作用が報告されており, 75歳以上の高齢者では慎重投与を行うように日本糖尿病学会から「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」iが出されている.
 2019/10/19

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