経口GLP-1製剤 リベルサス(セマグルチド)について 水分飲み過ぎはダメ? 少なすぎてもダメ?
2020年11月に新規薬価収載された経口GLP-1製剤のリベルサス。
吸収が悪いので服用方法に注意が必要だが、予想以上に複雑なのでまとめ。
リベルサスの服用方法
用法・用量
1日1回7mgを維持用量とし経口投与する。
ただし、1日1回3mg
から開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減 するが、1日 1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、1日1
回14mgに増量することができる。
→スタートは3㎎、4週間後に7㎎へ、効かなければさらに4週間あけて14㎎も可
服用時の注意
1日のうちの最初の食事又は飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分の水(約120mL以下)とともに3mg錠、7mg錠又は 14mg錠を1錠服用すること。
また、服用時及び服用後少なくとも30分は、飲食及び他の薬剤の経口摂取を避けること。
分割・粉砕及びかみ砕いて服用してはならない。
本剤14mgを投与する際には、本剤の7mg錠を2錠投与することは避けること。
→空腹時に服用、水分の制限もあり 寝起きに水を先に飲むのもダメ!
と、いうことで、水分多すぎても吸収が変わってくるので水分制限がある。
ちなみに、添付文書には記載されていないが、服薬ゼリ―も吸収に影響が出る可能性があるため不可となっている。(指導せん:MSD リベルサスの服用方法)
水分制限があり、120ml以下となっているのですが、少なすぎではどうなんでしょうか。
水分量と吸収量について
審査報告書に食事や水分の影響に関するデータがある。
表12は6時間絶食と10時間絶食の比較。
でも、なぜか飲水量と投与後の絶食時間が統一されていない・・・何を比較しようとしたのでしょうか。
わかることは、水分の摂りすぎより、投与前後の絶食時間が長い(より空腹状態)のほうが吸収がよいということ。
ちなみに、食後投与した26例中14例ではいずれの時点でも定量下限を超
える濃度は認められなかったとのことで、ほとんど吸収されなくなってしまう。
表13は飲水量と投与後の絶食時間の比較。
飲水は50mlと100mlでは大きな差はない。
飲水後絶食時間は30分以降(30、60、120分)では15分と比べて差は小さい。240mlの飲水の場合は30分と60分で結構差がありそうですが・・・
表14は飲水量の比較。
投与前8時間から絶食、2時間前からは飲水もなしで、50mlか240mlで服用。
服用後は4時間飲食禁止、服用2時間後に200ml水分摂取とされている。
結果は、240mlにて服用で若干の吸収低下みられる。
以上の結果より、1日のうち最も空腹状態であるタイミングで、水120ml以下での服用とされているよう。
50ml以下の飲水で飲んだらどうなるのかデータがないので不明。
服用後30分経てば飲食OKですが、もしかすると1時間くらいのほうが効果がでそうな感じである。
粉砕の可否について
粉砕については吸湿性の関係で不可。
安定性試験で含量低下も見られているので開封は直前で。
では、嚥下不良者に直前で粉砕はどうでしょう?
指導せんにはかみ砕いたりしないように注意書きがある。
ただ、インタビューフォームには
「分割・粉砕及びかみ砕いた場合の影響 本剤の吸収への影響は不明であるため、分割・粉砕及びかみ砕いて服用してはならない」
との記載になっており、吸収は不明なだけで、できそうな感じもありますが、吸収に関しては以下の内容も記載されている。
「本剤は胃で崩壊・吸収され、吸収は錠剤表面の周辺部に限定されることから、SNAC の投与量の差異、及び物理的に 2 つ
の錠剤が胃内に存在することが本剤の吸収に影響を及ぼす可能性がある。本剤の 1 回の投与で複数錠を患者に服用さ
せるような処方は避けること。」
錠剤がすぐ胃内で崩壊するなら別に噛んでもよさそうですが・・・崩壊試験の結果が記載されていないのでなんともですが・・・
崩壊され具合で吸収が変わりそうなのでやはり不可としておくべきでしょう。
まとめ
リベルサスは1日の最初の飲食の前に服用。(水も先に飲んではいけない)
服薬ゼリ―も影響する可能性があり不可。
水分の摂りすぎも不可。50~120mlで服用。(50ml未満はデータなし)
参考
リベルサス インタビューフォーム
リベルサス 審査報告書