テトラミドの代替薬 同じ四環系(マプロチリン、セチプチリン)との力価比較 有効性では三環系でも問題ない?
代替薬としてメーカーから特に情報はないため、力価、臨床試験より検討。
テトラミド(ミアンセリン)、ルジオミール(マプロチリン)、テシプール(セチプチリン)の力価
添付文書
テトラミド(ミアンセリン):初回30㎎ 最大60㎎(適宜増減) 分1
ルジオミール(マプロチリン):30~75㎎(適宜増減) 分1~3
テシプール(セチプチリン):初回3㎎ 最大6㎎(適宜増減) 分割
最大量を単純比較すると、テトラミド60㎎≒ルジオミール75㎎≒テシプール6㎎
※効果効能は3剤ともうつ病、うつ状態で全く同じです。
※効果効能は3剤ともうつ病、うつ状態で全く同じです。
臨床試験における有効性
テトラミド
比較試験本剤の抗うつ効果は、二重盲検比較試験で対照薬のイミプラミン塩酸塩(=トフラニール)及び酒石酸水素ジメタクリンと最終全般改善度において有意差はなく、確実な抗うつ作用を有し、また、その作用の発現は酒石酸水素ジメタクリンよりも有意に速かった。 安全性に関しては、三環系抗うつ剤の使用に際し、しばしば支障となる口渇、便秘、排尿障害等の抗コリン性副作用の発現が少なく、また、心・循環系に対する影響も少ないことが認め られている。※1
→トフラニールと同等
ルジオミール
比較試験
各種うつ病及びうつ症状を呈する患者を対象に、イミプラミン(=トフラニール)、及びアミトリプチリン(トリプタノール) を対照薬とし、それぞれ2 試験が実施された。 イミプラミンを対照薬とした2試験においては、マプロチリン群と対照薬群との全般改善度はそれぞれ中等度改善以上で、59%(23/39、マプロチリン群)と 72%(28/36、 イミプラミン群) 7)、及び、53%(33/62、マプロチリン群)と 63%(40/64、イミプラミン 群)であり、マプロチリンの効果はイミプラミンと匹敵していた。また、有用度判定 においても、両試験共に両薬剤群間に差はみられなかった。
うつ病の症状についての比較では2試験共に「不安」、「罪業」の改善についてはマプロチリンはイミプラミンより優れた改善を示した。さらに、身体症状、特に「睡眠障害」、「便秘」、「口渇」等 の改善では優れる傾向を示していた。また、推計学的に有意とは言えないが、1試験においては、早期に改善効果の発現した症例はマプロチリン群に多かった。 アミトリプチリンを対照薬とした 2 試験では、マプロチリン群と対照薬群との全般改善度はそれぞれ中等度改善以上で、62%(32/52、マプロチリン群)と 49%(27/55、ア ミトリプチリン群) 33)、及び、54%(15/28、マプロチリン群)と 71%(24/34、アミトリプ チリン群) 34)であり、マプロチリンの効果はアミトリプチリンと匹敵していた。また、 うつ病の症状の面では「不安」に対し1試験では対照薬が優れ、他1試験ではマプロチリンが優れる傾向を示すなど、試験毎に多少の差はみられたものの、とくに両試験に 一致してマプロチリンの特徴となる傾向は示されなかった。※2
→トフラニール、トリプタノールと同等
テシプール
比較試験
初回うつ病、周期性うつ病、躁うつ病のうつ状態、躁うつ病の混合病 相、反応性うつ病、更年期・初老期うつ病、老年期うつ病、神経症の うつ状態と診断された患者を対象に、ミアンセリン塩酸塩を対照薬とし、二重盲検比較試験を実施した。テシプール錠1mgは、1~3日は1日 3mg(分3)、投与4日以降は上限6mg/日まで症状に応じて適宜増減した。 ミアンセリン(=テトラミド)塩酸塩錠は、1~3日は1日30mg(分3)、投与4日以降は上限60mg/日まで症状に応じて適宜増減した。投与期間は、それぞれ4週間とした。その結果、本剤の有用性が認められた。※3
→テトラミド、テシプールともに上限まで増量可能での比較試験
メタ解析※4
対象薬剤:21種の抗うつ薬
