サプリメントの有効性 ガイドラインの記載

サプリメントの有効性について ガイドラインに記載のある有効成分

薬局に様々なサプリメントが置いてあるが、十分なエビンデンスがあるものは少ない。

厚労省のホームページより"「健康食品」の安全性・有効性情報"にかなり詳しく調べられるデータベースが公開されている。

今回はこれとは別に各種ガイドラインに記載のある成分について調べてみました。


片頭痛に対するビタミン、ハーブの有効性

ガイドライン
慢性頭痛の診療ガイドライン2013

CQ Ⅱ-3-10
マグネシウム、ビタミンB2、feverfew、鎮痛薬は片頭痛の予防に有効か

推奨
マグネシウム、ビタミンB2、feverfewはある程度の片頭痛予防効果を期待することができる

グレード:マグネシウム、ビタミンB2、feverfew B


マグネシウムは1-2gの投与量で試験されている。
ビタミンB2は400㎎/日にての試験で有効性を示した報告あり。
フィーバーフューは投与量による差は報告されていないとのこと。




クランベリージュースによる尿路感染症予防

ガイドライン
感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症

"高齢女性の膀胱炎(閉経後)
再発予防として,50歳以上の女性においてクランベリージュースの有効性が報告されており,65%飲料を 1 日 1 回飲用することによりプラセボと比較して有意に再発を抑制する13)(BⅡ)."

対象は高齢者のみ。
若年層では試験の対象になっていなかったようでしょうか。


葉酸による神経管閉鎖障害予防

ガイドライン
産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2017

CQ105:神経管閉鎖障害と葉酸の関係について説明を求められたら?
以下のように説明する(B)
1)とくにリスク因子のない女性については、市販のサプリメント類によって1日0.4㎎の葉酸を妊娠前から摂取すると、児の神経管閉塞障害発症リスクの低減を期待できる
2)神経管閉鎖障害児の妊娠既往がある女性については、医師の管理下に妊娠前より1日4-5mgの葉酸を服用した場合、同胞における発症が提言することが期待できる。

注:医師の管理下ではない場合、1日1㎎を超えないようにする。


カルシウム摂取と骨粗鬆症

ガイドライン
骨粗鬆症の治療と予防ガイドライン2015

カルシウム摂取量が少ないことは低骨量の危険因子になるが、カルシウム摂取量を増やしても骨折の予防効果は小さい。低カルシウム摂取は低骨量を介して骨折リスクを増大させると考えられる。

a.食事療法 CQ治療のためにカルシウムをどれくらい摂取すればよいか
治療のためカルシウム単独の有効性レベルは低い(グレードC)。しかし、さまざまな骨粗鬆症治療薬の効果をより高めるための基礎的な栄養素鵜としてカルシウム摂取は需要である。

微妙な表現ですが・・・治療としてカルシウムのみとっても意味はないとのこと。
摂取推奨量は年齢により異なるが700㎎前後



カルシウム摂取による尿路結石予防

ガイドライン
尿路結石症診療ガイドライン2013

3.再発予防
6 カルシウム摂取について
カルシウムに関しては,一定量(600〜800 mg/day)の摂取が必要とされている。過度のカルシウム制限は,腸管内でカルシウムと結合し糞便中に排泄されていたシュウ酸が腸管から過剰に吸収され,シュウ酸カルシウム結石形成の原因となる。(推奨B)

マグネシウム製剤
シュウ酸カルシウム結石の再発予防薬として保険収載されているのがマグネシウム製剤である。マグネシウムはカルシウムと同様に腸管内でシュウ酸と結合し,その吸収を妨げ,さらに尿中でより可溶性のシュウ酸マグネシウムを形成することで尿路結石の形成を抑制する。しかし,残念ながら,マグネシウム製剤の再発予防効果を証明するRCT はほとんどない。

カルシウム結石の5年再発率は45%とかなり高い。
カルシウムは制限しすぎると結石ができやすくなるが、とりすぎも注意。


ビタミン類による加齢黄斑変性の予防

ガイドライン
加齢黄斑変性の治療指針(日眼会誌 116巻 12号)

Ⅱ治療方針アルゴリズム
① 加齢黄斑変性の前駆病変,萎縮型加齢黄斑変性に対して,経過観察と予防的治療〔ライ フスタイルと食生活の改善,Age-Related Eye Disease Study(AREDS) Research Group の報告に基づくサプ リメント摂取〕を推奨治療として組み込んだ.

米において抗酸化物質を多く含む食物摂取によって加齢 黄斑変性のリスクが軽減することが明らかになっている ため,この文言を用いた.「サプリメント摂取」 については,日本人における明確な有用性の証明はないが, 欧米において AREDS Research Group によりランダム化比較対照臨床試験が行われた結果を重視し,我が国に おいてもこれを採用した.このスタディでは,高用量の ビタミン C,ビタミン E,b カロチン,亜鉛の内服によっ て中等度以上の軟性ドルーゼンを持つグループおよび加 齢黄斑変性の対側眼のグループで加齢黄斑変性発症と視 力低下のリスクを低下させることがレベルⅠのエビデン スをもって報告されており,諸外国ではサプリメント摂取が加齢黄斑変性の標準的治療となっている

このAREDS試験での代表的な投与量は以下の通り。
ビタミンC:500mg
ビタミンE:400IU
βカロテン:1mg
亜鉛:80mg
銅:2mg

※喫煙者において,高用量βカロテンが肺がんリスク上昇報告があるため、AREDS2ではβカロテンがルテイン10㎎、ゼアキサンチン2㎎に変更されている。





 2020年3月30日

関連記事