解析対象:論文2万8,552報から、適格試験522件(計11万6,477例)
主要評価項目:有効性、忍容性
結果:21種の抗うつ薬すべてが有効(対プラセボ)。
全概要
有効性:アミトリプチリンの2.13(95%確信区間[CrI]:1.89~2.41)が最高値。(オッズ比)
忍容性:agomelatine(日本なし)(0.84、95%CrI:0.72~0.97)とfluoxetine(日本なし)(0.88、0.80~0.96)のみが有意に中止が少なく、クロミプラミン(1.30、95%CrI:1.01~1.68)は有意に中止が多い。
直接比較
有効性:アミトリプチリン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシンは他の抗うつ薬よりも有効。
フルボキサミン、トラゾドンは他より有効性が低い。
忍容性:シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリンは良好。
アミトリプチリン、クロミプラミン、デュロキセチン、フルボキサミン、トラゾドン、ベンラファキシンは中止率が有意に高い。
※ミアンセリン、マプロチリン、セチプチリンは対象になっていない。
直接比較ではないものの、3剤ともトリプタノールと同程度とする臨床試験結果が存在する。
この辺を参考にすると、どれでもいいような気がします。
変更後の患者さんの状態を要観察。
解析対象:論文2万8,552報から、適格試験522件(計11万6,477例)
主要評価項目:有効性、忍容性
結果:21種の抗うつ薬すべてが有効(対プラセボ)。
全概要
有効性:アミトリプチリンの2.13(95%確信区間[CrI]:1.89~2.41)が最高値。(オッズ比)
忍容性:agomelatine(日本なし)(0.84、95%CrI:0.72~0.97)とfluoxetine(日本なし)(0.88、0.80~0.96)のみが有意に中止が少なく、クロミプラミン(1.30、95%CrI:1.01~1.68)は有意に中止が多い。
直接比較
有効性:アミトリプチリン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシンは他の抗うつ薬よりも有効。
フルボキサミン、トラゾドンは他より有効性が低い。
忍容性:シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリンは良好。
アミトリプチリン、クロミプラミン、デュロキセチン、フルボキサミン、トラゾドン、ベンラファキシンは中止率が有意に高い。
※ミアンセリン、マプロチリン、セチプチリンは対象になっていない。
直接比較ではないものの、3剤ともトリプタノールと同程度とする臨床試験結果が存在する。
この辺を参考にすると、どれでもいいような気がします。
変更後の患者さんの状態を要観察。
薬理作用レベル
テトラミド:ウサギ摘出心標本を用いた実験では、心機能抑制作用は塩酸アミトリプチリン、塩酸マプロチリよりも弱かった※1その他全般比較
禁忌
テトラミド:MAO阻害薬
ルジオミール:閉塞隅角緑内障、心筋梗塞回復初期、痙攣疾患既往歴、尿閉、MAO阻害薬
テシプール:MAO阻害薬
薬物動態
テトラミド:Tmax≒2h、T1/2≒18h
ルジオミール:Tmax≒6-12h、19-73h(個体差大)
テシプール:Tmax≒1-3h、T1/2(α)≒2h、T1/2(β)≒24h
まとめ
力価:テトラミド60㎎≒ルジオミール75~150mg≒テシプール6㎎
比較試験において3剤ともアミトリプチリンと同程度。
ルジオミールだけ禁忌多数。
比較試験において3剤ともアミトリプチリンと同程度。
ルジオミールだけ禁忌多数。
※1 テトラミドインタビューフォーム
※2 ルジオミールインタビューフォーム
※3 テシプールインタビューフォーム
※4 Lancet. 2018 Apr 7;391(10128):1357-1366.